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【132】 帝国・レッドムーンの皇女
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黒い眸が俺を見ていた。
赤黒い高級のドレスに身を包む少女――ルナ。
驚くべき事に、まるでお姫様のような気高さとか気品があった。……美しくも儚げ。今にも消えてしまいそうなほど希薄な存在。
少なくとも俺にはそう映った。
ルナは静かに腰を下ろし、俺を見据えた。
「……カイト様。わたしは【帝国・レッドムーン】の皇女です。名をルナ・オルビスと申します。これが本当のわたし」
「ルナ……」
「もう自分を偽りたくなかったのです……。本当のわたしを一番大切な存在である貴方に知って欲しかった。だから――」
……なんとなく。
そうではないかと思っていた。
だって、ルナは美しすぎた。
こんな言葉では言い表せない程の美人は他にはいない。唯一無二の存在だ。
帝国の騎士であるソレイユだって、人一倍ルナを気にかけていたし……。おかしいとは思ったんだ。でも、これで確信した。彼女はメイドなんかではなかった。
この国の皇女だったのだ。
「教えてくれてありがとう」
「どうか、わたしを嫌いにならないで欲しいです」
「嫌いになんてなるものか! 寧ろ惚れ直した」
「……嬉しい」
胸に手を当て、微笑むルナ。
月のように美しかった。
俺はそんなルナに見惚れていた――すると。
いきなり二本の槍が飛んで来て、ルナに刺さろうとした。けれど、ルナは防御スキルで槍を完全に止めた。
「……ルナ、その力……やっぱり」
「わたしは、ある三年間で聖職者の頂点である『シマープリースト』に上り詰めました。大賢者のパラディ・アプレミディ卿の指導を受けたのです。それからメイドの……」
そうか――。
それで、ルナのスキルは強力だったのか。
大賢者パラディ・アプレミディか……恐らくその人こそが、賢者限定ギルドのマスターに違いない。
『……バケモノだな。ルナ・オルビス』
少女の声。
こ、この凛とした声は――まさか!
『ほう……。その弱々しい気配……これはカイトではないか。わざわざ戦地へやって来るとはな、そのような気概があったとは』
あの天使と悪魔の翼……二本の槍。
「シャロウの副マスター・エキナセアか……」
その白と黒の翼で羽ばたく少女。
あれがなんの種族か不明だった。
調べたこともあったが、結局何も分からなかった。でも噂だけは分かった。これは、ただの噂ではあるが『エルドラド族』という、古代の種族が存在するらしい。
そして……ギルド『エル・ドラード』存在しているから……関連性はあるのかもしれない。
「我が『聖槍』と『神槍』をいとも容易く弾くとはな。ルナ・オルビス、貴様のレベルを問おうではないか。参考に教えてくれないか」
楽しそうにエキナセアはルナにレベルを聞いた。彼女は当然、答えないと思ったのだが……。
「レベルは『999』です。カイト様にお願いして調整していますので」
「……レベル999でこの強さ? 馬鹿も休み休みに言え。……だが、こちらの戦力は変わらず五人だ。どう対処するというのかな。その脆弱な男を守りながらでな」
「カイト様は弱くありませんよ」
そう言い放つと、奥の闇から四人が姿を現す。
努力家のエフォール。
生粋のエルフで魔法使いのコレリック。
ドワーフ族のトラモント。
……あの不気味な仮面。
ヤツはなんだ!?
「…………ククク、カイト。お前を殺しに来たぜ」
「て、てめ……その声はバオか!」」
そうか、殺人鬼の正体はヤツか――!
