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31. カロリナ、芋虫からサナギになる。
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カロリナも11歳になった。
芋虫のような可愛いかった幼女も蛹くらいに美しい少女へと成長した。
「おやじさん、揚げ串が素晴らしいわ!」
「そうでしょう。お嬢様。南で何やらそれらしいモノが流行っていると聞いて、真似てみたんだ」
「揚げ物を串で刺すなんて画期的よ」
今日も今日とて町の屋台を巡り、見た目が美しくなってきても中身は変わらないカロリナであった。
「お嬢様、これは町の視察ですよね?」
「当然よ。町の再開発を見回っているでしょう」
「私には屋台の視察をしているとしか見えません」
「買い食いくらいいいでしょう。晩餐会に舞踏会とおいしい物を目の前に出されてお預けを食らった私の悲しみを思いなさい」
「その分は食堂で食べたではありませんか?」
「王宮の分が抜けています」
「お嬢様ももうレディーに御成りになったのですから、嗜みを覚えて下さい」
「エル~ぅ! 最近、冷たいわよ。昔、もっと優しかったのに」
カロリナは10歳の晩餐会でクリフ王子と踊って舞踏会デビューを飾った。
10歳デビューが一般的だ。
ヴォワザン家のエリザベートが7歳でデビューしたことから、最近は幼い内からデビューする者も増えて来ていた。
しかし、名家ほど伝統を重んじる。
舞踏会デビューを終えると沢山のお茶会が待っていた。
未来の王妃候補、新規開拓事業と王都の町再生の発案者であるカロリナとの知己を得たい貴族様から沢山の招待状を出して来た。
「カロリナ様、よく御出で下さいました。『王国の宝』をお迎えできて、これ以上にない感動を覚えております」
「ご招待。ありがとう存じ上げます。お目に掛かれて嬉しい限りです。また、王都の町再生計画への支援もありがとうございます。心より御礼申し上げます」
カロリナがお茶会を受ける条件は王都の再開発に寄付して下さった貴族のみであった。
4年前から始まった新規開拓事業で掛かる事業費は王宮から半額の補助金が出された。その補助金の一部を王都の再開発に寄付に回して貰っていた。
町の開発で上下水道の完備と公衆浴場の設営は王国が行った。
しかし、それに伴う住民の移動が必要になり、カロリナの庇護下の冒険者の家も取り壊しになってしまった。
行き場の無くなった住民には新しい家が必要だ。
ラーコーツィ家の支援も無限ではない。
そこで新規開拓事業で王国が援助金を貰った領主から寄金を募った。
王族やラーコーツィ領の貴族が寄付に応じると、その他の領主も寄付をしない訳にいかない。
何と言ってもご生母様、肝煎の事業だ。
貴族も体面があって大変であった。
寄付を行った貴族からの招待状を無碍に断る訳も行かず、その貴族達が王都に寄った折りにお茶会が開かれ、カロリナはお礼を述べる為に参加した。
なんてことしてくれるのよ!
カロリナは心の中でラファウを恨んだ。
ラファウの馬鹿!
知恵を貸してくれたのはいいが、もうウンザリであった。
「どうかご生母様には、何卒よしなに!」
「承知致しました。御婆様には事業に協力して頂いた旨をお伝えさせて頂きます」
「ところで新村の完成式がございます。よろしければ、祝福を頂けると嬉しく思います」
「申し訳ございません。貴族デビューは控えるように言い付けられております。喜びのお手紙のみとさせて頂きます」
「それは残念だ」
あれから4年。
町の再開発も進み、各地の開拓村も完成してゆく。
教会の大規模農園を順調に稼働し始め、その作物からの醸造も順調であり、デウス・ポーティオー(神の酒)も出回り始めた。
デウス・ポーティオー(神の酒)は神聖な酒であり、傷口に吹きかけると傷が治ると言われた。
(デウス・ポーティオー:純度90%のアルコール蒸留酒)
「何ぃ!? おいしいわ!」
「そうでしょう。臭みを取る為にハーブ水の代わりに安物の酒に一晩漬けてみました。わずかですが、胡椒ととうがらしを使っております」
「これは新しい味だわ!」
「米で造っためずらしい酒です。教会から安く仕入れられます」
「すると、芋酒や麦酒を使って漬けてみましょう。別の味が楽しめるかもしれません」
「そうですね! 試してみましょう」
カロリナに嬉しそうに微笑んだ。
その天使の笑顔とは言われるほど美しい笑顔であった。
その魅了で誰がもうっとりとする。
皆、この笑顔を見る為にがんばっているような気分になるくらいだ。
思わず、屋台のおやじがガッツポーズを取った。
「カロリナ様、手押しポンプの視察はもういいのですか?」
「あっ、そうでした。変わった井戸が作られたのですわ」
エリザベート商会が新たに設置した井戸は随分変わった形の井戸だそうだ。
町の上流に位置する公衆浴場は水が噴水のように吹き出しているので、使い勝手がよく、毎日のように利用されていた。
しかし、下流に当たる下町(悪路)になると、井戸水を汲まないと風呂が沸かせない。
広い風呂だ。
水汲みは重労働であり、3日の1度の実働という欠点があった。
それを解決したらしい。
カロリナは屋台を回っている内にすっかり忘れていた。
「今から行きましょう」
カロリナは細かいことは気にしない。
「カロリナ様!」
遠くの方でカロリナを呼ぶ声が聞こえる。
「カロリナ様! 大変でございます。王宮にすぐ出頭するようにとのお達しであります」
えっ、どういうこと!?
