籍を入れて親子になったはずだった。え、結婚って、どういうこと?

棚から現ナマ

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45 ルロイ

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改修は急ピッチで進んで行った。
大工の棟梁という親父に毎日屋敷に呼ばれて、あそこはどうする、ここはどうするのかと聞かれる。
親父達大工は突貫工事でやってくれているそうだ。俺が出来るだけ早くしてくれと言ったからだ。早く出来上がれば、それだけ早くトニーの元に行ける。ありがとう親父。ありがとう大工さん達。

執事のセイノーからは、家令を雇うように進言された。
元々この屋敷にはジオライド伯爵に仕える家令がいたそうだが、伯爵と一緒に悪いことをしていたらしく、処分されてしまっていた。
ジャークに相談すると、騎士団を通してルシオスという人を紹介してくれた。騎士団の会計部にいた有能な人らしい。
家令の仕事は屋敷の金銭的な管理をするのだそうだが、後々は俺の仕事の秘書をすると言われた。俺の仕事? 俺は騎士団との契約が切れたから無職なんだけど。

ルシオは、王家から支払われている屋敷の支度金の使い道を俺に聞いてくる。
内装用の家具や敷物の購入とか、これぐらい大きい屋敷になると、絵を飾ったり、花を生けたりしないと殺風景だとか。
まるで分からないから、セイノーに丸投げした。
セイノーは、屋敷が活気づくと喜んでいた。よろしく頼む。

全てが急ピッチで進んで行き、一月も経たないうちに屋敷の完成の目途がたった。
トニーを迎えに行くことが、やっと出来る!
さっそく村へ俺は行くことにした。

「俺達も付いて行くよ」
「え、どうして?」
ジャークの言葉に俺は頭を捻る。俺がトニーを迎えに行くのに、なぜジャークとフリックが一緒に来る必要があるのか。

「ルロイを一人で村に帰してみろ、トニーの元から帰ってこなくなるのは目に見えている。それにトニーには嫌がろうが無理やりにでも王都に来てもらわなくちゃいけないからな。何としてでも俺らは付いて行かないと」
俺の横でフリックが、何かを言っていたが、口の中で呟いているみたいで聞こえなかった。

「じゃあ聞くけど、ルロイは馬に乗れるようになったのか?」
「まだだけど……」
「まさかトニーを乗合馬車で王都まで連れてこようとしているのか? 何日かかると思っているんだ。宿の手配もしていないだろう」
「!!」
ジャークに言われてハッとする。

俺が王都に連れてこられた時は、自警団の馬車だった。それから仕事で移動する時も、全てが団の馬車での移動だった。宿になんか泊まらずに野宿だったし。
俺一人でトニーを迎えにいっていたら、乗合馬車を使わざるを得なかった。
王都行き直通の乗合馬車は無くて、何度か乗り換える必要があるらしいから、トニーに負担がかかる。

「どうしよう……」
俺はしおれる。
いったい何泊する必要があるんだろう。
野宿なんてトニーにさせるわけにはいかない。それに俺は今まで宿屋に泊まったことがないから、乗合馬車を降りた場所で、その日の宿を押さえる自信が無い。
ジャークは俺が急ぐあまり考え無しなのを分かっていたのだろう。

「大丈夫だ。団から馬車を借りてやるよ。俺とフリックが交代で御者をするし、ちゃんと宿に泊まれるように手配するから、心配いらないからな」
ジャークが凹んでいる俺の頭をポンポンと叩く。

「ナイス、ジャーク!」
フリックがジャークに親指を立てている。

「ありがとう、お願いするよ」
成人したというのに、俺にはまだまだ考えが足りない。こんなことじゃ駄目だ。トニーに愛想を尽かされないように、もっと頼って貰える大人になりたい。


やっと帰れる。
トニーにすれば、いきなり王都に住もうと言われれば戸惑うだろうし、住み慣れた村から引っ越しするのは嫌だって言うかもしれない。色々説明して、それでも嫌と言われたら、二人には悪いけど俺も村に残る。屋敷は貰ったけど、王家に戻せばいいよな。
トニーが居る所が、俺の住む場所だから。
もし、王都に来てくれるって言ってくれたら、引っ越し準備には何日もかかると思う。

「せっかく村まで連れて行ってもらうけど、トニーに説明しなきゃならないし、引っ越しの準備に何日もかかると思う。その間二人はどうする? 先に帰る?」
二人に先に帰られたら、トニーをどうやって王都に連れて行くか、また考えなければならない。

「大丈夫だ。隣村にはギルドがあるって言っていたから、そこには冒険者用の宿屋があるだろう。そこに泊まっているよ。何日かかってもいいから、ゆっくりトニーと話すと言い」
「そうだぞ、俺達のことを気にすることはない。それに団からはスタンピート以降の魔の森の様子がどうなったのか調査を依頼されているから、それに時間がかかると思う。ルロイが気にすることはないんだ」
ジャークは俺に笑いかけてくれるし、フリックは頭を撫でてくれる。
ありがたい。
二人共、本当に良くしてくれる。頭が上がらない。

すぐに出発しよう。
トニーに会える。そう思っただけで、俺の心は喜びに満たされるのだった。
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