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19.カロリナ、みんなに愛される魔性の女になっていた?
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はぁ、はぁ、はぁ、レフが森の中を走った。
「ジク、ニナ、付いて来ているな!」
「はい」
「あい」
グリセオ・ループス(灰色狼)が三人を取り囲むように追い駆けていた。
逃げ遅れれば、その瞬間に餌になる。
「もうすぐだ!」
森を抜けた。
平原が広がり、グリセオ・ループス(灰色狼)が速度を上げて包囲を完成しようとした。
「飛び込め!」
あらかじめ用意された穴に飛び込んだ。
『ファイラー・フレア』
レフ、ジク、ニナが穴に飛び込んだ瞬間、カロリナの広範囲の炎がグリセオ・ループス(灰色狼)を焼いた。
「止めを刺せ!」
うおぉぉぉ!
隠れていた穴から飛び出して、イェネーの掛け声で飛び出した。
皆、剣と槍を持って弱ったグリセオ・ループス(灰色狼)に襲い掛かる。
『斜刀』
『一刀両断』
『一点突き』
攻撃スキルを身に付けたイェネーや子供達が一発勝負のスキルを発動して退治しようとする。
だが、グリセオ・ループス(灰色狼)がスキルの発動を待ってくれる訳もなく、躱されて反撃を受けそうになる。
ヤバぁと思った瞬館に横から介入した従長がイェネーの危機を救った。
「お坊ちゃま。スキルを覚えて嬉しいのは判りますが、慣れないスキルで止め刺そうなど、お考えになりまするな!」
「すまない」
他の子供も似たようなものだ。
影の投げナイフで危機を回避する。
もちろん、そんな無茶をする子ばかりではない。
クリシュトーフとカールは言われた通りに二人で1頭を襲って止めを刺していた。
他の子もおおむね慎重に攻撃している。
でも、地味な方が経験値を稼いでいた。
「ねぇ、アンブラ。次からテンペストを使ってもいいかしら?」
「お嬢様は『ファイラー・テンペスト』を覚えられたのですか」
「まだだけど! 使えそうな気がするの」
「では、お止め下さい。使いこなせるまで使用は禁止です。森の中で火の魔法がとても危険です。どうか、それより『ファイラー・アロー』を鍛えて下さい」
「判ったわ。先生に聞いてからにするわ」
カロリナの狩り場が関所の北側に移っていた。
戦士を目指していたレフであったが、索敵の重要性を影に説かれ、シーフやレンジャーと言った探査員を目指すようになった。
ジクとニナは影のようになれば、カロリナとずっと一緒にいられると考えたのか、影に弟子入りをして、風、木葉、花に可愛がられている。
「は~い、続き行きま~すよ」
花の間抜けた声で三人が再び森に入るように指示する。
今日は花が登板のようだ。
見た目はやんわりしている花だが、休憩なしで何度も森に入らせるやるスパルタだった。
「索敵、威嚇、逃走はワンセットですからね!」
は~い、三人の声に力がなくなって来ている。
朝からずっと続ければ、疲れてくる。
大人でもかなり辛い作業だ。
「カロリナ様、三人に声を掛けてやって下さい」
「アンブラが言うならするけどさ!」
三人だけ狡いよ。
私も入りたいのに。
内心、駄々漏れのカロリナが恨めしそうな顔をしていた。
危険な森に身を守れない子供達をぞろぞろ連れてゆくなど自殺行為だ。
もし、誰かが大怪我をすれば、カロリナが悲しむ。
悲しんだカロリナを見た旦那様・兄上様がどんなにお怒りになるか?
想像しただけで影は背筋が凍った。
みんなのレベルが上がるまでおあずけだ。
「レフ、がんばってレベルを上げてね!」
「はい、がんばります」
「ジク、ニナ、怪我しちゃ駄目よ」
「はい」、「あ~い」
三人にやる気が戻った。
カロリナの声はカンフル剤だった。
別の魅了や傀儡のようなおかしなスキルはないハズなのだが、カロリナも一言で元気を取り戻す。
不思議な魅力が秘めていた。
ただ、問題も多い。
どうでもいい別の者にも奮起があがるのだ。
「カロリナ様、次こそ獲物を仕留めてみせます。カロリナの為にこの命も惜しまぬ覚悟です。どうか見ていて下さい」
「イェネー、無理しないで下さい」
「そのお言葉だけで感動です。大丈夫です。任せて下さい。我が兄も貴族学園一の戦士と言われております。俺も兄のようになってみせます」
「その言葉は何度目だ。いい加減に学べ! そうでないと次も僕らの経験値になるぞ。いやぁ、間違った。お前は使えないスキルでも磨いていろ!」
「クリシュトーフ、貴様らはちまちまと点数を稼ぎやがって! 一撃で倒そうという気概はないのか?」
「確実に力を貯める方が先だ」
「カロリナ様、力は足りませんが少しずつがんばっています。カロリナ様の炎の魔法のお蔭で楽に倒せて感謝しております」
「ありがとう、カール」
「おい、カール。抜け駆けはなしという条約だろう」
「ごめんさない」
「クリシュトーフ、カール、期待しておりますわ」
「お任せあれ」、「がんばります」
誰かを応援すると、この三人も妙に張り切るのだ。
あぁ~、この三人は面倒臭いわ!
