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シュトゥルム辺境伯

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 また土の中。
 それでも、わたしが死ぬことはない。
 最後の切り札がある限り、わたしは生き続ける。

 土の中から這い出ると、そこは知らない場所だった。

 今度はもっと遠くへ、わたしを埋めたのね。

 森らしき場所。
 薄暗くて不気味で幽霊が出そう。

 そんな闇の中を彷徨っていると、墓地に出た。ここは……帝国の管轄する墓地。貴族や戦とかで亡くなった騎士が埋葬されていると聞いた事があった。

 十字架の間を歩いていくと、ふと人が目に入った。男の人だった。


「……フェリックスめ。よくもオルタシアを殺したな……。無念だったろう、悔しかったろう……オルタシア。僕だけは真実を知っている」


 墓前で項垂れる青年の顔には見覚えがあった。
 彼は名高い貴族であり、シュトゥルム辺境伯ヨハネス。わたしにフェリックスを紹介してくれた友人だ。

 そうか、彼はわたしが死んだと勘違いして……。だとすれば、あのお墓は、わたしの……。

 ヨハネスは、わたしの為に泣いてくれていた。彼ってあんなに優しい人だったんだ。知らなかった。
 

「ヨハネス……」
「……!? ……え、なんで……」


 顔を出すと、ヨハネスは信じられない顔をしていた。当然ね。


「ごめんなさい、ヨハネス。わたしは生きているの」
「オルタシア……! オルタシアなのかい!? 幽霊……なのか?」

「違うわ。わたしは死んでなどいない。ある能力のおかげで蘇生を果たしたの。
 けれど、フェリックスとビアトリスに刺されたのは本当。土の中に埋められ、こうして、貴方の前に姿を出したわけなのよ」

「!? !? !? ど、どういうことだい……死者が蘇ったとでも!?」


 動揺するヨハネスに対し、わたしは冷静に説明をした。
 すると彼は驚愕していた。
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