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第13話 一緒に支え合っていこう
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遥の父親が大手企業のヤッホーの社長とかマジかよ。衝撃的な事実に焦っていると遥がニヤニヤと笑い、こちらを見ていた。あの悪い顔、もしかして全てお見通しというわけか。なんてことだ、やられたよ。
俺のアカウントも何かしらの方法で見つけた出したのだろう。ヤッホーの社長の娘なんだ。特別な権限を持っていてもおかしくはない。
でも、よく俺だって気づいたな。
「ねえ、遙くん。わたしに何かプレゼントがあるんじゃないのかな~?」
く、くぅ……。
出来れば自然に結婚指輪を渡そうとしていたのに、俺はいつの間にか遥の掌の上で踊らされていたらしい。
――いや、まてよ。
親父も共犯者か!?
まさか親父のヤツ、ハメやがったなあぁぁぁ……!?
あくまで容疑だけどさ。
いやしかし、それよりも重要なのは現在だ。気づかれていたことに、俺は羞恥心がピークに達した。
……わ、渡し辛い。
頭の中が真っ白になって――結婚指輪を渡しにくくなってしまった。くそう、なんで俺が顔を真っ赤にしているんだよ。くぅ……。
「……は、遥。その、だな」
期待の眼差しを向けられる。
それが、陽射しのように眩しくて……同時に大きなプレッシャーとなって圧し掛かった。余計に渡し辛いじゃないか。
だめだ、指輪を渡せない。
恥ずかしいという気持ちが次第に“怖い”に変わっていく。俺は……恐れているのか?
「怖い――って、思ってる?」
「は、遥! 俺の心を勝手に読むなよ。読心術かよ」
「うん、まあね。わたし、相手の表情とかで何考えているかある程度は分かるんだ」
なにその特技。
無駄に凄いスキルだな。
けれど、おかげで緊張とか恐怖心が薄れた。遥の不思議なオーラに負ける。コイツといると、変な気持ちもあっと言う間に和らいでしまう。
俺と遥は相性バッチリなのかもしれない。そうでなければ、同居なんて出来ないよな。ああ、そうだ。こんなところで躓いている場合ではない。
だけど、指輪を渡すタイミングは今でもない。
俺にはある予感があった。
「遥、プレゼントは明日でいいか。確かめたいことがあるんだ」
「確かめたい、こと?」
「ああ、だから……悪い。でも、絶対に渡すから」
「……遙くん。まさか、他に好きな子がいるとかじゃないよね」
「え」
なぜか知らないが目が虚ろになる遥さん。フォークを持ち、俺を刺そうとした。――って、うわッ!!
あっぶね、右手を串刺しにされるところだった。なんとか緊急回避し、事なきを得たが……一瞬遅れていたら、俺の右手から血がドバドバだったろうな。怖いって。
「違うの!?」
「違うって、誤解だよ。薄々気づいていると思うけど俺は、ヤッホーの知恵袋に“ある質問”をした。その時、なにか違和感を感じたんだ」
「違和感?」
「明日になれば分かるさ。今日はもうゆっくりして寝よう」
「じゃあ、明日には渡してくれるんだよね?」
「もちろんだ。俺を信じてくれ」
「うん、分かった。遙くんを信じるね」
機嫌を取り戻す遥は、笑顔を見せた。
さっき一瞬めちゃくちゃ怖かったけどな。
* * *
七月七日、木曜日――七夕を迎えた。
遥と同じ部屋で起床し、同じように顔を洗い歯を磨く。制服に着替えて朝食を頂く……って、いつの間にか馴染んでいるな俺も遥も。これが夫婦ってヤツなのか?
朝支度を終え、登校開始。
スクールバッグを持ち、長いエレベーターを降りてマンションを出た。そのまま通学路を行き、学校を目指した。
「今日は一緒に登校だな、遥」
「うん、はじめてのね。こうして男の子と肩を並べて歩くの憧れていたんだ」
「そうだったのか。てか、俺は心配だよ」
「あー、周囲の視線とか?」
そう、二人きりで登校とか注目の的だ。遥はまだ転校してきたばかりで注目度も抜群。全学年から関心が集まっているといっても過言ではなかった。
昨日も多くの男から話しかけられたようだし、もちろん、女子からもアプローチを受けたようだ。
だが、遥はいずれも上手く回避したようだけど。その理由が、俺だった。今は俺との生活を大切にしたいがゆえに、ライン交換もクラスメイトの女子以外とは遠慮しているようだ。
「だから、その……なんだ。学校では友達の距離感を保ってくれ。万が一にも結婚がバレたら大騒ぎだからな」
「そうだね。高校生で結婚しているとか、びっくりするよね」
「特にクラスの連中に知れ渡ったらお祭り騒ぎ。もれなくSNSで大炎上するだろう」
「そ、そんな大袈裟な。大丈夫じゃない? わたしもフォローするし」
「油断大敵だぞ、遥。それに、胸騒ぎがするんだ」
「えっ……もしかして、昨晩の?」
俺はうなずく。
今朝からずっと“ザワザワ”していた。きっと学校で何かある。こういう時の俺の予感は的中する。
でも、俺と遥、二人ならどんな困難も乗り越えていけるはずだ。
そうして、高校の門の前まで辿り着いた。当然、他の生徒からジロジロ見られまくり、俺は緊張感が増した。ていうか、どいつもこいつも見すぎだろっ!
