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第7話 勇者を消し去りたい Side:ティアナ
勇者エルドが無事に魔王を討伐し、帰ってきてくれて嬉しかった。
けれど時は遅かった。
エルドが帰還する半年前には、大貴族となったハルネイドと幸せな日々を送っていたのだから……。
彼は、私の心の隙間を埋めてくれた優しい人。毎日、ベッドの上で愛してくれた。
だから、あの日も私はハルネイドと――。
父であるカイゼルス王から、エルドが帰ってきたと聞いた。
詳しく聞くと、彼はシュヴァルク王国から追放されていた。なぜって聞くと、父は『お前を謀っている』からだという。
意味が分からなかったので、側近のオルジスタに聞いてみた。
するとどうやら、エルドは私とハルネイドの関係を知ってしまったみたいだった。あのベッドのシーンを見られてしまったと。
そうなのね。だから父は私を庇う為に追放を選択したのだろう。
知られてしまっては仕方ない。
それに、私はエルドとの関係に冷めてしまっていた。今はハルネイドと過ごす方が幸せ。
その日に、ハルネイドは上級騎士たちを連れて『辺境の地ゼルファード』へ向かった。
「ハルネイド、なぜ辺境の地へ行かれるの?」
「勇者エルドを討伐する為だ」
「あんな人、もうどうでもいいでしょう」
「カイゼルス王の命でな。それに、俺自身もエルドを潰しておきたいんだ」
「え……」
「姫に寂しい思いをさせた。これだけで死罪に相当する。十分すぎる理由だ」
そう笑うハルネイドの表情は、少し怖かった。
でも、そうね。
勇者エルドのことは一目ぼれだったし、愛してもいた。でも、もう彼のことは忘れたい。好きという感情は残っているけど、だからこそ消えてもらいたい。
「お願いね、ハルネイド」
「任せろ。こちらは上級騎士を10人。そして、この俺もいる」
「がんばって」
「では行ってくる」
彼は馬に乗り、10人の騎士を引き連れて行ってしまった。でも、これでエルドの顔を見なくてよくなるのなら……。
・
・
・
一日経って上級騎士たちがボロボロの姿で戻ってきた。
城内は騒然となり、私もその場へ駆けつけた。
「ハルネイド! ハルネイドはどうしたの!」
「ひ……姫様。申し訳ございません」
「え……」
「ハルネイド様は、辺境の地ゼルファードにて……捕らえられてしまい……ました」
がくっと項垂れ気絶する騎士。
そんな……ハルネイドが? 信じられない。彼は、騎士の中の騎士。上級騎士を導く存在。帝国周辺のモンスターも数多く討伐して名を馳せたお方。
なのに、なんで……!
辺境の地ゼルファードの住人がやったの……?
それともエルド、あなたがやったの?
もういいわ。全部まとめて叩き潰す。
私は直ぐに上級魔導士を招集。
城内に集めた。
「もう噂に聞いているでしょう。上級騎士が全滅しました」
「……!」「……やはり」「噂は本当であったか」「所詮、騎士は騎士」「我ら魔導士には敵わぬ」「私たちがゼルファードを更地にしましょう」「シュヴァルク王国の為に」「ティアナ姫のご要望とあらば」
「ありがとう。勇者エルドは亡き者にしてもらっても構いません。そして、情報によれば聖女オーロラも連れ歩いているとか。こちらは生きたまま連行してくること」
さすがに聖女の処刑はまずい。
でも、エルドは構わない。
先手を打って彼は偽者であるとシュヴァルク王国中に情報を流しておいた。もう誰も、彼の言葉を信じない。
「村人はどういたしましょうか?」
「殲滅しなさい。あの地は、王国に牙向いたこともある愚かな村です。今や力を失い、大人しいようですが……またいずれ反抗するかもしれない。ならば、先手を打っておかねばというものです」
「解かりました。では、ゼルファードは消滅させましょう」
「お願いします」
上級魔導士たちは、辺境の地ゼルファードへ向かった。
これでエルドたちはおしまいね。
報告が楽しみだわ……!
