元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第160話 邪悪な気配

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「わたしは、ラッキーだったわ」

『なんだと』

「あんたを一撃で倒せばいいのよね」

『……ああ、出来るものならな』

 ネーブルは、服に手を突っ込んでいた。ごそごそと何かを探して、それを取り出した。……って、まさかあの黒い水晶は『死の呪い』を発動できる……あのハービィの持ち物じゃないか。そうか、ネーブルが拾っていたのか!


「呪いを発動する。対象はトール、あんたよ!!」
『なっ……呪いのアイテムだと! そんなものが通じるはずが――がぁ!? がぁぁぁああうあぁぁあああぁあッ!!」

 効いてる。
 闇そのものである俺には効かんが、向こうは、レジェンド級とはいえ『モンスター扱い』の神様。死の呪いは有効ってわけだ。けれど、モンスターの中には、呪いを受け付けないヤツもいるのだが、どうやらトールには有効らしいな。

「ユメ、これは試練・・でもあるから、あのトールは本来の神様とは程遠い存在。もし、あれが本物の力を持つ方であったのなら、ネーブルどころか地域一帯が消滅している」

 だろうな。
 あのトールの最初のやる気の無さは、きっと自身の能力が分かっていたからだろう。制限と制約だらけの召喚儀式。そりゃ怠惰たいだに陥るわな。


『く……ぁ……』


 死の呪いを受け、バタリと倒れたトールは沈んだ。


「か……勝った! これは勝利でいいのよね!?」
「ああ、ネーブル。ドロップした武器を使うのと一緒で、アイテムを使うのは冒険者の基本だ。そこに間違いは決してない。お前の勝ちだよ」

「……やった!」

 ――だが、その時だった。

 天井から『サンダーボルト』が降って来た。だが、フォースが機転を利かせ、スーパーノヴァで振り払った。ナイス。

「この程度は楽勝」
「助かったよ、フォース」

「……す、すご。フォースちゃん凄すぎ。あれが大魔法なの……」

 そういえば、ネーブルは初めて見たのか。


『――ほう、わたしの力を遮るか。まあよい、今は風属性魔法の基本である『ライトニングボルト』、『サンダーボルト』だ。それだけ覚えれば十分だろう。のう、ネーブル』

「え……まさか、訓練してくれていたの?」

『うむ。目で、その体で感じれば自ずと理解が追いつく。ネーブル、貴様を認めよう。まさか、死の呪いを浴びる羽目になるとは思わなかったがな。――さて、この体も死によって崩壊を初めておる。そこの少年、何とか出来るのではないのかね』

「分かった。ただし、ネーブルを超初心者にするんだ。それが条件だ。いいな」

 トールは「誓おう」と約束してくれたので、俺はダークエンチャントを応用し、彼女の呪いを解いた。


『闇使いの勇者とはな。これは珍しい』
「いろいろ事情があってね」
『まあよい。魔王軍の事はなんとなく理解しておる。ヤツ等を滅せねば、わたしの故郷である風の帝国キリエも危ういでな。ネーブルよ、お前に『ライジン』を授ける』

 手をネーブルの頭に添えるトールは、力を流し込んでいた。ビリビリと流れゆく激しい電流。普通、感電死とかしそうなものだが、ネーブルは平気だった。


「わわ、わわわわ……。ぜんぜんビリビリしない。なんか力が沸くっていうか……すごい力よ。これが『ライジン』なの」

『そうだ。お前には、最強の風属性魔法の力が集約される。今後は、ライジンを操り、人々を救うがいい。……ふむ、どうやらエネルギー切れのようだ、わたしはこれで消える』

「あ、ありがとう、トール」

『なぁに、ネーブル、お前の事は気に入った。今後、更なる上位魔法も伝授しよう。わたしの最強のライジンをな――』


 ニカッと笑って、トールは消えた。


「ネーブル! 変化は?」
「え、ええ……ちょっと試してみるわね」

 何もない方に手を向け、ネーブルはつぶやいた。


「ライトニングボルト……」


 ドォォォォォォォォォォ……と、轟雷が走って、目の前がバリバリと光った。とんでもない放電が起きて、とんでもない風が舞った。むちゃくちゃな!


「うあぁぁぁ、ネーブル!」
「うそ……ちょっと撃っただけよ!? ここまでの威力なの、ライジン……」

 あのフォースでさえ、ビビっていた。
 涙目になって俺に飛びついてきた程だった。おいおい、こんな恐怖に怯えるフォースは、初めて見たぞ。

「……ユメ、こわい」
「あはは……」

「ユメ様、ネーブル様がスゴイ力を」
「そうだな、ここまでとは思わなかったな」

 本人が一番驚いているだろうな。


 ◆


 遺跡を出て、階段を上がると――そこには。


「……待っていたぞ、お前たち」

「この邪悪な気配……魔王軍の幹部か」

「そうさ、我が名は『ルドラ』だ。この遺跡に眠る神の力を奪いに来た……さあ、教えてもらおうか、トールの居場所を」
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