ゾンビ農園

真っ白 磨代

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デート……

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車で走る車内……

「今日は、何処に連れて行ってくれるの?」

そう、はしゃぐ彼女。

僕は、その質問に対して……

「着いてからの、お楽しみ~♪」

そう言って、運転する車のハンドルを強く握りしめた。

それから、数時間後に到着した場所は……

とあるテーマパーク!!!

その名も、ゾンビ農園。

そこは、ゾンビが飼育されている本格的な
お化け屋敷が有名な施設とネットに書いてあった。

僕は、そこに彼女と訪れた。

「えっ! 何ココ???」

「ここ? ここは……ゾンビ農園! ただのテーマパークだよ!!!」

「ゾンビ農園? お化け屋敷???」

「ネットには、そう書いてあったよ。」

「へぇ~……」

怖いものが平気な彼女。

このゾンビ農園は、如何だろう!?

そんな期待をしながら、車を止め。

園内に入って行く僕達……

「・・・なんか……。
大きな建物が、一つあるだけね。」

「確かに……」

テーマパークと呼ぶには、少し物寂しい。

しかし、恐怖感を煽るならそれも

あり! 僕は、そう思った。

今日は、この負けん気の強い彼女を飛び切り

驚かしてやろう! 

そして、僕達はチケットを買おうとすると……

係員から、今日は無料ですと言われた。

僕と彼女は、ラッキー!

などと思いながら建物の中へと入って行った。

中は、真っ暗で……

「何も見えないわね……」

とりあえず係員に、渡されたライトを使ってみることに

「うわッ!!! 汚い……」

部屋の中は、散らかっていて血のりが

タップリとブチ撒かれていた。

僕達は、恐る恐ると先に進むと……

ガタンッ!

物音が聞こえて、僕は彼女の手を強く握った。

「ちょっと、やめて! 歩きにくい!」

「・・・ごめん……」

僕は、彼女から手を離すと彼女は、どんどん先へ進んでしまう……

「ちょッ……待って……!!!」

ライトを彼女が持っている為。

暗くて何も見えなくなってしまう……

相変わらず! 周りからは

ガサッガサッ! ゴソゴソッ! と音が聞こえて気味が悪い……

すると……

「ちょっと!!! 掴まないで!!!」と

彼女の声が聞こえて来た。

・・・僕では、無い! 僕は、彼女と離れている為!触る事など出来ない。

僕は、急いで彼女に駆け寄る。

「ちょっと! やめて!!! 痛い……」

僕は、急いで声を掛ける!!!

「それは、僕じゃ無い!!! 逃げて!」

「えっ!? 如何言う事??? 
普通、こう言う!お化け屋敷のスタッフは、客に触れちゃダメよね!!!」

確かに……普通は、お化け屋敷のスタッフは客に触れてはいけないと言うルールがある。

怖さを表現する為。そこを破るとは思えない……

なら、今、彼女を掴んでいるのは誰だ!?

「きゃー!!! 痛い! やめて!!!」

彼女は、激しく抵抗している様子だったが……

「だ……大丈夫!?」

「なんか! 沢山いる!!!」

「逃げれる?」

「・・・そんなに力は、強く無いけど……
無理かも」

1人1人の力は、さほど強く無くても……

大勢に囲まれると逃げるのは、困難だった。

「ギャーーー!!!」

彼女の悲鳴が聞こえる!

しかし、僕は前の人の壁で彼女の元へ進めないでいた。

「待ってて!!! 今行くから……」

彼女の声が聞こえなくなり……

僕は、前の人を掻き分け彼女の元へと向かうと……

彼女の姿は、無く。 

ライトだけが、無惨に投げ捨てられていた。

そして、僕は……その、ライトを拾うと!

くちゃくちゃ……と音のなる方を照らすと

血だらけの彼女が倒れていた……

それに覆い被さる沢山の人? ゾンビ……

の姿を目撃する。

「し……死んでるの……?」

ゾンビ達は、彼女を食べるのに夢中で

こちらには、気づいていない様子だった。

僕は……

「おい! な……なにをしているんだ!?」

大声を出すと……

数体のゾンビが、こちらに気づいたのか

動き出す。

「えっ!? ちょ……」

僕が、後ろに下がると何かにぶつかった。

後ろを振り向きライトで、照らすと……

無数のゾンビ達が、蠢いていた。

僕は、ビックリして! ライトを投げ捨てて
その場にしゃがみ込んでしまった。

僕が、ガタガタ! と震えながら居ると……

ゾンビ達は、襲って来なかった。

そして、落ちたライトの先が照らす彼女へと
当たると……
ゾンビ達は、また彼女に群がっていた。

彼女は、見るも無惨な姿に……

ああ……なんて所に来てしまったんだ僕達は

僕は、彼女の事を諦めて脱出をする事に……

ゆっくりと歩き……

出口の扉へと向かうと……

係員が、赤いライトを持って現れた。

助けてください……

「あ~あ、男の方は生き残ったか……」

僕は、初め係の人が何を言っているか分からなかった。

「おーい……後ろに下がれ!」

そう言われて赤いライトを当てられると……

僕は、何故だか後ろへとゆっくり下がった。

「まぁ、ゾンビも死んでしまうから補充も必要でしょう」

「確かに、そうだか……アイツら食べなくても死ぬからな~」

「まぁ、いざって時は……
また生肉でも与えましょう。」

そして、係員は赤いライトで僕を誘導すると……

彼女の元へと向かった。

そして、彼女に何か液体を掛けると……

ゾンビ達が、彼女に群がり食べ始めた。

それから、僕達が使っていたライトの灯りを消し回収して

僕を置いて出て行ってしまった。

僕は、取り残され……

真っ暗な闇の中……

数日後……

「・・・離れないでね……」
「分かってる……」

青いライトを持ちカップルが現れた。

僕は、そのカップルにゆっくりと近づくと……

「きゃぁぁぁぁー!!! ゾンビ!!!」

悲鳴が上がり彼女が、倒れた!

そして、僕は助けようと……ゆっくり近づこうとする。

しかし、近づけない……

彼女は彼氏に、起こしてもらい立ち上がると

「大丈夫だよ! 作り物だから……」

そう言って、2人は腕を組むと……

ゆっくりと歩き出し……

居なくなった。

そして、僕は……

このゾンビ農園のゾンビとなった。
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