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配信はじめました

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 氷河ダンジョンで商売繁盛した。
 十分にアイテムを売りさばけたので撤退。

 共和国へ戻りアナライズへ立ち寄ると、受付のお姉さんが金のカードをくれた。

「その金のカードがあれば『配信』できるんです」
「配信?」
「今、流行りのダンジョン配信ですよ~」

 お姉さんによれば、世界ギルドが自動配信しているチャンネルがあるらしい。全世界、誰でも見られる番組なんだとか。
 現在は商人系限定で試験的に行われているようだ。専用の金のカードがあれば、いつでもどこでもダンジョン内に限って配信が可能と聞かされた。

 へえ、面白いな。
 自分が見たものを、そのままみんなに共有できるだなんて。しかも、投げ銭システムもあるようだった。
 これは配信を見た人がお金を投げてくれるようだ。だから、配信でお金を稼ぐ商人も世の中にはいるらしい。そのせいか、商人になりたがる人間も増えているのだとか。

 僕は受付のお姉さんに礼を言って、アナライズを後にした。

 外にはアルメリアが待っていた。

「おかりなさい、カインさん」
「やあ、アルメリア。お待たせ……って、髪の色染めたの?」
「はい、気分転換にピンクにしてみましたっ」

 あらま……あの綺麗な銀髪が桃色になっていた。もったいない! けど、これはこれで可愛い。なんなら服装も可愛らしくなっている。シスター要素どこいった……。
 まあいいか、アルメリアの自由なんだから。

「うん、いいと思う。さて、これから配信をしてみようと思う」
「配信ですか?」
「さっき受付のお姉さんに金のカードを貰ってね」

 さっきの説明をそっくりそのままアルメリアにも話した。彼女は理解が早かった。一瞬で納得してくれた。

「へえ~! そういえば、中央広場に設置されえている大きな壁に配信者の映像が映し出されていますよね。それに、アイテムで見ることも可能だそうです」

 どうやら、共和国の中央噴水広場には巨大スクリーンが設置されているようだった。あの白い壁か。

 向かってみると、本当にそこには十を超える映像の数々が映っていた。こんな風に見ることもできるんだ。
 配信閲覧アイテム『ミラージュ』を使えば、家で配信を楽しむこともできるようだ。ただ、ひとつ買うのに五万リペアもする。なかなか高いな。
 金のない者は、中央広場で見ろってことらしい。

「ほ~。投げ銭ランキングも見れるんだ」
「凄いですね! 一位は五十万リペアも稼いでいますよ」

 これは凄い。
 僕達も負けていられないな。

 人気の遺跡ダンジョン『パルテノン』へ向かおう。

 アルメリアにそのことを伝え、さっそく共和国を旅立つ。門外へ飛び出し、歩いて遺跡へ。徒歩半日もすれば遺跡は見えてきた。

 あの塔のような遺跡こそ、パルテノンだ。

 遺跡の前には多くの冒険者。それに商人も販売アイテムを広げて露店をしている。普通の商人なら、あの場所が限界。けど、僕は違う。ダンジョン内で商売ができる強みがある。

 アルメリアを連れ、さっそく中へ……!


「ちょっと待ちな、あんちゃん!」


 一歩踏み入れようとしたところ、冒険者が話しかけてきた。だ、誰だこの筋肉質の大男。怖いなぁ……。


「えっと……なんです?」
「この遺跡は人気がある。最近、レアアイテムを盗む輩も増えてきている……気を付けな」

 そう忠告をして男は去っていく。
 良い人だった……?
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