俺と遥が並んで歩いていたら、そんなに違和感あるか!? ……あるよな。うん、あるわ。でもな、俺にだって幸せになる権利くらいあるんだよ。頼むから、そんな『うわぁ』みたいな視線を送らないでくれ、自分を殴りたくなるから!
頭を押さえながら校門を抜けると、誰かが俺を呼び留めた。
「天満! 天満 遙!」
「――ん?」
振り向くと……
そこには……
げっ、校長!!
まさかのまさか、そこにはスーツをビシッと決めた校長が立っていた。俺と遥を険しい表情で見据え、重苦しい空気で口を開く。
「天満くん、それに小桜さん。今すぐ校長室に来なさい、いいですね」
校長のヤツ、早朝から俺たちを呼び出して……どうするつもりだ。俺と遥は結婚済み。その証拠だって役所で確認したんじゃないのかよ。
まさか、まだ文句でもあるのか。
「遥、気をつけろ。俺の嫌な予感が的中した」
「……校長先生か。でも、もう婚姻届は提出したよ?」
「そうだ。だから問題はないはずなんだけど……すまない。もし、退学になったら……俺のせいだ」
「ううん、遙くんのせいじゃない。それに、わたしは退学になっても遙くんと一緒に暮らす。一緒に支え合っていこう」
その言葉に俺は救われた。
恐れるな俺。
震える足なんて、ただの武者震いだ。そうだ、これは戦いなんだ。あの魔王のようなラスボス校長を倒さない限り、平穏はない。ならば立ち向かえ俺。
安寧を掴み取るために。
「そうだな! その時はその時だ。だけど、負けるつもりはない。勝つぞ」
「さすが遙くん。やっぱり、いざって時は頼れるし、かっこいい」
手を握られ、俺は顔が一瞬で真っ赤になり、爆発した。……今の天使の笑顔はズルイって。
俺のアカウントも何かしらの方法で見つけた出したのだろう。ヤッホーの社長の娘なんだ。特別な権限を持っていてもおかしくはない。
でも、よく俺だって気づいたな。
「ねえ、遙くん。わたしに何かプレゼントがあるんじゃないのかな~?」
く、くぅ……。
出来れば自然に結婚指輪を渡そうとしていたのに、俺はいつの間にか遥の掌の上で踊らされていたらしい。
――いや、まてよ。
親父も共犯者か!?
まさか親父のヤツ、ハメやがったなあぁぁぁ……!?
あくまで容疑だけどさ。
いやしかし、それよりも重要なのは現在だ。気づかれていたことに、俺は羞恥心がピークに達した。
……わ、渡し辛い。
頭の中が真っ白になって――結婚指輪を渡しにくくなってしまった。くそう、なんで俺が顔を真っ赤にしているんだよ。くぅ……。
「……は、遥。その、だな」
期待の眼差しを向けられる。
それが、陽射しのように眩しくて……同時に大きなプレッシャーとなって圧し掛かった。余計に渡し辛いじゃないか。
だめだ、指輪を渡せない。
恥ずかしいという気持ちが次第に“怖い”に変わっていく。俺は……恐れているのか?
「怖い――って、思ってる?」
「は、遥! 俺の心を勝手に読むなよ。読心術かよ」
「うん、まあね。わたし、相手の表情とかで何考えているかある程度は分かるんだ」
なにその特技。
無駄に凄いスキルだな。
けれど、おかげで緊張とか恐怖心が薄れた。遥の不思議なオーラに負ける。コイツといると、変な気持ちもあっと言う間に和らいでしまう。
俺と遥は相性バッチリなのかもしれない。そうでなければ、同居なんて出来ないよな。ああ、そうだ。こんなところで躓いている場合ではない。
だけど、指輪を渡すタイミングは今でもない。
俺にはある予感があった。
「遥、プレゼントは明日でいいか。確かめたいことがあるんだ」
「確かめたい、こと?」
「ああ、だから……悪い。でも、絶対に渡すから」
「……遙くん。まさか、他に好きな子がいるとかじゃないよね」
「え」
なぜか知らないが目が虚ろになる遥さん。フォークを持ち、俺を刺そうとした。――って、うわッ!!
