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1.影と光
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ハイジは、幼いころから親のいない自分がフォールコン侯爵家の使用人部屋に住んでいることを、不思議に思ったことがない。
今でこそ召使いはみんな通いだが、昔は住み込みで働いていたと聞いている。だからハイジの親が以前に住み込みで働いていて、亡くなった後孤児になった彼女を憐れんだ侯爵家が、好意で住まわせてくれているのだと、漠然と思っていた。
王都の郊外に立っている侯爵家の古い屋敷には、一階の裏方に使用人部屋が五つほど並んでいるが、執事のウルリヒをはじめとする使用人たちの全員が自宅から通いで来ているので、ハイジが一部屋使っているだけだった。
家政を取り仕切るギーゼラには、”侯爵一家が生活している表の区画には、顔を出してはいけない”と厳しく言いつけられているので、ハイジは侯爵家の人たちにあったことがない。
物心ついたころから、メイドに相手をしてもらえない時は、自分の部屋で絵本を見るか、厨房の裏口から裏門までにある小さな裏庭で遊んでいた。
言いつけを守って、裏方部分からは出ないようにして、侯爵家の人たちが使う立派な正門や正面玄関にも、近づかないようにしている。
幼い時に一度だけ、庭の影から車で出かける侯爵らしい、威厳のある年配の男性を見かけた。
自分を養ってくれている人のことが気になって、ハイジは、いつも厨房にいる料理人のピエールに聞いてみる。
「侯爵様って、どんな方なの?」
「立派な方だよ」
ピエールは言葉少なく答え、ギーゼラやメイドに尋ねてみても、あまり詳しく教えてくれない。
王都で会社を経営していて、地方に領地を持っているらしいので、かなりのお金持ちなのだろう。だからハイジのことも世話してくれて、学校へも通わせてくれるのだ。
屋敷が郊外の端にあるせいで、ハイジの通う公立の小学校は片道一時間もかかる。帰りが少しでも遅くなるとギーゼラに叱られるので、ハイジは放課後にお友達と遊んだり、寄り道したりすることはしなかった。
教科書も衣類もメイドたちのおさがりで、仕事の合間にハイジの相手をしてくれていた彼女たちは、結婚や出産で順番に辞めていき、十歳になった時には侯爵家に勤める使用人は、ウルリヒとギーゼラ、そしてピエールの三人だけになっていた。
遊んでくれる人がいないと退屈で、やがてハイジは、学校の宿題が終わると、ピエールのお手伝いをするようになった。
ハイジが厨房で洗った食器を布巾で拭いていると、入り口の方から声がする。
「ねえ、ギーゼラはどこ? おばあ様が呼んでいらっしゃるのよ」
珍しく女の子の声がすると思ってハイジが顔を上げると、ジャガイモの皮をむいていたピエールが手を止めて、慌てたように彼女の前に立つ。
「お嬢様。いかがなさいましたか?」
太った彼の背中に遮られてしまったために姿は見えないが、”侯爵家のお嬢様”かと思えば興味が湧く。
ハイジは、彼女を見ようと、伸びあがるようにして体を傾けた。
艶やかな金髪は腰まで長く綺麗なリボンが結ばれていて、フリルとレースをふんだんに使われた華やかなドレスを着た少女が、赤ん坊くらいもある大きな人形を抱えている。
まるでお姫様のようだと思うと同時に、同じくらいの年頃のその少女が、ハイジとそっくりな顔立ちをしていることに驚いた。
少女の方もそう思ったのだろう。ハイジが見ていることに気がついて、目を丸くした。
だが、すぐにピエールが、少女の肩を抱いて後ろを向かせる。
「ギーゼラは、こちらにいらっしゃいません。さあさあ、お嬢様はお部屋にお戻りください」
少女は背中を押す料理人の手から、するりと抜け出してハイジの傍へ駆け寄ってくる。
「ここに、こんな子がいるだなんて知らなかったわ。ねえ、私のお部屋で一緒に遊びましょうよ」
にこにこと笑って誘う少女は、自分の憧れていた姿そのもので、ハイジは夢でも見ているのかと呆然とした。
「お、お嬢様! その子は、お屋敷の中に入ってはいけないことになっています」
