追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第15話 婚約者を寝取られた聖女 Side:オーロラ

 ――またあの悪夢を見た。


【半年前:シュヴァルク王国・ゼクスカリス教会】


 若くして、わたくしは貴族と婚約を交わした。
 それが聖女としての宿命なのだと理解して、受け入れることに。

 相手は笑顔の絶えない、優しい人だった。
 彼の名はオルバント。

 最初こそ興味はあまりなかったけれど、日に日に感情が動き出して自然に彼を好きになっていた。

 互いに好意を抱くようになり、時には辺境の地で暮らそうという将来を語り合った。


 ――けれど。


 半年後にそれは起きた。


 ある日の夜。
 ふと目覚めて教会へ向かった。なぜか胸騒ぎがしたからだ。


 扉がなぜか少し空いていて、気になって覗いた。


「…………え」


 中で誰かの気配がした。それも二人も。
 誰かと誰かが何かをしているように見えた。…………え、裸?


 そこにいたのは婚約者のオルバント。
 相手は知らない女性だった。


「あんな聖女オーロラよりも、私の方がいいでしょう。オルバント」
「……う、く。ヴァレンティナ……俺は……オーロラを愛して……いたのに」

「でも、ゼクスカリス教会でこんな淫らに乱れて、もう言い訳できないでしょ」
「あ、ああ……でも、まだ内緒にしてくれよ」
「仕方ないわね」


 え、

 え、

 な、なんで……。


 頭が真っ白になって、わたくしは立ち尽くした。どうしてオルバントはあの金髪の女性と肌を重ね合わせているの。嬉しそうにキスを交わすの……!?

 こ、これって婚約者を寝取られたってことなの……。


 うそ、そんな!


 ・
 ・
 ・


 オルバントがあんな男性だったとは。
 あの幸せな時間はいったいなんだったの……!

 わたくしは彼を全力で愛していたのに。将来を考えていたのに!



 ――幸いにも。
 オルバントと体の関係はなかった。結局、ファーストキスもなく婚約しただけの薄い関係だったのだ。

 もういい、わたくしはゼクスカリス教会を去る。


 いえ、シュヴァルク王国すらいたくない。


 街中を彷徨う途中で、勇者エルドの存在を知った。彼は魔王を倒すべく各地を巡っているという。しかも、最近は魔王軍の幹部すら討伐したという。きっと凄い人なんだ。


 わたくしもしばらく、旅に出よう。
 シュヴァルク王国を出たことがなかったし。


 そうして、わたくしは半年ほど放浪した。そのせいか、シュヴァルク王国では事件となり、聖女が行方不明だと大騒ぎになったそう。どうでもいい。


 でも、計画性のない旅だったので半年ほとで戻るハメになった。


 その帰り道で勇者エルドを発見した。
 聞かされた特徴と一致している。彼を追ってみよう。


 ◆


 ――どうやら勇者エルドは、シュヴァルク王国を追放されたようだ。
 事情はよく分からないけれど。

 なぜ魔王を倒し、世界を救った勇者にそんな扱いを?

 知りたくなった。

 シュヴァルク王国で情収集をすると、彼はティアナ姫を“寝取られた”という。


 ……わたくしと同じ状況だ。
 まさか勇者もそんなことになっていたなんて。


 商人に扮装して、彼に接近。
 この半年の旅で見つけた『辺境の地・ゼルファード』を教えた。彼はそこを目的地とした。


 わたくしは急いで先回りをした。


 きっと彼なら見つけてくれる。
 そして、わたくしが彼を導く。今度こそ真の幸せを手に入れる為に。
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