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136 日々是特訓
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ニューロックに戻ってから、わたしは精霊の皆さんと一緒に特訓に明け暮れた。
魔力のコントロールに磨きをかけ、様々な術を教わった。
もっともアフロの義体生成魔術のような、精霊本体にしか使えないようなユニークスキルは流石に無理だったが、小技や大技を色々と教えてもらい、かなり成長できたと思う。
・・・光の精霊を閉じ込める事ができる黒い箱の魔術も教わったことはミネルヴァには秘密だ。
たくさんの魔術を教わって気がついたが、魔力操作と属性の特色を把握すれば、ある程度の事は割りと雑に、想像したとおりに実現できることが分かった。
例えば、土の魔術を紡いで作った魔力の球の周りを水の守りで圧縮して固め、それを風の魔術で飛ばす。
珠がターゲットに衝突して水の守りが砕けた拍子に、開放された土の魔力が一気に膨れ上がって魔力の爆発が起きる。
土の魔力を火薬に見立てた擲弾だ。
魔力は遠隔でも操作できるので誘導も爆発タイミングも思いのままだし、充填具合を調整すれば癇癪玉からロケット砲の威力まで色々調整できそうだ。
ということで実際に郊外の演習場を貸し切りにしてもらい、試してみたところ・・・
「ユリ。一体何をしたのか説明してくれるかしら」
「ユリよ、加減というものを覚えるのじゃ」
「また珍妙な事を考えついたみたいね」
アフロとディーネとサラから総ツッコミをもらった理由は、演習場の地面に出来上がった巨大なクレーターのせいだった。
なお、ミネルヴァはメティスを連れて、魔道具開発の手伝いに行っている。
「いやー、演習場だし、多少威力を上げてみても大丈夫かなと思って。あはは・・・」
「笑い事ではないのだけど・・・でも面白いわ。ユリだからできる事ね」
その時、わたしの後ろで拍手をする音が聞こえた。
「すごい!ユリお姉ちゃん、すごいの!」
「ありがとう、ミライちゃん。ミライちゃんに褒められるのはすっごく嬉しいよ!」
ミライが尊敬の眼差しでわたしを称賛してくれている。
ミライは、わたしが郊外の演習場に行くと聞き、一緒に行きたいと言うので連れてきたのだった。
最近一緒に遊んでいなかったし、そろばんの授業もできない状況なので、ミライにとってもちょうどよいお出かけになると考えたからだ。
「ねー。ミライも練習すればできるようになる?」
「んー、そうだねー。もっと魔力を上手に使えるようになって、今の技を使うための魔道具をエスカに発明してもらえればできるかもしれないね」
「えー、ユリお姉ちゃんは道具を使わずにできるの。ミライも自分の力だけでばばーんってやれるようになりたいの!」
「そっか。そのためには、魔力をもっと上手に使えるようにならないよね」
「・・・うん。わかった。ミライも頑張って練習するの」
・・・思いのほか高スペックなミライちゃんならば、いずれ実現するかもしれないね。
がんばり屋さんだし。
とはいえ、普通の人は無色の魔力しか扱うことができない。
今の技を全く同じようにとはいかないまでも、優秀な魔力使いになれる気がする。
「そうだミライちゃん、ユリにあれを見せてあげなさい」
「え?アフロお姉ちゃん。いいの?誰にも見せちゃ駄目って・・・」
「今日はいいわよ。ワタシ達しかしないから」
「ふーん。そっか。分かったの!」
アフロとミライの間でなにやら不穏な会話が行われた。
あれってなんだろうか、と疑問に思っていると、ミライが上着の首元から手を突っ込んで、何かを取り出した。
ネックレスのように見えるが、いつぞやの国民証を出現させるための魔道具とは違ってやや大きめだ。
金属製っぽい素材で、厚みは無く、やや平べったい。
複数の穴が空いており、妙にゴツゴツしている。
ミライは首から下げている紐からその金属片を外すと、右手に装着した。
・・・っていうか、それって、ナックルダスターじゃね?
