ヘラヘラしてんじゃねぇぞ

山猫

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怒りの鉄槌をアナタに

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少女、もとい少女青年は激怒した。頭の血管がブチ切れそうなほど、激怒していた。



「死にさらせテメェー!!!!!!」


「ギャーーー!!」



村へ時折やってくる魔物をバッタバッタと瞬殺…なぎ倒していた拳が、勇者の顔を抉る。風圧と共に民家を破壊しながら吹っ飛んでいった勇者の姿を確認すると、青年は振り切った拳をスッと収めて、歪めた表情をそのままにぺっと唾を吐いた。


唖然とする周囲と女たちの視線もなんのその、青年はとにもかくにも激怒していたのである。






少女青年は信じていた。自分をアレほどまでに愛していた少年の想いを。


毎日会うたびに贈られる花、繋がれる手、甘い言葉。不器用ながらも与えてくれる真っ直ぐな好意に惚れないヤツはいるか?いや居ない。


だから信じて待った。無事を祈って帰還を今か今かと待っていたら、結果はこれ(ハーレム)だと?













      よろしい、ならば戦争だ。















想い人に危害を加えられたと遅れて理解した格闘家っぽいチャイナ服の女が繰り出した怒りの蹴り技を軽くいなし、腹に重い拳を一発。


援護しようと動いていた魔法使いや僧侶の詠唱を、杖を奪い折り捨てることで中断させると、瞬間移動したのかすぐ横へと現れ、炎のブレスを吐いた人外っぽい魔物女の頬へ強烈な張り手をかますことでぶっ飛ばした。


「………。」


「ひぇ」


伸びた格闘家と魔物女を無言で見届けて、残ったやつらへと振り返る。互いに身を寄せあい、涙目で体を震わせながら何度も謝罪の言葉を繰りかえす魔法使いと僧侶を眺めて……深いため息をこれでもかと吐き出した。



『魔王を倒して、ちゃんと帰ってくるから。帰ってきたらその時は……』


「あーぁ……何してんだ、オレはよ」



なんでこうなってしまったのか。


本当なら素直に無事を祝って、迎え入れるつもりだったのに。


なのに、あの野郎。



「……えっ、ひ、ヒルダって男だったの…!?」


「あ?」


「だっ、騙された…僕はてっきり女の子だと…」


「……。」



信じられないといわんばかりに青年を下から上へと嘗めるように見た後、ガッと青年の胸を揉んだ。


胸を揉んだ(大事なことなので以下略)のだ。


突然のセクハラに固まる青年を置いてけぼりに、羨ましいだのなんだので騒ぎ出した女たちの押しつけパイアタックに慌てふためきながらもデレデレする元少年に、キレた。


人生初のマジギレであった。





「ハッ……あー、アホらし」


確かに青年の幼少期は女の子と間違われるほど小柄で目がクリッと大きく、髪が腰までと長かった。


だからといって間違えるか?風呂も一緒に入ってて、つくもんついてんの見てるはずなのに。節穴どころじゃないぞ、ソレは。知ってて告白したのだと思っていたが、とんだお門違いだったようだ。


つい最近刈り上げた頭を掻き、肺に溜まった息を再び一気に吐き出す。



「……信じて待ってたオレもアホだったってことかよ」



ここにいる事自体アホらしく感じた青年はもう一度、恐怖で震えている彼女らへ視線を向ける。


やり返した罪悪感などは全くない。きたからやった、それだけなのに。


なのになぜこんなに、悔しいのだろうか。



「………。」



沸々と込み上げてくる負の衝動をグッと飲み込んで、青年はその場を去った。


噛み締めた唇からは鉄の味がした。































































本当はさ、ちゃんと好きだったんだぜこれでも。


































ーーーーーーーーー✂︎


元少女 ヒルダ
ド田舎の漁村をまとめる村長の一人息子。幼少期はかなりの美少女(男の娘)だったため、メロメロ状態だった少年は気付かなかったとかなんとか。
漁やら魔物退治やらで鍛え上げられた結果、立派な益荒男に成長。正統派な男前。
ちゃんと少年のことは好きだった。


元少年 勇者 フラット
ヒルダの幼馴染。幼少期のヒルダに一目惚れしてからはずっと一途を貫いてきたが、勇者に選ばれ旅立ってからは寄ってくる女の子たちの押し(ラブアタック)に負け気味で、結果としてハーレム状態のまま魔王討伐。
お人好しと事勿れ性質が災いし、このままでもいいかな…とちょっと思ってた節あり。金髪碧眼の美青年。
初恋の人が男だったと知り、ショックを受けたが……?
「適度にいい揉み心地だったな…胸」



勇者の仲間(ハーレム)
格闘家、魔法使い、僧侶、魔王の娘で構成された多種多様のパーティ。ラノベ展開で助けられたり、協力したりと攻略されていったある意味お気の毒な人たち。彼女らの押しかけでパーティが結成されている。


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