けれど時は遅かった。
エルドが帰還する半年前には、大貴族となったハルネイドと幸せな日々を送っていたのだから……。
彼は、私の心の隙間を埋めてくれた優しい人。毎日、ベッドの上で愛してくれた。
だから、あの日も私はハルネイドと――。
父であるカイゼルス王から、エルドが帰ってきたと聞いた。
詳しく聞くと、彼はシュヴァルク王国から追放されていた。なぜって聞くと、父は『お前を謀っている』からだという。
意味が分からなかったので、側近のオルジスタに聞いてみた。
するとどうやら、エルドは私とハルネイドの関係を知ってしまったみたいだった。あのベッドのシーンを見られてしまったと。
そうなのね。だから父は私を庇う為に追放を選択したのだろう。
知られてしまっては仕方ない。
それに、私はエルドとの関係に冷めてしまっていた。今はハルネイドと過ごす方が幸せ。
その日に、ハルネイドは上級騎士たちを連れて『辺境の地ゼルファード』へ向かった。
「ハルネイド、なぜ辺境の地へ行かれるの?」
「勇者エルドを討伐する為だ」
「あんな人、もうどうでもいいでしょう」
「カイゼルス王の命でな。それに、俺自身もエルドを潰しておきたいんだ」
「え……」
「姫に寂しい思いをさせた。これだけで死罪に相当する。十分すぎる理由だ」
そう笑うハルネイドの表情は、少し怖かった。
でも、そうね。
勇者エルドのことは一目ぼれだったし、愛してもいた。でも、もう彼のことは忘れたい。好きという感情は残っているけど、だからこそ消えてもらいたい。
「お願いね、ハルネイド」
「任せろ。こちらは上級騎士を10人。そして、この俺もいる」
「がんばって」
「では行ってくる」
彼は馬に乗り、10人の騎士を引き連れて行ってしまった。でも、これでエルドの顔を見なくてよくなるのなら……。
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一日経って上級騎士たちがボロボロの姿で戻ってきた。
城内は騒然となり、私もその場へ駆けつけた。
「ハルネイド! ハルネイドはどうしたの!」
「ひ……姫様。申し訳ございません」
「え……」
「ハルネイド様は、辺境の地ゼルファードにて……捕らえられてしまい……ました」
がくっと項垂れ気絶する騎士。
そんな……ハルネイドが? 信じられない。彼は、騎士の中の騎士。上級騎士を導く存在。帝国周辺のモンスターも数多く討伐して名を馳せたお方。
なのに、なんで……!
辺境の地ゼルファードの住人がやったの……?
それともエルド、あなたがやったの?
もういいわ。全部まとめて叩き潰す。
私は直ぐに上級魔導士を招集。
城内に集めた。
「もう噂に聞いているでしょう。上級騎士が全滅しました」
「……!」「……やはり」「噂は本当であったか」「所詮、騎士は騎士」「我ら魔導士には敵わぬ」「私たちがゼルファードを更地にしましょう」「シュヴァルク王国の為に」「ティアナ姫のご要望とあらば」
「ありがとう。勇者エルドは亡き者にしてもらっても構いません。そして、情報によれば聖女オーロラも連れ歩いているとか。こちらは生きたまま連行してくること」
さすがに聖女の処刑はまずい。
でも、エルドは構わない。
先手を打って彼は偽者であるとシュヴァルク王国中に情報を流しておいた。もう誰も、彼の言葉を信じない。
「村人はどういたしましょうか?」
「殲滅しなさい。あの地は、王国に牙向いたこともある愚かな村です。今や力を失い、大人しいようですが……またいずれ反抗するかもしれない。ならば、先手を打っておかねばというものです」
「解かりました。では、ゼルファードは消滅させましょう」
「お願いします」
上級魔導士たちは、辺境の地ゼルファードへ向かった。
これでエルドたちはおしまいね。
報告が楽しみだわ……!
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