ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗

文字の大きさ
34 / 47

第34話 病室にて愛のキスを

しおりを挟む
 相模原中央病院の到着寸前、ヒカリは「後は任せて」と言い出した。

「どうした、ヒカリ」
「事後処理は、私に任せて」
「いいのか?」
「うん、遙くん。君は小桜さんの元へ向かうといい」
「悪いな。今日はありがとう……ヒカリは、命の恩人だ」
「いや、私はただ当然のことをしただけ。また学校で会おう」

 サッパリしているというか、謙虚だな。
 どうやらヒカリは、知り合いの刑事の元へ向かったようだ。俺は頭を深く下げ、病院へ戻っていく。

 病室内は、気絶する元校長奥村を逮捕して連行しているところだった。あんなテロ行為をしたんだ。もう次は絶対に出てこれないだろう。無期懲役は免れないだろうな。

 俺の存在に気付いた遥パパが向かってくる。


「戻ったか、遙くん!」
「はい、なんとかダイナマイトを無人の公園で爆発させました」
「よくやった。君に感謝を」

「いや……俺は遥を守れなかった。だから――」


 肩を落としかけると遥パパは、俺の肩をポンポン叩いた。……え?


「遙くん、聞いてくれ。遥は奇跡的にダメージは少なく、軽い脳震盪のうしんとうで済んだようだ」
「えっ! あの高さで脳震盪のうしんとうで済んだんです!?」


 嘘だろ。結構な段数あったし、凄い音したけどな。


「実はね、遥は子供の頃から石頭・・でね。医者が言うには、こんな固い頭は見た事がないと言っていたよ」

「マジっすか!!」

「ああ、普通は頭蓋骨骨折するらしい。だから医者も驚愕していた」
「なんという驚異的な頭……」
「私も驚いたよ。まあ、要因はそれだけではないかもしれないが」

 あの時の遥はダイブするように落ちていた。そんな体勢になったのも、校長に背後から押されたからだ。もしかしたら、落ちた角度とか幸運が重なったのかもな。だけど、頭が固いおかげで軽傷で済んだのか。

「じゃあ、遥は……」
「実はもう目を覚ました。病室へ向かってやってくれ」

「えっ、本当に!? 直ぐに行きます!」


 * * *


 教えて貰った病室へ向かった。
 直ぐに辿り着いて、扉を開けた。


「遥!」
「……あ」


 ベッドの上には、意識を取り戻した遥の姿があった。


「……良かった。本当に良かった。遥、俺……すっごく心配したぞ」
「ごめんね。急に足が滑っちゃって、わたし、馬鹿だよね」
「違う、そうじゃない。遥は悪くないんだ。悪いは全部元校長だ」


 俺は遥に近づく。
 あれ……遥の様子がおかしい。
 なぜか手が震えているような。


「ごめんね……」
「なぜそんなに謝る」

「わたし……記憶が」


 ま、まさか!
 頭を打った後遺症で記憶喪失に……!


「遥、俺のことを忘れてしまったのか!?」
「……なんてね」

「え」

「ごめん。記憶はあるよ。遙くんのこと忘れるわけないじゃない。絶対に忘れないもん」
「お、お前なぁ……心配させるなよぉ!」


 一瞬ビビって俺は涙した。
 ボロボロ涙が出て止まらなかった。


「遙くん!?」
「あれ……おかしいな。俺、なんでこんな涙が止まらないんだ」
「……遙くん、こっちおいで」

 遥は、俺の頭を優しくでてくれた。
 ……本当に良かった。
 あのままもう二度と目を開けないのではないかと心配で心配でたまらなかった。

「遥、俺……俺は……」
「気にしないで。わたしたち夫婦でしょ。嬉しい時も悲しい時も支え合っていくものでしょ」

「でも俺は遥かを助けられなかった……」
「うん、助けてくれた。パパから聞いたの。さっき遙くんが病院の人達を救ったって。それって、わたしの為でもあったんだよね」

「ああ、そうだ。俺は遥の為に爆弾を無人の公園まで運んで爆発させた」
「なら、多くの命を救ったと同じだよね。遙くんは、ヒーローなんだよ。誇っていい」


 そう言われて俺は、胸につかえていたものが消えた。そうか、俺は遥だけではなく、たくさんの人達を助けたんだな。


「一応、名誉の為に言っておくけど会長も助けてくれたんだ」
「そっか。深海会長が……って、まさか浮気じゃないよね!?」

「ち、違うって。あの会長、突然現れて奥村にドロップキックしたんだぞ。とんでもない女だよ。しかも、俺と運命を共にする覚悟もあったし、破天荒すぎるって」


 ヒカリは、なんていうか……やることなすこと大胆すぎる。カッコイイ女性って感じで俺は割と、ときめいていた。口が裂けても遥には言えないけど。


「そうなんだ。なんか嫉妬しちゃう」
「え……」
「遙くん、まさか会長に惚れちゃった?」

「そ、そんなことはない!」

 即否定するけど、遥は怪しむ。

「そう。じゃあ、証明して」
「しょ、証明?」
「うん。今、病室に誰もいないし……ここでする?」

「へ」


 ここでする?
 それって……ま、まさか。
 えっと、嘘。

 でも、今日は0.01先生を忍ばせていないし、その……いろいろと問題が。ていうか、いくら個室とはいえ――誰かに見られたらマズイって。


「大丈夫。鍵掛けられるし」
「そういう問題か。遥、お前はまだ病み上がりなんだ。無茶するなって」

「別にいいのに。それに今日はとっても危険な日なんだけどね」


 余計にダメだ!!
 ていうか、めっちゃ誘ってくるな。本当に会長に嫉妬しているようだな。う~ん、これはしばらく会長とバチバチになりそうな予感。


 でも、せっかくのご好意だ。
 俺は、正面から遥の腰に手を添えた。
 抱き寄せてその唇に重ね合わせていく――。

「……」

 少し驚く遥は、まぶたを閉じ、俺を受け入れてくれた。次第に激しく、けれど優しい愛情を込めたキスを交わした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

義妹と旅する車中泊生活

桜井正宗
青春
 義妹の『歩花』(あゆか)は、兄である大学生の『回』(カイ)が大好きで、どこでもついて行く。ある日、回が普通自動車免許を取った。車を買うお金はなかったけれど、カーシェアリングでドライブへ出かけた。帰りに歩花が宝くじを購入。それが高額当選した。そのお金でキャンピングカーを買い、大好きな兄へ送った。  回は、夏休みを利用して可愛いJK義妹と共に全国を巡る旅に出る――。 ※カクヨムでも掲載中です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...