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爆発の連鎖とニュース規制
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敵は二人組。
監視カメラのロシア人ではなく、別人。つまり、仲間といったところか。
北上さんがレミントン・デリンジャーを構えているが、あれでは対応しきれない。
ここは俺が対処するしかない。
レベデフ・ピストルを敵に向け、俺は精密射撃。
車のミラーを破壊した。惜しい……!
だが、敵はビビって身を隠した。まさか、こっちが銃を持っているとは思わなかったらしい。今がチャンスだ。
駐車場には複数の車が駐車されている。
車の陰に隠れて俺は合間を縫っていく。敵の姿が見えたら射撃。それを繰り返して接近していく。
「北上さん、俺がヤツ等を始末する」
「了解。援護します」
出来れば人間は殺したくない。
けれど、仲間を傷つける奴は許せない。万死に値する。やられたからには、俺は容赦なく相応の反撃をする。そうでなければ、この先は生き残れない。だから――。
俺はついに、敵の車の前に辿り着いた。
銃を向けるとロシア人二人組が驚いて反撃してこようとした。しかし、俺の方が早かった。迅速に引き金を引いて、俺は男の肩を撃ち抜いた。
もう一人の黒服の撃つ弾が俺の頬を掠める。……あっぶねえ。運が良かった。
反撃しようとするが、黒服が車から飛び出して身を隠した。くそ、どこ行きやがった。
「危ない、啓くん!!」
背後から北上さんの声がして振り向こうとすると、黒服が俺を撃とうとしていた。だが、北上さんのレミントン・デリンジャーが黒服の胸部を撃ち抜いた。
「がはッ!!!」
バタッと倒れてロシア人は死んだ。
またも運が良かった。
北上さんの武器がなかったら、俺はお陀仏だったかもしれない。
「助かった……」
「ケガはありませんか?」
「問題ない。それよりも、艾が負傷した」
「ええ。今、千年世が看てくれていますので」
現場は銃撃戦のせいで騒然となっている。既に遠方からパトカーの音が。まずいな。
「直ぐにフェリーへ向かおう」
「ちょうど五分後には出るようです。最低限の荷物を持ち、行きましょう」
天音たちに荷物を持つよう指示を出し、フェリーへ向かった。
足早に乗り込み、なんとか時間に間に合った。
それから直後、パトカーが現場に到着。と、同時にロシア人たちが乗っていた車が爆発を起こした。俺たちが乗ってきたマイクロバスも巻き込まれ、大炎上。
更に一般車も巻き込んで爆発の連鎖。
大火事となり、まるで戦場みたいになっていた。
こんなになっているのにフェリーは止まらず、沖縄を目指した。
船はちょうど港から離れたし、航行に問題はないということなのだろう。
「ねえ、てっちゃん……ハリウッド映画みたいなことになってるよ」
遠くを見つめる桃枝が顔を青くして言った。確かに、これはやりすぎだ。
恐らくあのロシア人の車には爆薬が仕掛けられていたんだ。
もしもの時に自爆できるように。
ヤツ等、証拠を残さず消滅する覚悟があるとはな。
「ていうか、ありえないって……。なんで日本で銃撃戦が起きるの!」
深刻そうな表情でリコは、そんな風に言葉を漏らす。その通りだ。銃規制の厳しい日本でこんなアメリカみたいなことは起きてはならない。しかし、これが現実だった。
そこまでして俺たちを、財宝を狙う者は多く存在するということだ。
船内へ入り、俺は艾の容体を確認した。
「なにか必要なものはあるか、艾」
「だ、大丈夫……。迷惑かけてごめんなさい」
「謝る必要はない。悪いのはロシア人なんだ」
「でも……」
「今は寝てろ。薬が効いているはずだ」
「……そうだね、本当にごめんね」
何度も謝る艾。
責任を感じているのかもしれない。
しばらくして艾は眠った。
今はとにかく、この船で沖縄を目指す。
無人島へ入り……財宝を現金化していく。それだけだ。
* * *
あの鹿児島港の事件から一時間が経過。
ネットニュースに事件のことは掲載されていなかった。SNSにいくつか爆発の動画が投稿されていたが、桜島の噴火だとかフェイクニュースだとかで、たいした反応は得られていなかった。
どうやら、今回のことはあまりに現実離れしすぎていたようだ。それと報道規制が掛かったようだ。
そりゃそうだ。
日本で銃撃戦とか、正気の沙汰ではない。
警察もこのことは伏せておきたい事件なのかもしれない。特に、ロシア人が関わっているとなるとな。
そんなことを考えていると、天音が飲み物を買ってきてくれた。
「どうぞ、早坂くん」
「ありがとう、天音。そや、運転手さんは大丈夫だったか? 専属の執事なんだろ?」
「彼は大丈夫。あの混乱に乗じて逃げてくれたから」
「そりゃ良かった」
「それより、早坂くん。君はいつも無茶しすぎ」
天音が俺の隣に腰掛け、身を寄せてくる。
いつもながらドキドキする。
俺から天音の手に触れようとするが、先に天音が俺の手を握った。予想外のことにドキドキして困ったことになった。
「そ、そうかな」
「そうだよ。死んじゃうところだったんだよ」
「すまん。確かにやられそうになっていた」
北上さんのおかげで命拾いした。あとでお礼を言っておくか。
「でしょ。人間、いつ死ぬか分からない。だから悔いのないよう、わたしが早坂くんを癒してあげるからね」
突然キスをされ、俺は固まった。
……そうだな。
またいつ命を狙われるか分からない。
今日という日を悔いのないようにな。
監視カメラのロシア人ではなく、別人。つまり、仲間といったところか。
北上さんがレミントン・デリンジャーを構えているが、あれでは対応しきれない。
ここは俺が対処するしかない。
レベデフ・ピストルを敵に向け、俺は精密射撃。
車のミラーを破壊した。惜しい……!
