追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第33話 奴隷の少女を拾った

【ラグナゼオン帝国領:エスメロード草原】

 いつの間にか帝国領にいた。
 エスメロード草原を突き進む。

 これといったモンスターには遭遇せず、討伐だけが続く。うーん、スライムではレースに向かないだろうしなぁ。


『っきゃああああ!!』


 モンスターを探している中で悲鳴が響く。……む?


「エルドさん、これって!」
「誰かがモンスターに襲われているのかもしれん」


 前にラフィネがゴブリンに襲われていたように。
 多分この辺りは縄張りなのかもしれないな。

 緑の中を駆け抜けると、そこにはゴブリンが女性を襲っていた。……いや、まてアレはどちらかと言えば“ゴブリンのような人間”だ。


「や……やめてください……!」
「黙れ、奴隷! 我が奴隷の分際で抵抗するとは何事か!」


 襲われている少女が奴隷だって?
 ……いや、考えているヒマはない。

 俺は少女に覆いかぶさっているゴブリン風の男に蹴りを入れた。

 男は衝撃でゴロゴロ転がっていく。


「ぐおおおおおおッ!?」


 その間に俺は少女を助けた。


「あ……ありがとうございます」
「いや、いいんだ」


 ん、よく見ると頭に獣耳。ということは獣人族ってことか。南の大陸ではよく見かけたが、この辺りでは珍しいな。


「わ~、猫耳ですね!」
「……おぉ!」


 少女の特徴に気づくオーロラとラフィネはテンションを上げていた。どうやら、獣人族と会うのは初めてらしい。


「あ、あのあの……」
「おい、二人とも。このコが困っているだろう。で、君の名前は?」


「わ、私は……ネクロヴァスです」


「――ふむ。ネクロヴァスかぁ。ほうほう…………は? なんの冗談だよ!?」


 その名前は魔王の……!

 さすがのオーロラとラフィネも慌てていた。


「ちょ、本当ですか!?」
「……ま、魔王の名前ですよ、それ!」


 そうだ、その通り。
 なぜこのコが、その名を名乗っている?

 確か、さっきのゴブリン男が“奴隷”だと。


 まてよ……。
 年齢は以前とまったく違い少女。
 角こそないが、この漆黒の黒髪。鋭い赤い瞳。そして、僅かに見える牙。

 いや、まさか!!


「……魔王ネクロヴァスなのか」
「解かりません。私、気づいたら奴隷にされていて……」


 どうなってやがる。

 ネクロヴァスは俺が倒した。

 倒して世界を救ったんだ。

 なのに、なぜこんな少女の姿で復活しているんだ? しかも奴隷となっているし、意味が分からない。


「キミはどこで拾われた?」
「……確か、終焉の地オルタネクロスで……」



 終焉の地オルタネクロス。

 そこは“魔王城”があった場所で間違いない。
 そうか、俺はネクロヴァスを倒しきっていなかったのか……。



 あたふたするオーロラは「エルドさん、これはどういうことです?」と目を泳がす。困惑しすぎだ。


「さあ、解からん。誰かの仕業なのは確かだ」


 コイツをこのまま野放しにしておけんな。
 連れて帰るしかないだろう。

 辺境の地ゼルファードへ。
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