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地下トンネル脱出
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死体の焦げた臭いが漂う。
死屍累々の戦場と化した神造島。俺たちが経験した中ではトップクラスの凄惨がそこにはあった。
にも拘わらず、敵は諦めることなく進軍を続ける。……そこまでして俺たちの財宝が欲しいのか。
ただ、こちらの弾薬やドローンも数を減らしていた。ジリ貧だ。
このままではこちらが不利になる。
向こうもそう感じ始めているのか、かなり慎重になっている。膠着状態となっていた。
おかげでいったん拠点へ戻ることができた。
「……北上さん。向こうも様子見らしいな」
「そのようですね。ただ、我々の物資には限界があります。向こうの方が何倍何十倍もあるでしょうし、いずれは押し切られます」
だよなぁ。ずっとこのままとはいかない。
作戦を練り直すか。
戻ると、みんな座って疲れた表情を見せていた。ずっと戦い続けているから、こんな顔にもなるよな。
「外の様子はどうだった?」
「ああ、天音。数百メートル先に敵がいたが排除した。敵のボスであるヴァレンティンの動きは依然掴めぬままだ。多分、結構近い場所にいると思われる」
「そっか。戦いはまだ終わらないんだね」
「残念だが、最後まで戦うしかないかもしれない」
「え……どういうこと?」
俺は、さきほど北上さんから聞かされた『八咫烏』について、みんなに詳しく話した。 すると、桃枝は都市伝説を知っていたようだ。
「あ~。有名だよね、八咫烏って。そっか、やっぱり日本政府を裏で操っていたんだね」
納得する桃枝。
どうやら、あるネット界隈でも有名な話らしい。日本最古の秘密結社であり、陰陽道、神道、仏教、宮中祭祀に精通しているようだ。
しかも八咫烏のメンバーは名前もなければ戸籍もないというウワサも。
メンバーは約七十人。
トップは三人。その中から『裏天皇』が選ばれ、暗躍しているという。彼らには日本の法律が適用されないようだ。だから、裏でなんでもできるわけだ。
今回のことも、その裏天皇が仕切っている可能性が高いらしい。
「マジか、桃枝」
「うん。その話は有名だよ。日本の歴史すら彼らによって書き換えられているとかね」
「ヤバ……」
そのことを初めて知った天音、千年世やリコ、万由里さんすらも戦慄していた。艾は頭を抱えてうずくまっていた。怖いよな、こんな話。
そんな重苦しい空気の中で北上さんだけは冷静に、桃枝に聞いていた。
「桃枝。八咫烏が動いていたとします。この神造島での出来事はもみ消されているとして……彼らはロシアに頼りきりということはあるのでしょうか?」
「ないだろうね。八咫烏も動きを見せると思う。日本にとどまるのは危険」
やはり、日本脱出しか道はなさそうだな。
そう思っていると近くで爆発が起きた。
この音、かなり近いな。
攻めてきたか……!
「ドローンは尽きた。俺と北上さんで応戦する。みんなは直ちに後退してくれ」
「ちょ、二人で戦う気!? そんなの無茶だよ」
珍しく声を荒げるリコは、自分も出撃すると銃を手にした。みんなも次々と参戦の意思を示す。
「水臭いですよ、哲くん」
「千年世まで……いいのか?」
「大丈夫です。まだまだ戦えます」
みんなの気持ちは一緒か。
よし、なら……もう少し戦おう。
「分かった。だが、無茶はするな」
銃を手に取り、地下トンネルを脱出する。
慎重に外の様子を伺い――飛び出た。
するとすぐに銃撃が始まり、俺と北上さんで応戦した。
「やはり、かなり接近されていますね……!」
「近いな!」
M4カービンで撃って撃って撃ちまくる。
さらにM320グレネードランチャーを撃ち、けん制。これで少しの間は時間が稼げる――と、思ったが敵の反撃がすぐに始まった。
クソッ、思ったよりも激しい。
まるで映画のプライベートライアンのオマハビーチを思わせるような激しい銃撃だ。
「ここは私にお任せください」
M249軽機関銃を持つ千年世が援護射撃を始めた。
弾丸の嵐が敵陣に向かっていく。
よし、今のうちに後退して立て直す!
