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37話 任務5
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森を歩くのも慣れた頃、目的地に到着した為、前方の動きが止まった。
それに合わせて、僕たち後方も止まる。
森を抜けた草原。涼しくて心地よい風が辺りを吹きぬける。
「気持ちいい風だねー」
と隣の女子が言う。この歳で風の気持ちよさがわかるとは中々の感性を持っている。
「確かにいい風だ」
今彼女と2人っきりならいい雰囲気だっただろう。告白くらいしてもおかしくない、ベストな雰囲気なのだが…残念ながら目の前には沢山のクラスメイト達がいる。鎧に身を包み、各々が武器を持っている。
雰囲気ぶっつぶれである。
「みんな、先日の盗賊の根倉を調べに行く。戦う者だけ来てくれ。それ以外の人はここで待っていてくれ」
なんだ、今日の任務は先日の盗賊の根倉を調べる、という任務だったのか……
えっ、あの時の盗賊は皆逃げたんじゃなかったか? 根倉にいるんじゃ……
「なぁ、危なくないのか?」
隣の小柄な女子に問いかける。
「ううん、大丈夫みたいだよ。盗賊はリーダーを失って散り散りになったらしくて、根倉にはもういないんじゃないかって言ってた」
「そうなんだ…」
と相槌はしたものの、本当に大丈夫なんだろうか? と心配になる。
まぁ、僕はその根倉に行くわけではないから、他人事に近いが実際不安である。
「よし、皆んな行くぞ」
前方の方では10人くらいの男子達が集まっていた。彼らが根倉に向かう集団らしい。
もちろん先頭を仕切っているのはイケメンの健だった。
名字は知らない。
「気を付けてねー」
残っている女子が男子達を見送った。
残っているのは殆どが女子だった。その中に混じるのは流石に、男としては如何なのだろうかと悩むものの、無能力者の僕では行っても足手纏いでしかない。
自分の身が1番危ないのだ。
僕は腰にぶら下げたホルスターを触る。そこには先日買った銃が入っている。
長めの上着を着ている為、誰も僕が銃を気にもしていない。
というか気づいていない。
「ねぇ、ねぇ、結城」
1人の女子が近づいてきた。
この顔は笠井翔子だ。間違いない。
黒髪ロングなのに、少しギャルっぽさがあるこの感じは間違いないはずだ。
スクールカースト上位の女子だ。そんな彼女が僕に何の様だろう。
「あんたって健とどう言う関係なの?」
やはりその話か…何で1人ずつ聞いてくるのだ。弁明は一度で済ませたいんだけどな。
「どう言う関係って、ただの…」
友達と言おうとして止まる。
彼は本当に友達と呼べるのだろうか。実際友達と思った事はないんだけど、それ以外何と言えばいいのか。判断が難しい。
「どうしたの? ただの何?」
「ただの…友達だけど」
自分で言っておいてなんだけど、アイツと友達と言うのが嫌だった。
それが顔に出ていたんだろうか。笠井翔子も変な顔で僕を見ている。
「何でそんな嫌そうな顔してるのよ。友達って言うのがそんなに嫌なの? 待ってまさか…友達じゃなくて……友達以上の関係だから、友達って言うのが嫌だったりする?!」
そんなわけない。それにどうしてそっちに話を持っていくのだろうか。
どう考えても友達以上じゃなくて、友達以下だよ。
「何でそうなる? 僕は男だぞ」
「男同士っていうのも流行ってるし、あり得なくもないかな…って」
「あり得ないだろ」
「だ、だよね。そうだよね…昨日は何もなかったんだよね」
「何もないよ」
「わかったありがとう」
何故か嬉しそうに笠井翔子は話、去って行った。
「あ、ちょっと待って」
「なに?」
聞きにくいが聞くことにした。
「ちょっと申し訳ないんだけど…彼女の下の名前教えてもらってもいい」
と目配せをしてさっきまで隣で話していた女子の名前を聞いた。
「そんなの本人に聞いたらいいのに…」
「いや、知らないのは失礼かと思って…それに本人には聞きにくい」
「それもそっか…えっとね……なんだっけ」
「ふぇ?」
「ちょっと待ってね、思い出すから…えっと、えっと」
と頭に手を置いて考える笠井翔子。
そんなに思い出せないものか? クラスメイトだろ。
「もう、名字だけでもいいよ、教えてくれ」
「名字? てか、あんた彼女の名前知らなかったの? 笑えるんですけど~」
「笑えないから、教えてくれ」
「えっとね…」
「うん、なんだ」
「えっとね」
「うんうん」
「…忘れた」
「はい?」