あっぶね、右手を串刺しにされるところだった。なんとか緊急回避し、事なきを得たが……一瞬遅れていたら、俺の右手から血がドバドバだったろうな。怖いって。
「違うの!?」
「違うって、誤解だよ。薄々気づいていると思うけど俺は、ヤッホーの知恵袋に“ある質問”をした。その時、なにか違和感を感じたんだ」
「違和感?」
「明日になれば分かるさ。今日はもうゆっくりして寝よう」
「じゃあ、明日には渡してくれるんだよね?」
「もちろんだ。俺を信じてくれ」
「うん、分かった。遙くんを信じるね」
機嫌を取り戻す遥は、笑顔を見せた。
さっき一瞬めちゃくちゃ怖かったけどな。
* * *
七月七日、木曜日――七夕を迎えた。
遥と同じ部屋で起床し、同じように顔を洗い歯を磨く。制服に着替えて朝食を頂く……って、いつの間にか馴染んでいるな俺も遥も。これが夫婦ってヤツなのか?
朝支度を終え、登校開始。
スクールバッグを持ち、長いエレベーターを降りてマンションを出た。そのまま通学路を行き、学校を目指した。
「今日は一緒に登校だな、遥」
「うん、はじめてのね。こうして男の子と肩を並べて歩くの憧れていたんだ」
「そうだったのか。てか、俺は心配だよ」
「あー、周囲の視線とか?」
そう、二人きりで登校とか注目の的だ。遥はまだ転校してきたばかりで注目度も抜群。全学年から関心が集まっているといっても過言ではなかった。
昨日も多くの男から話しかけられたようだし、もちろん、女子からもアプローチを受けたようだ。
だが、遥はいずれも上手く回避したようだけど。その理由が、俺だった。今は俺との生活を大切にしたいがゆえに、ライン交換もクラスメイトの女子以外とは遠慮しているようだ。
「だから、その……なんだ。学校では友達の距離感を保ってくれ。万が一にも結婚がバレたら大騒ぎだからな」
「そうだね。高校生で結婚しているとか、びっくりするよね」
「特にクラスの連中に知れ渡ったらお祭り騒ぎ。もれなくSNSで大炎上するだろう」
「そ、そんな大袈裟な。大丈夫じゃない? わたしもフォローするし」
「油断大敵だぞ、遥。それに、胸騒ぎがするんだ」
「えっ……もしかして、昨晩の?」
俺はうなずく。
今朝からずっと“ザワザワ”していた。きっと学校で何かある。こういう時の俺の予感は的中する。
でも、俺と遥、二人ならどんな困難も乗り越えていけるはずだ。
そうして、高校の門の前まで辿り着いた。当然、他の生徒からジロジロ見られまくり、俺は緊張感が増した。ていうか、どいつもこいつも見すぎだろっ!
俺と遥が並んで歩いていたら、そんなに違和感あるか!? ……あるよな。うん、あるわ。でもな、俺にだって幸せになる権利くらいあるんだよ。頼むから、そんな『うわぁ』みたいな視線を送らないでくれ、自分を殴りたくなるから!
頭を押さえながら校門を抜けると、誰かが俺を呼び留めた。
「天満! 天満 遙!」
「――ん?」
振り向くと……
そこには……
げっ、校長!!
まさかのまさか、そこにはスーツをビシッと決めた校長が立っていた。俺と遥を険しい表情で見据え、重苦しい空気で口を開く。
「天満くん、それに小桜さん。今すぐ校長室に来なさい、いいですね」
校長のヤツ、早朝から俺たちを呼び出して……どうするつもりだ。俺と遥は結婚済み。その証拠だって役所で確認したんじゃないのかよ。
まさか、まだ文句でもあるのか。
「遥、気をつけろ。俺の嫌な予感が的中した」
「……校長先生か。でも、もう婚姻届は提出したよ?」
「そうだ。だから問題はないはずなんだけど……すまない。もし、退学になったら……俺のせいだ」
「ううん、遙くんのせいじゃない。それに、わたしは退学になっても遙くんと一緒に暮らす。一緒に支え合っていこう」
その言葉に俺は救われた。
恐れるな俺。
震える足なんて、ただの武者震いだ。そうだ、これは戦いなんだ。あの魔王のようなラスボス校長を倒さない限り、平穏はない。ならば立ち向かえ俺。
安寧を掴み取るために。
「そうだな! その時はその時だ。だけど、負けるつもりはない。勝つぞ」
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