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ポーションの真相
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はじめて美味しい――いえ、ニオイも回復力も抜群の完璧なポーションが作れた。やっと、やっと……。
ロス様もそれはハッキリと認めてくれた。嬉しい、こんなに嬉しいことはない。これで、わたしは、帝国に認めてもらえるはず。
これで、イグナティウスをギャフンと言わせられる。それに、あのコリンナも!
そんな中、扉が強く開いた。
「ちょっと、ロスさん! これはどういうことなの!!」
そこには怒りに満ちたコリンナがいた。えっ、なんでロス様の家が分かったの?
「君こそ、勝手に人のお店に上がり込んで……失礼だよ、コリンナ」
「尾行させてもらったの! それより、ロスさん、あなた錬金術師だったの!? ヘリオドール聖界諸侯ってなに! わたしにはそんなこと教えてくれなかったじゃない!!」
コリンナは、ロス様に対して激しくがなりたてる。そっか、コリンナには何も教えてなかったんだ。
「どうして? 別に話す必要はなかったからさ。それに、今やっと分かったよ」
「なにがよ……」
「君か。君がフラビアのポーションを不味くさせていたんだね」
「なっ!!」
わたしもコリンナも同時に驚く。ま、まって……それってどういう意味。彼女が、わたしのポーションを不味くさせていた?
「教えて、コリンナ! わたしのポーションに何をしたの!?」
「……な、なにもしてないわよ。知らない!! 私は何もしらないわ!!」
嘘。
この必死な感じは嘘よ。
もし、わたしのポーションに何かしていたのなら……絶対に許せない。問い詰めようとすると、ロス様がポーション瓶を取り出し、魔法で溶かした。それをコリンナへ付与した。
魔法付与……!
つまり、さっきわたしを回復したみたいに、コリンナにも何か魔法を掛けた――ということね。
「これでコリンナは、もう嘘はつけない」
「な、なにをしたのロスさん! え、あぁ……はい」
コリンナの表情が変わった。
あれだけ興奮していたのに、今はどこか虚ろ。
「あの、ロス様、今のポーションは?」
「あれはね、自白ポーションさ。国を守るために使われている秘密の薬だけどね、今は真実を明らかにするために使う。さあ、話すんだ、コリンナ!」
ロス様がそう聞き出すと、コリンナはゆっくりと話し始めた。
「……実は、私はフラビアのお店へハーブの材料を納品するとき、腐ったものにすり替えていたの。だから、フラビアの作るポーションは不味いものばかりが完成した」
「なにそれ! それじゃあ、いくら調合を変えても不味かったわけね……おかしいと思った」
つまり、わたしの作るポーションは、コリンナのハーブのせいだったんだ。そっか、この辺りではコリンナのお店がハーブを栽培しているとお父様が言っていたっけ。
「それと……放火をしたのも……私です」
「「――なっ!!」」
わたしは、それを聞いてショックで倒れそうになった。
「フラビア! 可哀想に……コリンナがここまでしていたなんて。でも大丈夫だ。この僕が彼女を裁くから」
「……ロス様。わたし……でも、良かった。わたしのポーションは美味しかったんだ」
「ああ、コリンナが原因だったんだ。だから、もう誰も不味いなんて言わないさ」
――その後、コリンナは材料の偽造と放火の重罪で拘束され、連れていかれた。
ロス様もそれはハッキリと認めてくれた。嬉しい、こんなに嬉しいことはない。これで、わたしは、帝国に認めてもらえるはず。
これで、イグナティウスをギャフンと言わせられる。それに、あのコリンナも!
そんな中、扉が強く開いた。
「ちょっと、ロスさん! これはどういうことなの!!」
そこには怒りに満ちたコリンナがいた。えっ、なんでロス様の家が分かったの?
「君こそ、勝手に人のお店に上がり込んで……失礼だよ、コリンナ」
「尾行させてもらったの! それより、ロスさん、あなた錬金術師だったの!? ヘリオドール聖界諸侯ってなに! わたしにはそんなこと教えてくれなかったじゃない!!」
コリンナは、ロス様に対して激しくがなりたてる。そっか、コリンナには何も教えてなかったんだ。
「どうして? 別に話す必要はなかったからさ。それに、今やっと分かったよ」
「なにがよ……」
「君か。君がフラビアのポーションを不味くさせていたんだね」
「なっ!!」
わたしもコリンナも同時に驚く。ま、まって……それってどういう意味。彼女が、わたしのポーションを不味くさせていた?
「教えて、コリンナ! わたしのポーションに何をしたの!?」
「……な、なにもしてないわよ。知らない!! 私は何もしらないわ!!」
嘘。
この必死な感じは嘘よ。
もし、わたしのポーションに何かしていたのなら……絶対に許せない。問い詰めようとすると、ロス様がポーション瓶を取り出し、魔法で溶かした。それをコリンナへ付与した。
魔法付与……!
つまり、さっきわたしを回復したみたいに、コリンナにも何か魔法を掛けた――ということね。
「これでコリンナは、もう嘘はつけない」
「な、なにをしたのロスさん! え、あぁ……はい」
コリンナの表情が変わった。
あれだけ興奮していたのに、今はどこか虚ろ。
「あの、ロス様、今のポーションは?」
「あれはね、自白ポーションさ。国を守るために使われている秘密の薬だけどね、今は真実を明らかにするために使う。さあ、話すんだ、コリンナ!」
ロス様がそう聞き出すと、コリンナはゆっくりと話し始めた。
「……実は、私はフラビアのお店へハーブの材料を納品するとき、腐ったものにすり替えていたの。だから、フラビアの作るポーションは不味いものばかりが完成した」
「なにそれ! それじゃあ、いくら調合を変えても不味かったわけね……おかしいと思った」
つまり、わたしの作るポーションは、コリンナのハーブのせいだったんだ。そっか、この辺りではコリンナのお店がハーブを栽培しているとお父様が言っていたっけ。
「それと……放火をしたのも……私です」
「「――なっ!!」」
わたしは、それを聞いてショックで倒れそうになった。
「フラビア! 可哀想に……コリンナがここまでしていたなんて。でも大丈夫だ。この僕が彼女を裁くから」
「……ロス様。わたし……でも、良かった。わたしのポーションは美味しかったんだ」
「ああ、コリンナが原因だったんだ。だから、もう誰も不味いなんて言わないさ」
――その後、コリンナは材料の偽造と放火の重罪で拘束され、連れていかれた。
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