「忘れたの…あれ、何で私思い出せないの?」
「いや知らんし」
その時、地面が大きく揺れるのを感じた。
それに合わせて、僕たち後方も止まる。
森を抜けた草原。涼しくて心地よい風が辺りを吹きぬける。
「気持ちいい風だねー」
と隣の女子が言う。この歳で風の気持ちよさがわかるとは中々の感性を持っている。
「確かにいい風だ」
今彼女と2人っきりならいい雰囲気だっただろう。告白くらいしてもおかしくない、ベストな雰囲気なのだが…残念ながら目の前には沢山のクラスメイト達がいる。鎧に身を包み、各々が武器を持っている。
雰囲気ぶっつぶれである。
「みんな、先日の盗賊の根倉を調べに行く。戦う者だけ来てくれ。それ以外の人はここで待っていてくれ」
なんだ、今日の任務は先日の盗賊の根倉を調べる、という任務だったのか……
えっ、あの時の盗賊は皆逃げたんじゃなかったか? 根倉にいるんじゃ……
「なぁ、危なくないのか?」
隣の小柄な女子に問いかける。
「ううん、大丈夫みたいだよ。盗賊はリーダーを失って散り散りになったらしくて、根倉にはもういないんじゃないかって言ってた」
「そうなんだ…」
と相槌はしたものの、本当に大丈夫なんだろうか? と心配になる。
まぁ、僕はその根倉に行くわけではないから、他人事に近いが実際不安である。
「よし、皆んな行くぞ」
前方の方では10人くらいの男子達が集まっていた。彼らが根倉に向かう集団らしい。
もちろん先頭を仕切っているのはイケメンの健だった。
名字は知らない。
「気を付けてねー」
残っている女子が男子達を見送った。
残っているのは殆どが女子だった。その中に混じるのは流石に、男としては如何なのだろうかと悩むものの、無能力者の僕では行っても足手纏いでしかない。
自分の身が1番危ないのだ。
僕は腰にぶら下げたホルスターを触る。そこには先日買った銃が入っている。
長めの上着を着ている為、誰も僕が銃を気にもしていない。
というか気づいていない。
「ねぇ、ねぇ、結城」
1人の女子が近づいてきた。
この顔は笠井翔子だ。間違いない。
黒髪ロングなのに、少しギャルっぽさがあるこの感じは間違いないはずだ。
スクールカースト上位の女子だ。そんな彼女が僕に何の様だろう。
「あんたって健とどう言う関係なの?」
やはりその話か…何で1人ずつ聞いてくるのだ。弁明は一度で済ませたいんだけどな。
「どう言う関係って、ただの…」
友達と言おうとして止まる。
彼は本当に友達と呼べるのだろうか。実際友達と思った事はないんだけど、それ以外何と言えばいいのか。判断が難しい。
「どうしたの? ただの何?」
「ただの…友達だけど」
自分で言っておいてなんだけど、アイツと友達と言うのが嫌だった。
それが顔に出ていたんだろうか。笠井翔子も変な顔で僕を見ている。
「何でそんな嫌そうな顔してるのよ。友達って言うのがそんなに嫌なの? 待ってまさか…友達じゃなくて……友達以上の関係だから、友達って言うのが嫌だったりする?!」
そんなわけない。それにどうしてそっちに話を持っていくのだろうか。
どう考えても友達以上じゃなくて、友達以下だよ。
「何でそうなる? 僕は男だぞ」
「男同士っていうのも流行ってるし、あり得なくもないかな…って」
「あり得ないだろ」
「だ、だよね。そうだよね…昨日は何もなかったんだよね」
「何もないよ」
「わかったありがとう」
何故か嬉しそうに笠井翔子は話、去って行った。
「あ、ちょっと待って」
「なに?」
聞きにくいが聞くことにした。
「ちょっと申し訳ないんだけど…彼女の下の名前教えてもらってもいい」
と目配せをしてさっきまで隣で話していた女子の名前を聞いた。
「そんなの本人に聞いたらいいのに…」
「いや、知らないのは失礼かと思って…それに本人には聞きにくい」
「それもそっか…えっとね……なんだっけ」
「ふぇ?」
「ちょっと待ってね、思い出すから…えっと、えっと」
と頭に手を置いて考える笠井翔子。
そんなに思い出せないものか? クラスメイトだろ。
「もう、名字だけでもいいよ、教えてくれ」
「名字? てか、あんた彼女の名前知らなかったの? 笑えるんですけど~」
「笑えないから、教えてくれ」
「えっとね…」
「うん、なんだ」
「えっとね」
「うんうん」
「…忘れた」
「はい?」
「忘れたの…あれ、何で私思い出せないの?」
「いや知らんし」
その時、地面が大きく揺れるのを感じた。
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