追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中

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第48話 ワクチンの材料を収集せよ!

 ルルティアをパーティに加え、ラグナゼオン帝国を後にする――その前に門番のヴェルガードにポーションを渡した。


「うぉぉぉ、ありがとう! ルルティア様! エルド!」


 大男が涙を滝のように流し喜んでいた。
 これで貸しを作れたし、今後もラグナゼオン帝国の出入りはしやすくなるだろう。


「ヴェルガード、これからも頼むな!」
「ああ! お前たちは特別だ。そしてエルド、今日から親友な!」


 そこまで昇格したか。
 まあいい、おかげで何かあったら帝国を頼りやすくなるし。

 ヴァルガードに挨拶を済ませ、外へ。
 ネクロのブラックスライムに頼み、またドラゴンになってもらった。


「……わ。こ、これはいったい……」


 はじめて見る光景にルルティアは腰を抜かしそうになっていた。
 まさか黒いスライムがドラゴンに変身するとは思わないよな。


「これはネクロのペットでな。割となんでも変身できるらしい」
「こんなモンスター聞いたことがない。いったい、彼女はなに者だい?」


 魔王かもしれない……とは言えないな。
 一応、ザルディアス侯爵の元奴隷で、俺が救ったと説明。

「――てわけだ」

 するとルルティアは今日一番に驚愕きょうがくしていた。


「……は? あのゴブリン男の!? どうなっているんだ……」
「細かいことは後だ。行くぞ」

「う、うむ」

「そら、気をつけて」
「エルド、どこを触って……!」

「仕方ないだろう。高さがあるんだから」
「……ぐ、ぬ」


 顔を赤くするルルティア。一方でオーロラが殺意の波動を向けていた。……やべぇって。


「……エルドさん」
「なんで怒る!? オーロラとかにもやってるだろう」
「浮気です! 浮気!」

 えぇ……。
 みんなを支えて乗り込ませているんだけどな。
 ブラックドラゴンへ乗り込み、すぐに飛翔。
 相変わらず猛スピードで移動している。


「うあああああああああ……!」


 経験のないルルティアは絶叫していた。
 そういえば、ドラゴンは初めてか。
 いや、だけどこのブラックドラゴンは特に早いんだよな。


 * * * * * *


【辺境の地ゼルファード】


 ついに村に戻ってきた。
 ブラックドラゴンは地上に降り、スライムに戻っていた。

 そのまま俺たちは地上に崩れるように落ちた。


「うわっ……!」


 オーロラやルルティア、クレミアそしてネクロの体が俺に雪崩れ込んできた。


「きゃ!」
「ちょ!」
「……っ」
「みょん」


 い、痛ぇ……てか、何だこの感触?

 妙に柔らかいというか。


「きゃ! エルドさん……こんなところで!」
「え。ええ!?」


 今のはオーロラの感触だったのか?


「ちょ、エルド! そこはっ」


 あれ、やっぱりルルティアか?


「……っ。エルドさん、これはちょっと……」


 クレミアは顔を真っ赤にしていた。いや、触れてないはず!?


「みょん……勇者さま、くすぐったいです」


 ネクロには指一本触れてねぇよ!?


 いったい、俺は誰に触れているんだ……解からない!


 絡みまくっている体をなんとか解き、全員を立たせた。
 よし、おっけー…。

 さっきは柔らかいモノに触れまくった気がする。それがどこの部位なのか解からないけど、女性陣は頬を赤くして混乱していた。

 ……まてまて、不可抗力だ。


「すまん、みんな」


 謝るとみんななぜか許してくれた。


「い、いいんです!」
「オーロラ様の言う通り。突然だったからな」

 と、オーロラとルルティアはソワソワしながらも言った。いいのかよ。


「そ、それより村へ戻りましょう」

 クレミアは、ネクロの手を繋ぎ向かっていく。


 いったい、俺はどこに触れていたんだァ!?


