金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗

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一万の暗殺者!?

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「あれって……嘘でしょ」


 その人物は、明らかに目立つ『赤色の肌』をしていた。……おいおい、まさか。あれって……そんな馬鹿な。

 フードこそしているけど、腕とか足は見えていた。

 その不審者は明らかに『レッドオーク』の類だった。


 まさか前に屋敷に現れた『グレン』か?


 そうでなくとも、ヤツはアサシンさんの敵でもある。僕としてもあの種族だけは、どうも看過できない。というか、女王様を狙っている可能性は十分に高い。


「あの人です!! あのフードの」
「本当か、ヨーク」
「ええ、間違いありません」


 だとすれば、ここで食い止めれば――あっ、こっちに気づいて逃げ出した。逃がさない!

 金貨投げだと強すぎて周囲を巻き込む恐れがある、だから僕は武器を投げた。


「これでも食らえ、S級フランベルジュ!!」


 ずっと前に買ったS級武器をアイテムボックスから取り出し、投げつけた。それは高速で飛翔するとレッドオークの左肩を貫通。そのまま地面へ突き刺した。


「ぎゃああああああああ!!」

「この暗殺者め!!」

「く、くそぉ……なぜ分かった!!」

「お前のその【▼】のタトゥーさ。それが教えてくれた」
「し、しまった! ……くそう、共和国を崩壊させてオーク王国を建国する計画が……」

「お前、そんなことを企んでいたのか。グレンなのか」

「ああ、グレンさ。そもそも、グレンとはレッドオークの上位存在を指すのだ」
「なるほど。だけどもう関係ない。お前を倒す」
「倒すぅ!? 馬鹿め、この吾輩を倒しても無駄だ。増えるからな」

「知ってるよ。倒し方くらい」

「な……なんだと!?」


「金貨投げええッ!!」


「な、なあああああああああああぬあああああああああ……」


 グレンは、分裂することなく消滅。そう、僕は以前にこの同一種と戦っていた。だから、弱点も知っていた。


「やりましたね、ヘンリーさん!!」
「おう、ヨークとスイカのおかげさ」


 ヨークもスイカも喜んで抱きついてきた。ふぅ、これで暗殺阻止は出来たかな。なんて油断していると、また『グレン』が現れた。

 ま、まさか……嘘だろ!

 ――その後、グレンから情報を聞き出した。どうやら、奴らは自分自身を増やしまくっていたようだった。その数――なんと一万体。

 レッドオークが一万もいたんだ。

 僕は、暗殺にやってくるレッドオークを徹底的に討伐していった。確認して排除、確認して排除――そんな時間をずっと過ごした。


 そうして徹夜でレッドオークを叩き潰し、明け方にようやく終わった。


「……つ、疲れた。もういないよな」


 ヨークもスイカも疲れて眠ってしまった。起きているのは僕だけ。ずっとレッドオークを倒し続けていた。


 どうやら、向こうの暗殺者用に送り込んできたレッドオークは尽きたようだな。だけど、それでもまだ九千とかいるんだろう。全部潰さなきゃ。

 けど、今はこれでいい。

 とりあえず、暗殺は避けられるはず。


 そうして、時間が過ぎて……リィン女王様の演説の時間になった。


 あの金髪の少女がリィン。
 凄く可愛いな。
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