なんでそんな物騒なものを・・・
そしてミライはタタタっと小走りでわたし達から距離を取ると、ふんすと鼻息を吹いて構えた。
「見ててねー!ユリお姉ちゃーん!」
「うん!見てるよー!」
「ではいきます・・・『近寄らないで!』」
「え?なんですと?」
そしてミライはナックルダスターをはめた右手を地面に向けて勢いよく振り下ろした。
ドオン、という音と共に地面が揺れ、ミライの足元に小さなクレーター状の凹みが生まれていた。
ミライはとても満足そうな笑顔で、こちらを見ている。
「アフロ先生!うまくできたの!ユリお姉ちゃん、見てくれた!?」
「・・・うん・・・見ました・・・」
想定外の威力に驚いたわたしはすぐに声を出すことが出来なかった。
ディーネとサラも口を開いてポカーンとしている。
呆けているハシビロコウとカピバラの顔は超かわいい。
「どう?これはね、ユリ達がライオット領に行っている間にワタシが作った、ミライ専用の魔道具よ」
アフロの発言で我に返ったわたしは、アフロを問い詰めるべくアフロに詰め寄った。
「アフロちゃん、なんてものをミライちゃんに渡すのよ!危ないでしょうが!」
「ちゃんと安全に設計してあるわよ。あの魔道具はワタシが魔力を丁寧に込めて、ミライちゃんだけが使えるようにしてあるし」
アフロ曰く、魔道具を手に装着した後、ミライの魔力と『近寄らないで』の発音をキーに発動し、触れたものに衝撃を与える仕組みになっているそうだ。
また、対象が物の場合だと破壊した破片などでミライが被害を受ける可能性を想定して、術式が発動した後、拳と自分の間に数秒間、魔力による防御壁を展開するという。
「いざという時にミライが自己防衛できるようにと思って、ユリがライオット領に行っている間に作ったわ。見ての通りの威力だから皆には秘密。そして悪い大人に捕まりそうになった時とか、本当に身の危険が迫った時にだけ使うようにと言ってあるわ」
「・・・使われる相手が気の毒ね」
「ワタシやユリが不在の時の、いざという時のための防衛手段なのよ。文句は言わせないわよ」
「うん、基本的には言わない。むしろありがとう。」
・・・アフロの、ミライに対する溢れんばかりの母性愛、ここに極まれりといったところだろうか。
「でも、アフロちゃん。ひとつだけお願いがあるの」
「何?」
「右手はそろばんをするためのとても大切な手よ。突き指や怪我などされたら困るわ。できれば左手に装着させてくれないかな。発動に腕力は必要ないのでしょう?」
「分かったわ。左手用もすぐに作れということね」
「・・・ちょっと違うけど・・・そうね。左手用、お願いするわ」
わたしは中学に入学した頃、部活動紹介を見てバレー部が面白そうだと思って入ろうとしたところで父に断固反対された。
反対の理由は、突き指したらそろばんの練習ができなくなるからだった。
日常生活でも突き指くらいは起きるだろうけれども、バレー部に入ればその確率は飛躍的に上がる。
そのためバレー部含め、突き指しそうな部には入ることができなかった。
中学時代はまだそろばんの能力が伸び盛りだったし、色々な大会にも出ていたからなおさらだろう。
高校に入ってからはそろばんの練習時間も減ったし大会に出ることもほぼなくなり、父にうるさく言われることも無くなったので、太極拳部に入って楽しく怪我しまくったけど。
「ではユリ。特訓の続きといきましょう。ミライちゃんも一緒に練習を見てあげるわ」
「分かったわ」
「アフロ先生、お願いしますなの!」
そんな感じで厳しくも楽しく、特訓する日々は続いた。
領海付近に、王都軍の船団が現れた事を告げられるまでは。
ついにニューロックへの侵攻が始まった。
魔力のコントロールに磨きをかけ、様々な術を教わった。
もっともアフロの義体生成魔術のような、精霊本体にしか使えないようなユニークスキルは流石に無理だったが、小技や大技を色々と教えてもらい、かなり成長できたと思う。
・・・光の精霊を閉じ込める事ができる黒い箱の魔術も教わったことはミネルヴァには秘密だ。
たくさんの魔術を教わって気がついたが、魔力操作と属性の特色を把握すれば、ある程度の事は割りと雑に、想像したとおりに実現できることが分かった。
例えば、土の魔術を紡いで作った魔力の球の周りを水の守りで圧縮して固め、それを風の魔術で飛ばす。
珠がターゲットに衝突して水の守りが砕けた拍子に、開放された土の魔力が一気に膨れ上がって魔力の爆発が起きる。
土の魔力を火薬に見立てた擲弾だ。
魔力は遠隔でも操作できるので誘導も爆発タイミングも思いのままだし、充填具合を調整すれば癇癪玉からロケット砲の威力まで色々調整できそうだ。
ということで実際に郊外の演習場を貸し切りにしてもらい、試してみたところ・・・
「ユリ。一体何をしたのか説明してくれるかしら」
「ユリよ、加減というものを覚えるのじゃ」
「また珍妙な事を考えついたみたいね」
アフロとディーネとサラから総ツッコミをもらった理由は、演習場の地面に出来上がった巨大なクレーターのせいだった。
なお、ミネルヴァはメティスを連れて、魔道具開発の手伝いに行っている。
「いやー、演習場だし、多少威力を上げてみても大丈夫かなと思って。あはは・・・」
「笑い事ではないのだけど・・・でも面白いわ。ユリだからできる事ね」
その時、わたしの後ろで拍手をする音が聞こえた。
「すごい!ユリお姉ちゃん、すごいの!」
「ありがとう、ミライちゃん。ミライちゃんに褒められるのはすっごく嬉しいよ!」
ミライが尊敬の眼差しでわたしを称賛してくれている。
ミライは、わたしが郊外の演習場に行くと聞き、一緒に行きたいと言うので連れてきたのだった。
最近一緒に遊んでいなかったし、そろばんの授業もできない状況なので、ミライにとってもちょうどよいお出かけになると考えたからだ。
「ねー。ミライも練習すればできるようになる?」
「んー、そうだねー。もっと魔力を上手に使えるようになって、今の技を使うための魔道具をエスカに発明してもらえればできるかもしれないね」
「えー、ユリお姉ちゃんは道具を使わずにできるの。ミライも自分の力だけでばばーんってやれるようになりたいの!」
「そっか。そのためには、魔力をもっと上手に使えるようにならないよね」
「・・・うん。わかった。ミライも頑張って練習するの」
・・・思いのほか高スペックなミライちゃんならば、いずれ実現するかもしれないね。
がんばり屋さんだし。
とはいえ、普通の人は無色の魔力しか扱うことができない。
今の技を全く同じようにとはいかないまでも、優秀な魔力使いになれる気がする。
「そうだミライちゃん、ユリにあれを見せてあげなさい」
「え?アフロお姉ちゃん。いいの?誰にも見せちゃ駄目って・・・」
「今日はいいわよ。ワタシ達しかしないから」
「ふーん。そっか。分かったの!」
アフロとミライの間でなにやら不穏な会話が行われた。
あれってなんだろうか、と疑問に思っていると、ミライが上着の首元から手を突っ込んで、何かを取り出した。
ネックレスのように見えるが、いつぞやの国民証を出現させるための魔道具とは違ってやや大きめだ。
金属製っぽい素材で、厚みは無く、やや平べったい。
複数の穴が空いており、妙にゴツゴツしている。
ミライは首から下げている紐からその金属片を外すと、右手に装着した。
・・・っていうか、それって、ナックルダスターじゃね?