「カロリナ様、お茶は入りました」
「ありがとう」
仮設のテーブルと椅子が出されて、それに腰かけた。
今日の紅茶は香りがいい。
「カロリナ様がお望みでしたポモージェの茶葉を用意しました」
「これがポモージェの茶葉ですか。いい香りだわ」
「そう言って頂けますと、苦労して手にいれた甲斐があります」
カロリナがお茶を始めると、どこからかアザは現れて席に付いた。
まるで座るのが当然というほどの堂々としたものだ。
遠慮というものが無くなってきた。
本人曰く、
無理矢理に冒険者登録されて、魔物の居る森に連れて来られれば遠慮もなくなる。
「ホント、いい香りね」
「アザは本当に何もしないのね!」
「私は裁縫師を目指しているのよ。何を期待しているの!」
「う~~~ん、特に無いわね」
「じゃあ、いいでしょう」
「そうね!」
いや、いや、いや、カロリナの後ろにいた影は全力で否定したかった。
森の中で身を守れない者がいるのは、とても危険だった。
だから、そのしわ寄せがエルに回る。
非常に危険な二人を守る為に強力な護衛が必要になる。
大人の護衛を嫌うのでエルががんばらなくてはいけない。
「カロリナ様を守るのは誰だ!」
「俺です」
「そうだ! お前しかいない。最後の砦だ」
「はい」
「魔物を怖がるな! カロリナ様が傷つくことを恐れよ」
「はい」
「では、いけ!」
「おおぅ!」
エルは森に入って木葉とワンツーマンでパワーレベリングの最中だ。
カロリナ様の為と必死に格上の魔物相手に戦っていた。
本当にがんばっていた。
でも、当のカロリナは!
「今日はこのお茶がおいしいわ」
完全に呆けていた。
「ジク、ニナ、付いて来ているな!」
「はい」
「あい」
グリセオ・ループス(灰色狼)が三人を取り囲むように追い駆けていた。
逃げ遅れれば、その瞬間に餌になる。
「もうすぐだ!」
森を抜けた。
平原が広がり、グリセオ・ループス(灰色狼)が速度を上げて包囲を完成しようとした。
「飛び込め!」
あらかじめ用意された穴に飛び込んだ。
『ファイラー・フレア』
レフ、ジク、ニナが穴に飛び込んだ瞬間、カロリナの広範囲の炎がグリセオ・ループス(灰色狼)を焼いた。
「止めを刺せ!」
うおぉぉぉ!
隠れていた穴から飛び出して、イェネーの掛け声で飛び出した。
皆、剣と槍を持って弱ったグリセオ・ループス(灰色狼)に襲い掛かる。
『斜刀』
『一刀両断』
『一点突き』
攻撃スキルを身に付けたイェネーや子供達が一発勝負のスキルを発動して退治しようとする。
だが、グリセオ・ループス(灰色狼)がスキルの発動を待ってくれる訳もなく、躱されて反撃を受けそうになる。
ヤバぁと思った瞬館に横から介入した従長がイェネーの危機を救った。
「お坊ちゃま。スキルを覚えて嬉しいのは判りますが、慣れないスキルで止め刺そうなど、お考えになりまするな!」
「すまない」
他の子供も似たようなものだ。
影の投げナイフで危機を回避する。
もちろん、そんな無茶をする子ばかりではない。
クリシュトーフとカールは言われた通りに二人で1頭を襲って止めを刺していた。
他の子もおおむね慎重に攻撃している。
でも、地味な方が経験値を稼いでいた。
「ねぇ、アンブラ。次からテンペストを使ってもいいかしら?」
「お嬢様は『ファイラー・テンペスト』を覚えられたのですか」
「まだだけど! 使えそうな気がするの」
「では、お止め下さい。使いこなせるまで使用は禁止です。森の中で火の魔法がとても危険です。どうか、それより『ファイラー・アロー』を鍛えて下さい」
「判ったわ。先生に聞いてからにするわ」
カロリナの狩り場が関所の北側に移っていた。
戦士を目指していたレフであったが、索敵の重要性を影に説かれ、シーフやレンジャーと言った探査員を目指すようになった。
ジクとニナは影のようになれば、カロリナとずっと一緒にいられると考えたのか、影に弟子入りをして、風、木葉、花に可愛がられている。
「は~い、続き行きま~すよ」
花の間抜けた声で三人が再び森に入るように指示する。
今日は花が登板のようだ。
見た目はやんわりしている花だが、休憩なしで何度も森に入らせるやるスパルタだった。
「索敵、威嚇、逃走はワンセットですからね!」
は~い、三人の声に力がなくなって来ている。
朝からずっと続ければ、疲れてくる。
大人でもかなり辛い作業だ。
「カロリナ様、三人に声を掛けてやって下さい」
「アンブラが言うならするけどさ!」
三人だけ狡いよ。
私も入りたいのに。
内心、駄々漏れのカロリナが恨めしそうな顔をしていた。
危険な森に身を守れない子供達をぞろぞろ連れてゆくなど自殺行為だ。
もし、誰かが大怪我をすれば、カロリナが悲しむ。
悲しんだカロリナを見た旦那様・兄上様がどんなにお怒りになるか?
