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妖精王・ヘイスティングス
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ヨーク大聖堂へひとりで向かった。
ヨーク達に気づかれないよう、細心の注意を払う。……よし、つけられてはいない。
金貨100枚を支払って扉を開ける。
そうか、これって毎回必要なんだ。けど、僕はいくつでも金貨を出せるし関係ない。通路を進み――椅子に座り、本を読むプランタに話しかけた。
「あの……プランタさん」
「おや。ヘンリーさんではないですか、わざわざひとりで――大金を支払って戻ってくるとは……何か、あったのですか」
少し不思議そうに首を傾げるプランタ。その通り、僕はヨークについて知りたかった。謎多き少女の情報を。
「ヨークのことを知りたい」
「ヨーク様ですか」
「ああ、教えてくれ。彼女は何者なんだ」
「金貨100枚を払ってこの部屋に入ったのです。追い返すわけにはいきませんね」
本を閉じ、椅子から立ち上がるプランタは僕の目の前に寄ってくる。
「ヨークは何なんだ。僕にどうして、こんな金貨の力をくれたんだ」
「彼女は、この国の象徴といいますか、聖女です。ですが、親もいませんし、孤独でした。そこで、私が幼い彼女を引き取ることに」
「え、まってくれ。プランタって何歳なんだ!?」
「……ヘンリーさん。女性に年齢を聞くとは失礼ですよ」
じとっとした目で見られ、僕は慌てる。
「ご、ごめんなさい」
「冗談です。実は、私は延命処置を受けているので通常の人間の三倍生きられるんです」
「え?」
「不老不死にちょっと近いかもしれません。外見こそ変わりにくいですが、でも歳は取っていますし、いつか死にます。まあ、年齢で言えば150歳ってところですね」
「ひゃ、ひゃくごちゅう!?」
うそー……全然そんな風に見えない。ヨボヨボではないし、ぴちぴちの少女。十代と言われても納得するほど若いぞ。
延命処置っていったい、なんだろうな。
「――とにかく。私はかなり昔から、ヨーク様と知り合い、拾った。そして、不思議な力を持っていることに気づいた」
「聖女の力か」
「はい、それが『金貨の力』ですね。もともと金貨は、千年にも及ぶエルフとダークエルフの闘争がきっかけで作られたものです。その力は、妖精王・ヘイスティングス様が……つまり全ては妖精王が与えたものです」
「そいつは、いったい何者なんだ」
「知りたいですか」
「もちろん!」
「実は……」
「実は……?」
「私です」
「…………え?」
「私なんです。妖精王・ヘイスティングス」
「はあああああああああああ!?」
驚いた。
まさか目の前に妖精王・ヘイスティングスがいるとは!!
「驚かせて申し訳ないです。その名は、百年前に広がった名前なんです。それが伝説となって受け継がれてしまったようで。私は本来『大賢者』なんです。それが何故か妖精王だとか噂が広まってしまい……収集がつかなくなってしまったんです」
それが真相だったのかいっ!
そうか、延命処置とかいうのも『大賢者』の御業ってところかな。納得。ヨークがヘンに凄い力を持つ理由も、このプランタのおかげってわけか。
ようやく全てが繋がった。
このプランタこそが“答え”だったんだ。
「そうだったんだ。僕は、本当に妖精王なんてものがいるかと思っていたよ」
「ヨークは、神託と言っていませんでしたか?」
「ああ、言ってた!」
「それは、枢機卿である私に可能な能力なんです。私がヨーク様に対して送ったものです」
「でもどうして?」
「それは、ヘンリーさん、あなたの未来が視えたからです」
「未来?」
「あなたが『英雄王』になる未来です。この世界を救うんですよ」
「それ、本当だったのか」
「はい、間違いありません。だから、私はヨーク様に神託として情報を与え、ヘンリー様に『金貨増殖』の力を授けたのですよ」
「でもバグってたよ!?」
「それは想定外でした。大賢者の力は、たまに失敗するとそういう事もありますから」
「えー! 失敗だったのー!?」
「結果的には大成功ではありませんか!」
プランタは笑顔で答える。
それでいいのかよっ!
