クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
73 / 287

全員と思い出作り

しおりを挟む
 ツルハシを引きずってくる、その人物は――天音を冷徹に見据えた。

「……やっぱり、抜け駆けですか……天音さん」
「き、北上さん! そ、その……これは」

「まさか裸で抱き合っているだなんて、酷いですね」

 怒りや憎しみが混じったような、そんな言葉で絞りだす。……まずいな、目が死んでいるし、俺も天音も殺されそうだ。

 なら、俺は……。

「ちょっと待て、北上さん」
「啓くん、あたしよりも天音さんが良かったんですね……」

「そ、それは……」

「でもいいんです」
「え?」

「あたしは順番とか気にしない。絶対に諦めないし、好きになった人を奪われたのなら……奪い返すまで」


 口元を歪め、北上はツルハシを向けてきた。ちょ、まさか……!

 北上のあの目は本気だ。

 ツルハシで俺と天音を惨殺する気だ。どうにしかしないと、お宝どころじゃないぞ!!

「天音……いざとなったら逃げろ」
「そ、そんな! わたしだけ逃げるだなんて出来ないよ……」
「狙いはお前だからだ。頼む」

「……でも」


 そうこうしている内にも目の前に北上がやって来た。まずい、殺される……!


「啓くん、そんなに身構えなくとも大丈夫です」
「……は?」
「少なくとも、あなたを殺すことはない。天音さんは別ですけどね」
「天音は殺すな。仲間だろ」

「それが啓くんの望みなら仕方ないですが……ですが、愛人の座は譲れません。なので、ここであたしとも愛し合いましょう」


 予想外の提案に俺は頭が真っ白になった。

 北上はなにを……言って……いるんだ!?


「愛人!?」
「そうです。あたしは啓くんの傍にいられるのなら……なんだっていいんです」

 いいのかよっ。
 なかなか寛容というか――だけど、天音は納得しないと思うけどなぁ?

「天音……どうする」
「はぁ~…。仕方ないか。殺されたくないし、それに抜け駆けしたのは……わたしだからね」

 どういう意味だ? と首を傾げていると、それは直ぐに判明した。


「実は、あたしと天音さんで約束していたんです」
「なにを?」
「天音さんに“恋人”のポジションを譲る代わりに、あたしには“愛人”にならせてくれと」

「な、なんだってぇ!?」


 な、なんちゅう約束しているんだよ。ていうか、日本の法律的にどうなんだそれ!


「ああ、もちろん結婚は考えていませんよ。したくなったら、一夫多妻制の法整備がなされている海外へ行けばいいですしね」
「そんな楽観的な……」

 俺は思わず頭を抱えた。
 いやしかし、財宝を手に入れれば海外暮らしも夢ではないな。一夫多妻か……男のロマンだな。

 殺されるかと思ったけど、そういう理由があったとは。

 ていうか、紛らわしいなヤンデレ!

「ですから、天音さんを少し殺したくなりましたけど……許しましょう」
「マジかよ。マジなのかよ」
「ええ。ただし、今からあたしとシましょう。それが条件です」


 とんでもない条件だ。
 ていうか、今は絶賛ハイパー大賢者モード中。とてもじゃないが、北上の相手をするなんて……不可能だ。


「すまない……元気がもうなくて」
「では、元気にさせてあげます」


 そう言って北上は服を脱ぎ始めた。

 いやいや、反応するわけ――…<<ギュゥゥゥゥゥゥン!!!!!>>…――!!!

 ……してしまった。

 不覚にも元気になってしまった。


「くそっ、北上さん……なんちゅうエロい体してるんだよッ」
「……フフ。良かったです。これで愛し合えますね」


 俺は抱きつかれて、もう逃げられなかった。
 隣で天音は呆然となり立ち尽くしているし、これはもうヤるしかないのか。


 * * *


 あれからニ十分後。

 ――俺は結局、北上と致してしまった。

 自分で言うのもなんだが……こんな絶倫ではなかったはずだ。

 だけど、これで二人が納得してくれるのならいいけど。


「ふぅ……」


 汗を拭っていると、例の穴の方から気配があった。……む? 大伊たちがこっちへ来たのかな。


「……いたいた。こっちにいたんだ、早坂くん――って、なにこれええええええええええ~~~!?!?!?」


 俺と天音、そして北上の状況を見て驚く大伊たち。顔を真っ赤にして、慌てていた。


「ちょ、早坂くん……なにしてるの!!」
「こ、これは、その……琴吹さん!」

「ちょっと、私も混ぜてよ!!」

「いやだから…………は!?」


 どういうことだと立ち尽くしていると、大伊がこう言った。


「琴吹さんの言う通りだよ。私達もなんで混ぜてくれないの!」

「は!? は!? はあああああああ!?」

「あのさ、早坂くん。私達、もう切っても切れない縁で繋がっているんだよ。早坂くんと関わった女子は、みんなそう思ってる。みんな早坂くんが好きなの!」


 ――知らなかった。
 知らなかったぞ……!!


 そうだったのか……俺ってそんなにモテモテだったのか。言われるまで、まったく気づかなかったぞ。

 ということは、遠慮する必要なかったのか。

 俺はずっと紳士に振舞ってきたつもりだった。


 だけど、みんな俺そういうことしたかったんだ。


「……先を越されたぁ。早坂くん、私も忘れないでね」
「草埜さんも?」
「うん。いいでしょ?」


 それから俺は、女子たち全員の相手をすることになった…………。いや、死ぬって!


 * * *


「……あぁ、疲れた」


 洞窟の中で女子たち全員と思い出作りをすることになろうとはな。
 おかげであちらこちら筋肉痛だ。

 休憩も終わったところで、そろそろ財宝を探しに行くか。


「早坂くん、寝てないで出発しよっか」
「天音たちのせいだろッ。俺は搾り取られてもうヘロヘロなんだ」
「あ、あははは……ごめんね。無茶させちゃって」
「ていうか、天音。本当にこれで良かったのか?」

「まー…、本音を言えば複雑だけどね。ちなみに、誰が一番良かったの?」

 天音のやつ、そんなこと聞くのかよッ。
 だが、ここはせめて。

「も、もちろん、天音だ」
「そ……それならいいけどね」


 こうなった以上、俺が責任取るしかないな。財宝を見つけて、みんなで幸せを掴む。これしかない……!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...