ピエールが青ざめた顔で言うと、少女は「どうして?」と首を傾げた。
「大旦那様がお許しになっておりません」
「今日は、おじい様の帰りが遅いから大丈夫よ。行きましょう」
少女は、ハイジの手から布巾を取ってテーブルに置くと、その手を握った。
「お嬢様!」
ピエールが止めようとするが、少女はそれを振り切る。
「あなたはギーゼラを捜して、おばあ様の部屋に行くように伝えてちょうだい。わかったわね」
ピエールに向かって言うと、少女はハイジを連れて厨房を出た。
廊下を歩きながら彼女がハイジに質問してくる。
「あなたの名前は何て言うの? 私はアデレイドよ」
「ハ、ハイジ……」
「歳はいくつ?」
「十歳よ」
「私と同じ年ね」
アデレイドに連れられて、初めて屋敷の表の部分へ足を踏み入れたハイジは目を見開く。
吹き抜けのホールの中央には大きな階段があり、それを登って二階へいくとドアがいくつも並んでいる。廊下には豪華な絨毯が敷かれていて、部屋のドアは重厚で緻密な彫刻が施されていた。ドアとドアの間隔から、使用人部屋とは比べ物にならないくらい広い部屋なのだろうと想像もつく。蒸し暑い厨房やじめじめとした洗濯場と違い、どこも快適な空調が効いていた。
案内されたアデレイドの部屋には、立派なソファーセットが置いてあって、左右の壁にはドアが付いている。おそらく、続き部屋と呼ばれるものだろう。アデレイドは右側のドアを開ける。
「着せ替えごっこをしましょう」
部屋の壁一面が引き戸になっていて、それを開くと中には色とりどりのドレスがたくさんかかっていた。靴やバッグや、宝石のついたアクセサリーもずらりと並んでいて、どうやら衣裳部屋のようだ。ハイジは、煌びやかな品々を見て、まるで別世界に迷い込んだのかと思った。
「このドレスを着てみて。お気に入りだから、二着あるのよ」
呆然としている彼女に、アデレイドは自分が着ているドレスと同じものを取り出す。
「そんな、上等なものを?」
ハイジが着ているメイドのおさがりは、安価で色あせしているものばかりだ。新品同様のアデレイドのドレスなど恐れ多いと、ハイジは怖気付いた。
「いいから、着替えて」
アデレイドは構わずに押し付けてくる。柔らかく滑らかな布地は、材質を知らないハイジでもわかるほどの高級感があった。
だが、ドレスなど着たことがないから扱い方がわからない。
「どうしたの? ファスナーはここよ。ここから足を入れて、それからそでを通すのよ」
突っ立ったままでいるハイジに気がついて、アデレイドはてきぱきと彼女を着替えさせる。
「ほら、見てみて。私たちってすごく似ていると思わない?」
クローゼットの扉に嵌め込まれた大きな鏡に映る姿を見て、アデレイドが言う。
彼女は、梳かすだけのハイジの髪に、同じリボンを結んでくれた。
髪の長さが同じくらいなので、同じ髪型にしてもらうと、お揃いのドレスを着たハイジはアデレイドと瓜二つになる。
アデレイドがさっきまで持っていた大きな人形を、ハイジに持たせて手を叩く。
「すごいわ。まるで私が二人いるみたい! ねえ、これからもこうして一緒に遊びましょうよ」
鏡に映るハイジは、アデレイドと同じくお姫様のように見える。
「……うん」
憧れのドレスを着られて、胸がいっぱいになっているハイジが頷くと、アデレイドは喜んで彼女に抱きついた。
「ああ、嬉しいわ。ハイジはどこの学校に通っているの?」
「公立の学校よ」
「あら、残念。一緒だったら、よかったのに。いつも何時に帰ってくるの?」
尋ねられて、ハイジがいつもの帰宅時間を告げると、アデレイドは怪訝な顔をする。
「え? どうしてそんなに遅いの? 公立ならここから十分のところに学校があるじゃない」
「そうなの? でも、私が通っているのは片道一時間かかるところにある学校よ」
「なぜそんな遠くに通っているの? 小学校は近くにいっぱいあるわよ」
手続きをしてくれたのがギーゼラだから、ハイジにはわからない。アデレイドが言うには、教育の義務を掲げているこの国では、公立の小中学校は無償で学べ、学力も関係なく誰でも好きなところへ通えるらしい。たいていは家から近い学校へ通うし、王都の郊外だから端っこでもこの屋敷の周辺には、公立の小学校が徒歩三十分以内のところに三つもあるという。