俺に復讐しに来たのか。
これで五人も揃ったのか……。
ほぼ主力メンバー、豪傑たち。
この状況は圧倒的に不利だが……レベルを奪えばあるいは。
「ルナ、相手は五人だぞ!」
「……ええ、全員を倒すのは不可能でしょう。ですが、カイト様の力をお借りできれば……」
「俺の力を?」
「ええ、貴方でなければダメなんです」
ルナが自然と手を繋いで来た。
……信じよう。
ルナを。
赤黒い高級のドレスに身を包む少女――ルナ。
驚くべき事に、まるでお姫様のような気高さとか気品があった。……美しくも儚げ。今にも消えてしまいそうなほど希薄な存在。
少なくとも俺にはそう映った。
ルナは静かに腰を下ろし、俺を見据えた。
「……カイト様。わたしは【帝国・レッドムーン】の皇女です。名をルナ・オルビスと申します。これが本当のわたし」
「ルナ……」
「もう自分を偽りたくなかったのです……。本当のわたしを一番大切な存在である貴方に知って欲しかった。だから――」
……なんとなく。
そうではないかと思っていた。
だって、ルナは美しすぎた。
こんな言葉では言い表せない程の美人は他にはいない。唯一無二の存在だ。
帝国の騎士であるソレイユだって、人一倍ルナを気にかけていたし……。おかしいとは思ったんだ。でも、これで確信した。彼女はメイドなんかではなかった。
この国の皇女だったのだ。
「教えてくれてありがとう」
「どうか、わたしを嫌いにならないで欲しいです」
「嫌いになんてなるものか! 寧ろ惚れ直した」
「……嬉しい」
胸に手を当て、微笑むルナ。
月のように美しかった。
俺はそんなルナに見惚れていた――すると。
いきなり二本の槍が飛んで来て、ルナに刺さろうとした。けれど、ルナは防御スキルで槍を完全に止めた。
「……ルナ、その力……やっぱり」
「わたしは、ある三年間で聖職者の頂点である『シマープリースト』に上り詰めました。大賢者のパラディ・アプレミディ卿の指導を受けたのです。それからメイドの……」
そうか――。
それで、ルナのスキルは強力だったのか。
大賢者パラディ・アプレミディか……恐らくその人こそが、賢者限定ギルドのマスターに違いない。
『……バケモノだな。ルナ・オルビス』
少女の声。
こ、この凛とした声は――まさか!
『ほう……。その弱々しい気配……これはカイトではないか。わざわざ戦地へやって来るとはな、そのような気概があったとは』
あの天使と悪魔の翼……二本の槍。
「シャロウの副マスター・エキナセアか……」
その白と黒の翼で羽ばたく少女。
あれがなんの種族か不明だった。
調べたこともあったが、結局何も分からなかった。でも噂だけは分かった。これは、ただの噂ではあるが『エルドラド族』という、古代の種族が存在するらしい。
そして……ギルド『エル・ドラード』存在しているから……関連性はあるのかもしれない。
「我が『聖槍』と『神槍』をいとも容易く弾くとはな。ルナ・オルビス、貴様のレベルを問おうではないか。参考に教えてくれないか」
楽しそうにエキナセアはルナにレベルを聞いた。彼女は当然、答えないと思ったのだが……。
「レベルは『999』です。カイト様にお願いして調整していますので」
「……レベル999でこの強さ? 馬鹿も休み休みに言え。……だが、こちらの戦力は変わらず五人だ。どう対処するというのかな。その脆弱な男を守りながらでな」
「カイト様は弱くありませんよ」
そう言い放つと、奥の闇から四人が姿を現す。
努力家のエフォール。
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ドワーフ族のトラモント。
……あの不気味な仮面。
ヤツはなんだ!?
「…………ククク、カイト。お前を殺しに来たぜ」
「て、てめ……その声はバオか!」」
そうか、殺人鬼の正体はヤツか――!
俺に復讐しに来たのか。
これで五人も揃ったのか……。
ほぼ主力メンバー、豪傑たち。
この状況は圧倒的に不利だが……レベルを奪えばあるいは。
「ルナ、相手は五人だぞ!」
「……ええ、全員を倒すのは不可能でしょう。ですが、カイト様の力をお借りできれば……」
「俺の力を?」
「ええ、貴方でなければダメなんです」
ルナが自然と手を繋いで来た。
……信じよう。
ルナを。
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