ヨーク達に気づかれないよう、細心の注意を払う。……よし、つけられてはいない。
金貨100枚を支払って扉を開ける。
そうか、これって毎回必要なんだ。けど、僕はいくつでも金貨を出せるし関係ない。通路を進み――椅子に座り、本を読むプランタに話しかけた。
「あの……プランタさん」
「おや。ヘンリーさんではないですか、わざわざひとりで――大金を支払って戻ってくるとは……何か、あったのですか」
少し不思議そうに首を傾げるプランタ。その通り、僕はヨークについて知りたかった。謎多き少女の情報を。
「ヨークのことを知りたい」
「ヨーク様ですか」
「ああ、教えてくれ。彼女は何者なんだ」
「金貨100枚を払ってこの部屋に入ったのです。追い返すわけにはいきませんね」
本を閉じ、椅子から立ち上がるプランタは僕の目の前に寄ってくる。
「ヨークは何なんだ。僕にどうして、こんな金貨の力をくれたんだ」
「彼女は、この国の象徴といいますか、聖女です。ですが、親もいませんし、孤独でした。そこで、私が幼い彼女を引き取ることに」
「え、まってくれ。プランタって何歳なんだ!?」
「……ヘンリーさん。女性に年齢を聞くとは失礼ですよ」
じとっとした目で見られ、僕は慌てる。
「ご、ごめんなさい」
「冗談です。実は、私は延命処置を受けているので通常の人間の三倍生きられるんです」
「え?」
「不老不死にちょっと近いかもしれません。外見こそ変わりにくいですが、でも歳は取っていますし、いつか死にます。まあ、年齢で言えば150歳ってところですね」
「ひゃ、ひゃくごちゅう!?」
うそー……全然そんな風に見えない。ヨボヨボではないし、ぴちぴちの少女。十代と言われても納得するほど若いぞ。
延命処置っていったい、なんだろうな。
「――とにかく。私はかなり昔から、ヨーク様と知り合い、拾った。そして、不思議な力を持っていることに気づいた」
「聖女の力か」
「はい、それが『金貨の力』ですね。もともと金貨は、千年にも及ぶエルフとダークエルフの闘争がきっかけで作られたものです。その力は、妖精王・ヘイスティングス様が……つまり全ては妖精王が与えたものです」
「そいつは、いったい何者なんだ」
「知りたいですか」
「もちろん!」
「実は……」
「実は……?」
「私です」
「…………え?」
「私なんです。妖精王・ヘイスティングス」
「はあああああああああああ!?」
驚いた。
まさか目の前に妖精王・ヘイスティングスがいるとは!!
「驚かせて申し訳ないです。その名は、百年前に広がった名前なんです。それが伝説となって受け継がれてしまったようで。私は本来『大賢者』なんです。それが何故か妖精王だとか噂が広まってしまい……収集がつかなくなってしまったんです」
それが真相だったのかいっ!
そうか、延命処置とかいうのも『大賢者』の御業ってところかな。納得。ヨークがヘンに凄い力を持つ理由も、このプランタのおかげってわけか。
ようやく全てが繋がった。
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「そうだったんだ。僕は、本当に妖精王なんてものがいるかと思っていたよ」
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「ああ、言ってた!」
「それは、枢機卿である私に可能な能力なんです。私がヨーク様に対して送ったものです」
「でもどうして?」
「それは、ヘンリーさん、あなたの未来が視えたからです」
「未来?」
「あなたが『英雄王』になる未来です。この世界を救うんですよ」
「それ、本当だったのか」
「はい、間違いありません。だから、私はヨーク様に神託として情報を与え、ヘンリー様に『金貨増殖』の力を授けたのですよ」
「でもバグってたよ!?」
「それは想定外でした。大賢者の力は、たまに失敗するとそういう事もありますから」
「えー! 失敗だったのー!?」
「結果的には大成功ではありませんか!」
プランタは笑顔で答える。
それでいいのかよっ!
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