今でこそ召使いはみんな通いだが、昔は住み込みで働いていたと聞いている。だからハイジの親が以前に住み込みで働いていて、亡くなった後孤児になった彼女を憐れんだ侯爵家が、好意で住まわせてくれているのだと、漠然と思っていた。
王都の郊外に立っている侯爵家の古い屋敷には、一階の裏方に使用人部屋が五つほど並んでいるが、執事のウルリヒをはじめとする使用人たちの全員が自宅から通いで来ているので、ハイジが一部屋使っているだけだった。
家政を取り仕切るギーゼラには、”侯爵一家が生活している表の区画には、顔を出してはいけない”と厳しく言いつけられているので、ハイジは侯爵家の人たちにあったことがない。
物心ついたころから、メイドに相手をしてもらえない時は、自分の部屋で絵本を見るか、厨房の裏口から裏門までにある小さな裏庭で遊んでいた。
言いつけを守って、裏方部分からは出ないようにして、侯爵家の人たちが使う立派な正門や正面玄関にも、近づかないようにしている。
幼い時に一度だけ、庭の影から車で出かける侯爵らしい、威厳のある年配の男性を見かけた。
自分を養ってくれている人のことが気になって、ハイジは、いつも厨房にいる料理人のピエールに聞いてみる。
「侯爵様って、どんな方なの?」
「立派な方だよ」
ピエールは言葉少なく答え、ギーゼラやメイドに尋ねてみても、あまり詳しく教えてくれない。
王都で会社を経営していて、地方に領地を持っているらしいので、かなりのお金持ちなのだろう。だからハイジのことも世話してくれて、学校へも通わせてくれるのだ。
屋敷が郊外の端にあるせいで、ハイジの通う公立の小学校は片道一時間もかかる。帰りが少しでも遅くなるとギーゼラに叱られるので、ハイジは放課後にお友達と遊んだり、寄り道したりすることはしなかった。
教科書も衣類もメイドたちのおさがりで、仕事の合間にハイジの相手をしてくれていた彼女たちは、結婚や出産で順番に辞めていき、十歳になった時には侯爵家に勤める使用人は、ウルリヒとギーゼラ、そしてピエールの三人だけになっていた。
遊んでくれる人がいないと退屈で、やがてハイジは、学校の宿題が終わると、ピエールのお手伝いをするようになった。
ハイジが厨房で洗った食器を布巾で拭いていると、入り口の方から声がする。
「ねえ、ギーゼラはどこ? おばあ様が呼んでいらっしゃるのよ」
珍しく女の子の声がすると思ってハイジが顔を上げると、ジャガイモの皮をむいていたピエールが手を止めて、慌てたように彼女の前に立つ。
「お嬢様。いかがなさいましたか?」
太った彼の背中に遮られてしまったために姿は見えないが、”侯爵家のお嬢様”かと思えば興味が湧く。
ハイジは、彼女を見ようと、伸びあがるようにして体を傾けた。
艶やかな金髪は腰まで長く綺麗なリボンが結ばれていて、フリルとレースをふんだんに使われた華やかなドレスを着た少女が、赤ん坊くらいもある大きな人形を抱えている。
まるでお姫様のようだと思うと同時に、同じくらいの年頃のその少女が、ハイジとそっくりな顔立ちをしていることに驚いた。
少女の方もそう思ったのだろう。ハイジが見ていることに気がついて、目を丸くした。
だが、すぐにピエールが、少女の肩を抱いて後ろを向かせる。
「ギーゼラは、こちらにいらっしゃいません。さあさあ、お嬢様はお部屋にお戻りください」
少女は背中を押す料理人の手から、するりと抜け出してハイジの傍へ駆け寄ってくる。
「ここに、こんな子がいるだなんて知らなかったわ。ねえ、私のお部屋で一緒に遊びましょうよ」
にこにこと笑って誘う少女は、自分の憧れていた姿そのもので、ハイジは夢でも見ているのかと呆然とした。
「お、お嬢様! その子は、お屋敷の中に入ってはいけないことになっています」
ピエールが青ざめた顔で言うと、少女は「どうして?」と首を傾げた。
「大旦那様がお許しになっておりません」
「今日は、おじい様の帰りが遅いから大丈夫よ。行きましょう」
少女は、ハイジの手から布巾を取ってテーブルに置くと、その手を握った。