だが、敵はビビって身を隠した。まさか、こっちが銃を持っているとは思わなかったらしい。今がチャンスだ。
駐車場には複数の車が駐車されている。
車の陰に隠れて俺は合間を縫っていく。敵の姿が見えたら射撃。それを繰り返して接近していく。
「北上さん、俺がヤツ等を始末する」
「了解。援護します」
出来れば人間は殺したくない。
けれど、仲間を傷つける奴は許せない。万死に値する。やられたからには、俺は容赦なく相応の反撃をする。そうでなければ、この先は生き残れない。だから――。
俺はついに、敵の車の前に辿り着いた。
銃を向けるとロシア人二人組が驚いて反撃してこようとした。しかし、俺の方が早かった。迅速に引き金を引いて、俺は男の肩を撃ち抜いた。
もう一人の黒服の撃つ弾が俺の頬を掠める。……あっぶねえ。運が良かった。
反撃しようとするが、黒服が車から飛び出して身を隠した。くそ、どこ行きやがった。
「危ない、啓くん!!」
背後から北上さんの声がして振り向こうとすると、黒服が俺を撃とうとしていた。だが、北上さんのレミントン・デリンジャーが黒服の胸部を撃ち抜いた。
「がはッ!!!」
バタッと倒れてロシア人は死んだ。
またも運が良かった。
北上さんの武器がなかったら、俺はお陀仏だったかもしれない。
「助かった……」
「ケガはありませんか?」
「問題ない。それよりも、艾が負傷した」
「ええ。今、千年世が看てくれていますので」
現場は銃撃戦のせいで騒然となっている。既に遠方からパトカーの音が。まずいな。
「直ぐにフェリーへ向かおう」
「ちょうど五分後には出るようです。最低限の荷物を持ち、行きましょう」
天音たちに荷物を持つよう指示を出し、フェリーへ向かった。
足早に乗り込み、なんとか時間に間に合った。
それから直後、パトカーが現場に到着。と、同時にロシア人たちが乗っていた車が爆発を起こした。俺たちが乗ってきたマイクロバスも巻き込まれ、大炎上。
更に一般車も巻き込んで爆発の連鎖。
大火事となり、まるで戦場みたいになっていた。
こんなになっているのにフェリーは止まらず、沖縄を目指した。
船はちょうど港から離れたし、航行に問題はないということなのだろう。
「ねえ、てっちゃん……ハリウッド映画みたいなことになってるよ」
遠くを見つめる桃枝が顔を青くして言った。確かに、これはやりすぎだ。
恐らくあのロシア人の車には爆薬が仕掛けられていたんだ。
もしもの時に自爆できるように。
ヤツ等、証拠を残さず消滅する覚悟があるとはな。
「ていうか、ありえないって……。なんで日本で銃撃戦が起きるの!」
深刻そうな表情でリコは、そんな風に言葉を漏らす。その通りだ。銃規制の厳しい日本でこんなアメリカみたいなことは起きてはならない。しかし、これが現実だった。
そこまでして俺たちを、財宝を狙う者は多く存在するということだ。
船内へ入り、俺は艾の容体を確認した。
「なにか必要なものはあるか、艾」
「だ、大丈夫……。迷惑かけてごめんなさい」
「謝る必要はない。悪いのはロシア人なんだ」
「でも……」
「今は寝てろ。薬が効いているはずだ」
「……そうだね、本当にごめんね」
何度も謝る艾。
責任を感じているのかもしれない。
しばらくして艾は眠った。
今はとにかく、この船で沖縄を目指す。
無人島へ入り……財宝を現金化していく。それだけだ。
* * *
あの鹿児島港の事件から一時間が経過。
ネットニュースに事件のことは掲載されていなかった。SNSにいくつか爆発の動画が投稿されていたが、桜島の噴火だとかフェイクニュースだとかで、たいした反応は得られていなかった。
どうやら、今回のことはあまりに現実離れしすぎていたようだ。それと報道規制が掛かったようだ。
そりゃそうだ。
日本で銃撃戦とか、正気の沙汰ではない。
警察もこのことは伏せておきたい事件なのかもしれない。特に、ロシア人が関わっているとなるとな。
そんなことを考えていると、天音が飲み物を買ってきてくれた。
「どうぞ、早坂くん」
「ありがとう、天音。そや、運転手さんは大丈夫だったか? 専属の執事なんだろ?」
「彼は大丈夫。あの混乱に乗じて逃げてくれたから」
「そりゃ良かった」
「それより、早坂くん。君はいつも無茶しすぎ」
天音が俺の隣に腰掛け、身を寄せてくる。
いつもながらドキドキする。
俺から天音の手に触れようとするが、先に天音が俺の手を握った。予想外のことにドキドキして困ったことになった。
「そ、そうかな」
「そうだよ。死んじゃうところだったんだよ」
「すまん。確かにやられそうになっていた」
北上さんのおかげで命拾いした。あとでお礼を言っておくか。
「でしょ。人間、いつ死ぬか分からない。だから悔いのないよう、わたしが早坂くんを癒してあげるからね」
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