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中央ギルドの男
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着替えを終え、朝食を食べに食堂へ向かう。城の一階にある大食堂へ入ると、既に騎士団長・ヒスイの姿があった。
「おはようございます、カムイ様」
「おはよ、ヒスイ。今日はワッフルか、いいね」
シンプルだけど、これがサクサクで美味い。高級な紅茶もあるし、これはまったりできそうだ。
席につき、俺はさっそく朝食をいただく。
「あの、カムイ様。お食事中に申し訳ございませんが、よろしいでしょうか」
「構わないよ、なんだいヒスイ」
「この私もタワーダンジョンへ連れていって欲しいのです! 陛下の護衛が必要かと思うので」
またその話か。
騎士団長がついて来てしまうと、さすがに聖帝ってバレるだろうし、いろいろ物騒だ。だから同行拒否していた。だから今日も断る。
「すまない、それは無理だ。理由はいつも通りだ」
「で、ですが……」
「だけど、最近レッドゴブリンの動向が怪しい。有事には頼りにしているよ」
「……へ、陛下。はいっ、ありがとうございます」
なんとか納得してくれたな。
ちょうどゴブリンの話があって良かった。これで安心して食事を進められる。
もちもちのサクサクのワッフルを味わっていく。う~ん、美味い。紅茶とよく合うなあ。そんなまったりとした時間の中、大食堂の扉が開く。
「陛下! 陛下はおられますか!!」
「なんだ騒々しい。……って、ベルンハルト伯爵グスタフ卿ではありませんか」
伯爵のグスタフは、中央ギルドの管理を任されている中年小太りの男だった。あまり良い噂を聞かない。だからこそ、騎士団長のヒスイは警戒してくれた。
「騎士団長、そこを通せ。陛下に話がある」
「……分かりました」
ヒスイは少し離れつつも、目を光らせていた。
「で、僕になんの用かな、グスタフ」
「はい、陛下。あのタワーダンジョンでございます!」
「それがどうした」
「ええ、中央ギルドに通う冒険者がどうしてもあのダンジョンへ入ってみたいという声が多いのです」
「そりゃ驚きだな。だけど、どうして?」
「森の棲むレッドゴブリンの影響でしょう。あの醜いモンスターが帝国周辺を脅かすせいで、初心者や中堅冒険者が通常ダンジョンへ行けなくて困っているそうなのです」
やっぱり、レッドゴブリンか。あの凶悪なモンスターを何とかしないと……いや、だけどタワーダンジョンに冒険者が来て貰えるなら、それはそれでアリか。帝国の経済が回るし、噂を聞きつけた他国の冒険者も殺到するかもしれない。
けど、まだ十階程度のタワーだ。もっともっと高くする必要がある。
「分かった。タワーダンジョンへの立ち入りを自由にしよう。だけど、今は無理だ」
「な、なぜです」
「あのタワーダンジョンはまだ未知数。今は騎士団に調査をしてもらっているところだ。もう少し内部が分かるまで待ってくれ」
もちろん、騎士団が調査しているなど嘘だが。
「……そうですね、分かりました。陛下がそうおっしゃるのなら従います。ですが、中央ギルドとしてもあのタワーを調査する義務がるので、我々も入らせて戴きます。入場の許可を下さい」
「まあ、中央ギルドに委任する方が妥当だろう。分かった、頼む」
「ありがたきお言葉。では、私はこれにて」
背を向け、グスタフは帰っていく。
「よ、良かったのですか……陛下。彼は確かに中央ギルドの責任者ですが、あまりよくない噂も……」
「それを見極める意味でも任せようと思う。もし、なにか怪しい動きを見せれば排除するさ。ヒスイ、君に任せる」
「……そ、そういう事でしたら分かりました。うけたまわりました」
これでもう護衛だなんだ言われる心配はなさそうかな。
朝食を終え、僕はコーラルを庭で待った。青空を眺めていると、背後から気配がした。
「カムイ様~。お待たせしました」
「やあ、コーラル。まずは二人でタワーダンジョンの開発に向かおう。少ししたら、レイヤとそのギルドメンバーを迎えに行く」
「えっ、いいんですか?」
「うん、ちょっとだけデートだよ」
「デ、デート!? あわわ……しょ、勝負下着にした方がいいです!?」
勝負下着!? コーラルは、何を言っているんだ。動揺しすぎだ。僕はそんな彼女の手を握る。しかし、もっと目を回した。もう、会って早々ぽんこつだなあ。
「テレポートを開始する。しっかり掴まって」
「は、はひぃ~!」
城からテレポートし、世界の中心【エテメンアンキ】へ向かった。そこには、十階建てのタワーダンジョンが見事に聳え立つ。
さあて、今日も高くしていこう!
