追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第25話 聖天空界の女神

 全ての材料[聖杯]、[聖水]、[血の聖痕]、[ロザリオ]、[女神聖書]をそろえ終えた。
 これで女神を呼べるはず。


「オーロラ、さっそく頼む!」
「はいっ。ゼルファードの為に女神様を呼びたいと思います!」


 テーブルに触媒を並べた。
 俺、クレミアそしてラフィネが見守る中で儀式は始まった。


 オーロラは、聖女の力を発揮していく。女神聖書のページが勝手にめくれ、その中に聖杯と聖水、血の聖痕が吸い寄せられていった。

 ロザリオだけはオーロラの手元に。

 どうやら祈りを捧げればいいらしい。
 敬虔けいけんな祈りによって女神は降臨する――ということか。


「物凄い魔力が……さすが聖女様」とクレミア。その隣で儀式を見つめるラフィネは「女神様に会えるなんて信じられません」と期待と不安に包まれている様子。


 俺も女神降臨ははじめてだ。
 直接会っていたから、その必要はなかったしな。

 儀式で呼び出すとなると、どんな女神が降りてくるか分からない。俺たちを助けてくれるといいんだがな……。


 白い輝きが増していく。
 どんどん魔力が膨大になっていくな。


「女神降臨……!」


 スキルの名を叫ぶオーロラ。ついに女神は降臨した――。



『………………』



 神々しい光を放ち、目の前に降り立つ金髪の女性。
 まぶたを開け、俺やみんなを見渡すと微笑んだ。……女神だ。


 ――って、アレ。


 この女神、どこかで見覚えがあるような。

 もしかして『聖天空界ヴァイス』で会った……?



「アルミナか?」
「あら、これは驚きました。勇者エルド様ではありませんか」


 柔らかい口調で俺の名を口にする女神。間違いない、アルミナだ。


「お知り合いですか?」
「ああ、オーロラ。彼女とは聖天空界ヴァイスで出会ったことがある」
「なんと……! 凄い偶然ですね」

「てか、なんとなく来るとは思ったけどね」
「どうしてです?」

「アルミナは、女神族のおさだ。当時、俺に魔王軍幹部の討伐も依頼してきた」
「なるほど!」


 オーロラに続き、クレミアとラフィネも納得していた。
 いやまさか、アルミナとこうして再び出会えるとは。

 聖天空界ヴァイスへ行く方法はかなり難易度が高く、苦労した。

 だから、こうやって降臨させられるのは手っ取り早くていいな。


「エルド様、さっそく女神様に」


 クレミアが俺の耳元で囁く。……っ! 君のその声で囁かれるとたまらんな。
 喜んでいる場合ではないな。

 そうだ、このゼルファードを守護してもらわねばならない。


「アルミナ、頼みがある。実は――」
「待ってください、エルド様」

「え」

「あなた方の置かれている状況をすぐに把握はあくしますので」

「……!?」


 俺のそばに寄ってくるアルミナは、頬に触れてきた。細い指が俺の左頬に。くすぐったい……。


 ――いや、マズい。


 オーロラが『これ浮気じゃないですか!?』みたいな目で俺を睨んでいる。……あとで釈明しよう。

 数十秒触れられると、アルミナは理解を示した。


「解かりました。シュヴァルク王国の王様がお怒りなのですね」
「そうだ。ティアナ姫を失ったカイゼルス王が三千の軍勢を率いて攻め込んでくる」

「このゼルファードという村が危険だと……それで、私に頼ったわけなのですね」

「そうだ。この村を守って欲しい」


 そう頼むとオーロラも祈るようにして「お願いします」と言った。クレミアとラフィネも続く。

 その願いが届いたのかアルミナは笑顔で「解かりました」と答えてくれた。


「おぉ、マジか!」
「勇者エルド様には、聖天空界ヴァイスを救ってくださった恩がありますので」


 よかった、聖天空界ヴァイスを救っておいて……!


「本当か!」
「ええ。女神に二言はありません。このゼルファードに救いの手を差し伸べます」

「助かるぜ、アルミナ! ――それで、具体的にどうするんだ?」


「そうですね。ラグナゼオン帝国に張ったような防御結界はいかがでしょう?」
「女神族の仕事だったのか」

「はい。皇帝からのご依頼で……専属契約で女神を七人派遣しました」


 そうだったのか。だからラグナゼオン帝国は盤石ばんじゃくだったんだ。そのせいか解からないが、聖天空界ヴァイスの守護力は低下したのかもしれない。
 魔王軍幹部に狙われるわけだ。


「防御結界の方向で頼む。それが一番確実だろう」
「万が一があっても、私がなんとかしましょう」
「心強いな。本当にありがとう、アルミナ」
「いえいえ。勇者様のお力になれるのなら安いものです」


 女神アルミナのことは、全村人に通達した。

 これでシュヴァルク王国の攻撃を耐え抜けるかもしれない! いや、きっと大丈夫だ!

 総攻撃はいよいよだ。
 恐らくもう間もなく到着するだろう。


 念には念を。
 備えておくだけ備えておく。
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