 ・
 ・
 ・


 夕暮れ。
 もう日が沈む頃。

 ルルティアを連れ、まずはゾンビとなったあの父親のところへ向かった。

 その場所へ行くと、まだあのゾンビはそのままだった。


『……グ、ゥゥゥ』

「なるほど。これがゾンビ」


 冷静にゾンビを観察するルルティアは、懐から注射器を取り出していた。


「どうする気だ、ルルティア」
「血を採り、解析する。大丈夫、感染が広がらないよう即座に見るさ」


 ぷすっと注射の針を刺し、血を採るルルティア。
 赤い血が満たされて、その直後には魔力に包まれていた。


「わ、これはなんですか?」
「良い質問ですね、オーロラ様。我が錬金術師の力で『ゲノム解析』です」


[ゲノム解析]
[詳細]
 あらゆる生物(モンスターも含む)の遺伝子情報を調べ、解明する。
 ウイルスポーションやワクチンポーションを作ることも可能。

 スキルの使用には[賢者の石]が必須である。


「これが……」
「そうだ、エルド。これならば直ぐにワクチンを作れよう」


 こりゃ凄いな。さすが帝国の、世界一の錬金術師だ。
 てか、どうでもいいけど……オーロラだけには敬語なんだな。


「それじゃ、すぐにゾンビを治療できるわけだな!」
「いや、材料は必要だ」

「だよな……」

「たった今、賢者の石も消費してしまった。貴重なアイテムだ」


 そういえば、賢者の石は錬金術師にとっては最高峰のアイテム。錬金術スキルを使用するうえでは欠かせないもの。

 特に上位スキルを発動するにあたっては、触媒しょくばいとして必須。そう聞いたことがあった。


「その材料はなんだ?」
「今、メモにまとめる。そろえてくれ」
「解かった」

 アイテム収納バックからメモ帳とペンを取り出すルルティア。ペンをいそいそと走らせ、必要な材料を記した。
 俺はそのメモ用紙を受け取った。


 ・ゴールドエリクサー
 ・ホーリーポーション
 ・聖女の涙
 ・エンジェスライムの欠片
 ・光麗人参こうらいにんじん
 ・女神の光
 ・幻神の花


 この七つが必要なのか。


「なかなか多いですね」
「そうだな、オーロラ。……って」

「え?」

「オーロラ、聖女の涙はゲット出来るんじゃ?」
「え、ええ!? わたしですか……」
「うん、聖女といえばオーロラじゃないか」


 そうだ、涙を流して貰えれば入手できるぞ。
 それをルルティアに確認すると「うんうん」とうなずいていたので間違いはなさそうだ。

 しかも、試験管をくれたし、涙を確保しろってことか。


「オーロラ、この中に涙を頼む」
「す、すぐには泣けませんよぅ。でも努力はします……!」


 よし、となると残りを集めよう。


「あ、ホーリーポーションならありますよ」
「マジか、クレミア!」

「ええ。アカデミーを卒業した時に記念として貰えたのです」
「そんな大事なものを貰っても?」

「構いません。ゾンビを治せるのなら」
「ありがとう!!」


 これで『聖女の涙』と『ホーリーポーション』は実質ゲット。残るは五個。村中を回って所持している人がいないか聞き回ってみるか――!


 ・
 ・
 ・


 みんなと手分けして村中を奔走ほんそうした。

 完全に日が沈み、夜。
 自宅にみんな集合したところで結果を共有。

 入手できたのは『光麗人参こうらいにんじん』のみ。ネクロが野菜を販売しているお店で入手したとのこと。気のイイ婆さんから譲ってもらったんだとか。


「よくやった、ネクロ!」
「なんだか変わったニンジンだな~って思ったの!」

 残るは四個。

「そういえば……『女神の光』は、アルミナに聞けば解かるかもしれない」
「おぉ、エルドさん! その手がありましたね!」

 オーロラが手を鳴らす。
 俺はさっそく女神アルミナのいるラフィネの家へ向かうことにした!
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