「お嬢様!」
ピエールが止めようとするが、少女はそれを振り切る。
「あなたはギーゼラを捜して、おばあ様の部屋に行くように伝えてちょうだい。わかったわね」
ピエールに向かって言うと、少女はハイジを連れて厨房を出た。
廊下を歩きながら彼女がハイジに質問してくる。
「あなたの名前は何て言うの? 私はアデレイドよ」
「ハ、ハイジ……」
「歳はいくつ?」
「十歳よ」
「私と同じ年ね」
アデレイドに連れられて、初めて屋敷の表の部分へ足を踏み入れたハイジは目を見開く。
吹き抜けのホールの中央には大きな階段があり、それを登って二階へいくとドアがいくつも並んでいる。廊下には豪華な絨毯が敷かれていて、部屋のドアは重厚で緻密な彫刻が施されていた。ドアとドアの間隔から、使用人部屋とは比べ物にならないくらい広い部屋なのだろうと想像もつく。蒸し暑い厨房やじめじめとした洗濯場と違い、どこも快適な空調が効いていた。
案内されたアデレイドの部屋には、立派なソファーセットが置いてあって、左右の壁にはドアが付いている。おそらく、続き部屋と呼ばれるものだろう。アデレイドは右側のドアを開ける。
「着せ替えごっこをしましょう」
部屋の壁一面が引き戸になっていて、それを開くと中には色とりどりのドレスがたくさんかかっていた。靴やバッグや、宝石のついたアクセサリーもずらりと並んでいて、どうやら衣裳部屋のようだ。ハイジは、煌びやかな品々を見て、まるで別世界に迷い込んだのかと思った。
「このドレスを着てみて。お気に入りだから、二着あるのよ」
呆然としている彼女に、アデレイドは自分が着ているドレスと同じものを取り出す。
「そんな、上等なものを?」
ハイジが着ているメイドのおさがりは、安価で色あせしているものばかりだ。新品同様のアデレイドのドレスなど恐れ多いと、ハイジは怖気付いた。
「いいから、着替えて」
アデレイドは構わずに押し付けてくる。柔らかく滑らかな布地は、材質を知らないハイジでもわかるほどの高級感があった。
だが、ドレスなど着たことがないから扱い方がわからない。
「どうしたの? ファスナーはここよ。ここから足を入れて、それからそでを通すのよ」
突っ立ったままでいるハイジに気がついて、アデレイドはてきぱきと彼女を着替えさせる。
「ほら、見てみて。私たちってすごく似ていると思わない?」
クローゼットの扉に嵌め込まれた大きな鏡に映る姿を見て、アデレイドが言う。
彼女は、梳かすだけのハイジの髪に、同じリボンを結んでくれた。
髪の長さが同じくらいなので、同じ髪型にしてもらうと、お揃いのドレスを着たハイジはアデレイドと瓜二つになる。
アデレイドがさっきまで持っていた大きな人形を、ハイジに持たせて手を叩く。
「すごいわ。まるで私が二人いるみたい! ねえ、これからもこうして一緒に遊びましょうよ」
鏡に映るハイジは、アデレイドと同じくお姫様のように見える。
「……うん」
憧れのドレスを着られて、胸がいっぱいになっているハイジが頷くと、アデレイドは喜んで彼女に抱きついた。
「ああ、嬉しいわ。ハイジはどこの学校に通っているの?」
「公立の学校よ」
「あら、残念。一緒だったら、よかったのに。いつも何時に帰ってくるの?」
尋ねられて、ハイジがいつもの帰宅時間を告げると、アデレイドは怪訝な顔をする。
「え? どうしてそんなに遅いの? 公立ならここから十分のところに学校があるじゃない」
「そうなの? でも、私が通っているのは片道一時間かかるところにある学校よ」
「なぜそんな遠くに通っているの? 小学校は近くにいっぱいあるわよ」
手続きをしてくれたのがギーゼラだから、ハイジにはわからない。アデレイドが言うには、教育の義務を掲げているこの国では、公立の小中学校は無償で学べ、学力も関係なく誰でも好きなところへ通えるらしい。たいていは家から近い学校へ通うし、王都の郊外だから端っこでもこの屋敷の周辺には、公立の小学校が徒歩三十分以内のところに三つもあるという。
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