追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

文字の大きさ
7 / 58

第7話 勇者を消し去りたい Side:ティアナ

 勇者エルドが無事に魔王を討伐し、帰ってきてくれて嬉しかった。
 けれど時は遅かった。


 エルドが帰還する半年前には、大貴族となったハルネイドと幸せな日々を送っていたのだから……。

 彼は、私の心の隙間を埋めてくれた優しい人。毎日、ベッドの上で愛してくれた。


 だから、あの日も私はハルネイドと――。


 父であるカイゼルス王から、エルドが帰ってきたと聞いた。
 詳しく聞くと、彼はシュヴァルク王国から追放されていた。なぜって聞くと、父は『お前を謀っている』からだという。

 意味が分からなかったので、側近のオルジスタに聞いてみた。
 するとどうやら、エルドは私とハルネイドの関係を知ってしまったみたいだった。あのベッドのシーンを見られてしまったと。

 そうなのね。だから父は私を庇う為に追放を選択したのだろう。

 知られてしまっては仕方ない。
 それに、私はエルドとの関係に冷めてしまっていた。今はハルネイドと過ごす方が幸せ。


 その日に、ハルネイドは上級騎士たちを連れて『辺境の地ゼルファード』へ向かった。

「ハルネイド、なぜ辺境の地へ行かれるの?」
「勇者エルドを討伐する為だ」

「あんな人、もうどうでもいいでしょう」

「カイゼルス王の命でな。それに、俺自身もエルドを潰しておきたいんだ」
「え……」

「姫に寂しい思いをさせた。これだけで死罪に相当する。十分すぎる理由だ」


 そう笑うハルネイドの表情は、少し怖かった。
 でも、そうね。

 勇者エルドのことは一目ぼれだったし、愛してもいた。でも、もう彼のことは忘れたい。好きという感情は残っているけど、だからこそ消えてもらいたい。


「お願いね、ハルネイド」
「任せろ。こちらは上級騎士を10人。そして、この俺もいる」

「がんばって」

「では行ってくる」


 彼は馬に乗り、10人の騎士を引き連れて行ってしまった。でも、これでエルドの顔を見なくてよくなるのなら……。


 ・
 ・
 ・


 一日経って上級騎士たちがボロボロの姿で戻ってきた。
 城内は騒然となり、私もその場へ駆けつけた。


「ハルネイド! ハルネイドはどうしたの!」

「ひ……姫様。申し訳ございません」
「え……」

「ハルネイド様は、辺境の地ゼルファードにて……捕らえられてしまい……ました」


 がくっと項垂れ気絶する騎士。
 そんな……ハルネイドが? 信じられない。彼は、騎士の中の騎士。上級騎士を導く存在。帝国周辺のモンスターも数多く討伐して名を馳せたお方。

 なのに、なんで……!


 辺境の地ゼルファードの住人がやったの……?

 それともエルド、あなたがやったの?


 もういいわ。全部まとめて叩き潰す。


 私は直ぐに上級魔導士を招集。
 城内に集めた。


「もう噂に聞いているでしょう。上級騎士が全滅しました」


「……!」「……やはり」「噂は本当であったか」「所詮、騎士は騎士」「我ら魔導士には敵わぬ」「私たちがゼルファードを更地にしましょう」「シュヴァルク王国の為に」「ティアナ姫のご要望とあらば」


「ありがとう。勇者エルドは亡き者にしてもらっても構いません。そして、情報によれば聖女オーロラも連れ歩いているとか。こちらは生きたまま連行してくること」


 さすがに聖女の処刑はまずい。
 でも、エルドは構わない。
 先手を打って彼は偽者であるとシュヴァルク王国中に情報を流しておいた。もう誰も、彼の言葉を信じない。


「村人はどういたしましょうか?」

殲滅せんめつしなさい。あの地は、王国に牙向いたこともある愚かな村です。今や力を失い、大人しいようですが……またいずれ反抗するかもしれない。ならば、先手を打っておかねばというものです」

「解かりました。では、ゼルファードは消滅させましょう」
「お願いします」


 上級魔導士たちは、辺境の地ゼルファードへ向かった。
 これでエルドたちはおしまいね。

 報告が楽しみだわ……!
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。