想像しただけで影は背筋が凍った。
みんなのレベルが上がるまでおあずけだ。
「レフ、がんばってレベルを上げてね!」
「はい、がんばります」
「ジク、ニナ、怪我しちゃ駄目よ」
「はい」、「あ~い」
三人にやる気が戻った。
カロリナの声はカンフル剤だった。
別の魅了や傀儡のようなおかしなスキルはないハズなのだが、カロリナも一言で元気を取り戻す。
不思議な魅力が秘めていた。
ただ、問題も多い。
どうでもいい別の者にも奮起があがるのだ。
「カロリナ様、次こそ獲物を仕留めてみせます。カロリナの為にこの命も惜しまぬ覚悟です。どうか見ていて下さい」
「イェネー、無理しないで下さい」
「そのお言葉だけで感動です。大丈夫です。任せて下さい。我が兄も貴族学園一の戦士と言われております。俺も兄のようになってみせます」
「その言葉は何度目だ。いい加減に学べ! そうでないと次も僕らの経験値になるぞ。いやぁ、間違った。お前は使えないスキルでも磨いていろ!」
「クリシュトーフ、貴様らはちまちまと点数を稼ぎやがって! 一撃で倒そうという気概はないのか?」
「確実に力を貯める方が先だ」
「カロリナ様、力は足りませんが少しずつがんばっています。カロリナ様の炎の魔法のお蔭で楽に倒せて感謝しております」
「ありがとう、カール」
「おい、カール。抜け駆けはなしという条約だろう」
「ごめんさない」
「クリシュトーフ、カール、期待しておりますわ」
「お任せあれ」、「がんばります」
誰かを応援すると、この三人も妙に張り切るのだ。
あぁ~、この三人は面倒臭いわ!
「カロリナ様、お茶は入りました」
「ありがとう」
仮設のテーブルと椅子が出されて、それに腰かけた。
今日の紅茶は香りがいい。
「カロリナ様がお望みでしたポモージェの茶葉を用意しました」
「これがポモージェの茶葉ですか。いい香りだわ」
「そう言って頂けますと、苦労して手にいれた甲斐があります」
カロリナがお茶を始めると、どこからかアザは現れて席に付いた。
まるで座るのが当然というほどの堂々としたものだ。
遠慮というものが無くなってきた。
本人曰く、
無理矢理に冒険者登録されて、魔物の居る森に連れて来られれば遠慮もなくなる。
「ホント、いい香りね」
「アザは本当に何もしないのね!」
「私は裁縫師を目指しているのよ。何を期待しているの!」
「う~~~ん、特に無いわね」
「じゃあ、いいでしょう」
「そうね!」
いや、いや、いや、カロリナの後ろにいた影は全力で否定したかった。
森の中で身を守れない者がいるのは、とても危険だった。
だから、そのしわ寄せがエルに回る。
非常に危険な二人を守る為に強力な護衛が必要になる。
大人の護衛を嫌うのでエルががんばらなくてはいけない。
「カロリナ様を守るのは誰だ!」
「俺です」
「そうだ! お前しかいない。最後の砦だ」
「はい」
「魔物を怖がるな! カロリナ様が傷つくことを恐れよ」
「はい」
「では、いけ!」
「おおぅ!」
エルは森に入って木葉とワンツーマンでパワーレベリングの最中だ。
カロリナ様の為と必死に格上の魔物相手に戦っていた。
本当にがんばっていた。
でも、当のカロリナは!
「今日はこのお茶がおいしいわ」
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