「おはようございます、カムイ様」
「おはよ、ヒスイ。今日はワッフルか、いいね」
シンプルだけど、これがサクサクで美味い。高級な紅茶もあるし、これはまったりできそうだ。
席につき、俺はさっそく朝食をいただく。
「あの、カムイ様。お食事中に申し訳ございませんが、よろしいでしょうか」
「構わないよ、なんだいヒスイ」
「この私もタワーダンジョンへ連れていって欲しいのです! 陛下の護衛が必要かと思うので」
またその話か。
騎士団長がついて来てしまうと、さすがに聖帝ってバレるだろうし、いろいろ物騒だ。だから同行拒否していた。だから今日も断る。
「すまない、それは無理だ。理由はいつも通りだ」
「で、ですが……」
「だけど、最近レッドゴブリンの動向が怪しい。有事には頼りにしているよ」
「……へ、陛下。はいっ、ありがとうございます」
なんとか納得してくれたな。
ちょうどゴブリンの話があって良かった。これで安心して食事を進められる。
もちもちのサクサクのワッフルを味わっていく。う~ん、美味い。紅茶とよく合うなあ。そんなまったりとした時間の中、大食堂の扉が開く。
「陛下! 陛下はおられますか!!」
「なんだ騒々しい。……って、ベルンハルト伯爵グスタフ卿ではありませんか」
伯爵のグスタフは、中央ギルドの管理を任されている中年小太りの男だった。あまり良い噂を聞かない。だからこそ、騎士団長のヒスイは警戒してくれた。
「騎士団長、そこを通せ。陛下に話がある」
「……分かりました」
ヒスイは少し離れつつも、目を光らせていた。
「で、僕になんの用かな、グスタフ」
「はい、陛下。あのタワーダンジョンでございます!」
「それがどうした」
「ええ、中央ギルドに通う冒険者がどうしてもあのダンジョンへ入ってみたいという声が多いのです」
「そりゃ驚きだな。だけど、どうして?」
「森の棲むレッドゴブリンの影響でしょう。あの醜いモンスターが帝国周辺を脅かすせいで、初心者や中堅冒険者が通常ダンジョンへ行けなくて困っているそうなのです」
やっぱり、レッドゴブリンか。あの凶悪なモンスターを何とかしないと……いや、だけどタワーダンジョンに冒険者が来て貰えるなら、それはそれでアリか。帝国の経済が回るし、噂を聞きつけた他国の冒険者も殺到するかもしれない。
けど、まだ十階程度のタワーだ。もっともっと高くする必要がある。
「分かった。タワーダンジョンへの立ち入りを自由にしよう。だけど、今は無理だ」
「な、なぜです」
「あのタワーダンジョンはまだ未知数。今は騎士団に調査をしてもらっているところだ。もう少し内部が分かるまで待ってくれ」
もちろん、騎士団が調査しているなど嘘だが。
「……そうですね、分かりました。陛下がそうおっしゃるのなら従います。ですが、中央ギルドとしてもあのタワーを調査する義務がるので、我々も入らせて戴きます。入場の許可を下さい」
「まあ、中央ギルドに委任する方が妥当だろう。分かった、頼む」
「ありがたきお言葉。では、私はこれにて」
背を向け、グスタフは帰っていく。
「よ、良かったのですか……陛下。彼は確かに中央ギルドの責任者ですが、あまりよくない噂も……」
「それを見極める意味でも任せようと思う。もし、なにか怪しい動きを見せれば排除するさ。ヒスイ、君に任せる」
「……そ、そういう事でしたら分かりました。うけたまわりました」
これでもう護衛だなんだ言われる心配はなさそうかな。
朝食を終え、僕はコーラルを庭で待った。青空を眺めていると、背後から気配がした。
「カムイ様~。お待たせしました」
「やあ、コーラル。まずは二人でタワーダンジョンの開発に向かおう。少ししたら、レイヤとそのギルドメンバーを迎えに行く」
「えっ、いいんですか?」
「うん、ちょっとだけデートだよ」
「デ、デート!? あわわ……しょ、勝負下着にした方がいいです!?」
勝負下着!? コーラルは、何を言っているんだ。動揺しすぎだ。僕はそんな彼女の手を握る。しかし、もっと目を回した。もう、会って早々ぽんこつだなあ。
「テレポートを開始する。しっかり掴まって」
「は、はひぃ~!」
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さあて、今日も高くしていこう!
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