死屍累々の戦場と化した神造島。俺たちが経験した中ではトップクラスの凄惨がそこにはあった。
にも拘わらず、敵は諦めることなく進軍を続ける。……そこまでして俺たちの財宝が欲しいのか。
ただ、こちらの弾薬やドローンも数を減らしていた。ジリ貧だ。
このままではこちらが不利になる。
向こうもそう感じ始めているのか、かなり慎重になっている。膠着状態となっていた。
おかげでいったん拠点へ戻ることができた。
「……北上さん。向こうも様子見らしいな」
「そのようですね。ただ、我々の物資には限界があります。向こうの方が何倍何十倍もあるでしょうし、いずれは押し切られます」
だよなぁ。ずっとこのままとはいかない。
作戦を練り直すか。
戻ると、みんな座って疲れた表情を見せていた。ずっと戦い続けているから、こんな顔にもなるよな。
「外の様子はどうだった?」
「ああ、天音。数百メートル先に敵がいたが排除した。敵のボスであるヴァレンティンの動きは依然掴めぬままだ。多分、結構近い場所にいると思われる」
「そっか。戦いはまだ終わらないんだね」
「残念だが、最後まで戦うしかないかもしれない」
「え……どういうこと?」
俺は、さきほど北上さんから聞かされた『八咫烏』について、みんなに詳しく話した。 すると、桃枝は都市伝説を知っていたようだ。
「あ~。有名だよね、八咫烏って。そっか、やっぱり日本政府を裏で操っていたんだね」
納得する桃枝。
どうやら、あるネット界隈でも有名な話らしい。日本最古の秘密結社であり、陰陽道、神道、仏教、宮中祭祀に精通しているようだ。
しかも八咫烏のメンバーは名前もなければ戸籍もないというウワサも。
メンバーは約七十人。
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「マジか、桃枝」
「うん。その話は有名だよ。日本の歴史すら彼らによって書き換えられているとかね」
「ヤバ……」
そのことを初めて知った天音、千年世やリコ、万由里さんすらも戦慄していた。艾は頭を抱えてうずくまっていた。怖いよな、こんな話。
そんな重苦しい空気の中で北上さんだけは冷静に、桃枝に聞いていた。
「桃枝。八咫烏が動いていたとします。この神造島での出来事はもみ消されているとして……彼らはロシアに頼りきりということはあるのでしょうか?」
「ないだろうね。八咫烏も動きを見せると思う。日本にとどまるのは危険」
やはり、日本脱出しか道はなさそうだな。
そう思っていると近くで爆発が起きた。
この音、かなり近いな。
攻めてきたか……!
「ドローンは尽きた。俺と北上さんで応戦する。みんなは直ちに後退してくれ」
「ちょ、二人で戦う気!? そんなの無茶だよ」
珍しく声を荒げるリコは、自分も出撃すると銃を手にした。みんなも次々と参戦の意思を示す。
「水臭いですよ、哲くん」
「千年世まで……いいのか?」
「大丈夫です。まだまだ戦えます」
みんなの気持ちは一緒か。
よし、なら……もう少し戦おう。
「分かった。だが、無茶はするな」
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慎重に外の様子を伺い――飛び出た。
するとすぐに銃撃が始まり、俺と北上さんで応戦した。
「やはり、かなり接近されていますね……!」
「近いな!」
M4カービンで撃って撃って撃ちまくる。
さらにM320グレネードランチャーを撃ち、けん制。これで少しの間は時間が稼げる――と、思ったが敵の反撃がすぐに始まった。
クソッ、思ったよりも激しい。
まるで映画のプライベートライアンのオマハビーチを思わせるような激しい銃撃だ。
「ここは私にお任せください」
M249軽機関銃を持つ千年世が援護射撃を始めた。
弾丸の嵐が敵陣に向かっていく。
よし、今のうちに後退して立て直す!
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