なんでそんな物騒なものを・・・
そしてミライはタタタっと小走りでわたし達から距離を取ると、ふんすと鼻息を吹いて構えた。
「見ててねー!ユリお姉ちゃーん!」
「うん!見てるよー!」
「ではいきます・・・『近寄らないで!』」
「え?なんですと?」
そしてミライはナックルダスターをはめた右手を地面に向けて勢いよく振り下ろした。
ドオン、という音と共に地面が揺れ、ミライの足元に小さなクレーター状の凹みが生まれていた。
ミライはとても満足そうな笑顔で、こちらを見ている。
「アフロ先生!うまくできたの!ユリお姉ちゃん、見てくれた!?」
「・・・うん・・・見ました・・・」
想定外の威力に驚いたわたしはすぐに声を出すことが出来なかった。
ディーネとサラも口を開いてポカーンとしている。
呆けているハシビロコウとカピバラの顔は超かわいい。
「どう?これはね、ユリ達がライオット領に行っている間にワタシが作った、ミライ専用の魔道具よ」
アフロの発言で我に返ったわたしは、アフロを問い詰めるべくアフロに詰め寄った。
「アフロちゃん、なんてものをミライちゃんに渡すのよ!危ないでしょうが!」
「ちゃんと安全に設計してあるわよ。あの魔道具はワタシが魔力を丁寧に込めて、ミライちゃんだけが使えるようにしてあるし」
アフロ曰く、魔道具を手に装着した後、ミライの魔力と『近寄らないで』の発音をキーに発動し、触れたものに衝撃を与える仕組みになっているそうだ。
また、対象が物の場合だと破壊した破片などでミライが被害を受ける可能性を想定して、術式が発動した後、拳と自分の間に数秒間、魔力による防御壁を展開するという。
「いざという時にミライが自己防衛できるようにと思って、ユリがライオット領に行っている間に作ったわ。見ての通りの威力だから皆には秘密。そして悪い大人に捕まりそうになった時とか、本当に身の危険が迫った時にだけ使うようにと言ってあるわ」
「・・・使われる相手が気の毒ね」
「ワタシやユリが不在の時の、いざという時のための防衛手段なのよ。文句は言わせないわよ」
「うん、基本的には言わない。むしろありがとう。」
・・・アフロの、ミライに対する溢れんばかりの母性愛、ここに極まれりといったところだろうか。
「でも、アフロちゃん。ひとつだけお願いがあるの」
「何?」
「右手はそろばんをするためのとても大切な手よ。突き指や怪我などされたら困るわ。できれば左手に装着させてくれないかな。発動に腕力は必要ないのでしょう?」
「分かったわ。左手用もすぐに作れということね」
「・・・ちょっと違うけど・・・そうね。左手用、お願いするわ」
わたしは中学に入学した頃、部活動紹介を見てバレー部が面白そうだと思って入ろうとしたところで父に断固反対された。
反対の理由は、突き指したらそろばんの練習ができなくなるからだった。
日常生活でも突き指くらいは起きるだろうけれども、バレー部に入ればその確率は飛躍的に上がる。
そのためバレー部含め、突き指しそうな部には入ることができなかった。
中学時代はまだそろばんの能力が伸び盛りだったし、色々な大会にも出ていたからなおさらだろう。
高校に入ってからはそろばんの練習時間も減ったし大会に出ることもほぼなくなり、父にうるさく言われることも無くなったので、太極拳部に入って楽しく怪我しまくったけど。
「ではユリ。特訓の続きといきましょう。ミライちゃんも一緒に練習を見てあげるわ」
「分かったわ」
「アフロ先生、お願いしますなの!」
そんな感じで厳しくも楽しく、特訓する日々は続いた。
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