何故か、カロリナは王宮から呼び出された。
芋虫のような可愛いかった幼女も蛹くらいに美しい少女へと成長した。
「おやじさん、揚げ串が素晴らしいわ!」
「そうでしょう。お嬢様。南で何やらそれらしいモノが流行っていると聞いて、真似てみたんだ」
「揚げ物を串で刺すなんて画期的よ」
今日も今日とて町の屋台を巡り、見た目が美しくなってきても中身は変わらないカロリナであった。
「お嬢様、これは町の視察ですよね?」
「当然よ。町の再開発を見回っているでしょう」
「私には屋台の視察をしているとしか見えません」
「買い食いくらいいいでしょう。晩餐会に舞踏会とおいしい物を目の前に出されてお預けを食らった私の悲しみを思いなさい」
「その分は食堂で食べたではありませんか?」
「王宮の分が抜けています」
「お嬢様ももうレディーに御成りになったのですから、嗜みを覚えて下さい」
「エル~ぅ! 最近、冷たいわよ。昔、もっと優しかったのに」
カロリナは10歳の晩餐会でクリフ王子と踊って舞踏会デビューを飾った。
10歳デビューが一般的だ。
ヴォワザン家のエリザベートが7歳でデビューしたことから、最近は幼い内からデビューする者も増えて来ていた。
しかし、名家ほど伝統を重んじる。
舞踏会デビューを終えると沢山のお茶会が待っていた。
未来の王妃候補、新規開拓事業と王都の町再生の発案者であるカロリナとの知己を得たい貴族様から沢山の招待状を出して来た。
「カロリナ様、よく御出で下さいました。『王国の宝』をお迎えできて、これ以上にない感動を覚えております」
「ご招待。ありがとう存じ上げます。お目に掛かれて嬉しい限りです。また、王都の町再生計画への支援もありがとうございます。心より御礼申し上げます」
カロリナがお茶会を受ける条件は王都の再開発に寄付して下さった貴族のみであった。
4年前から始まった新規開拓事業で掛かる事業費は王宮から半額の補助金が出された。その補助金の一部を王都の再開発に寄付に回して貰っていた。
町の開発で上下水道の完備と公衆浴場の設営は王国が行った。
しかし、それに伴う住民の移動が必要になり、カロリナの庇護下の冒険者の家も取り壊しになってしまった。
行き場の無くなった住民には新しい家が必要だ。
ラーコーツィ家の支援も無限ではない。
そこで新規開拓事業で王国が援助金を貰った領主から寄金を募った。
王族やラーコーツィ領の貴族が寄付に応じると、その他の領主も寄付をしない訳にいかない。
何と言ってもご生母様、肝煎の事業だ。
貴族も体面があって大変であった。
寄付を行った貴族からの招待状を無碍に断る訳も行かず、その貴族達が王都に寄った折りにお茶会が開かれ、カロリナはお礼を述べる為に参加した。
なんてことしてくれるのよ!
カロリナは心の中でラファウを恨んだ。
ラファウの馬鹿!
知恵を貸してくれたのはいいが、もうウンザリであった。
「どうかご生母様には、何卒よしなに!」
「承知致しました。御婆様には事業に協力して頂いた旨をお伝えさせて頂きます」
「ところで新村の完成式がございます。よろしければ、祝福を頂けると嬉しく思います」
「申し訳ございません。貴族デビューは控えるように言い付けられております。喜びのお手紙のみとさせて頂きます」
「それは残念だ」
あれから4年。
町の再開発も進み、各地の開拓村も完成してゆく。
教会の大規模農園を順調に稼働し始め、その作物からの醸造も順調であり、デウス・ポーティオー(神の酒)も出回り始めた。
デウス・ポーティオー(神の酒)は神聖な酒であり、傷口に吹きかけると傷が治ると言われた。
(デウス・ポーティオー:純度90%のアルコール蒸留酒)
「何ぃ!? おいしいわ!」
「そうでしょう。臭みを取る為にハーブ水の代わりに安物の酒に一晩漬けてみました。わずかですが、胡椒ととうがらしを使っております」
「これは新しい味だわ!」
「米で造っためずらしい酒です。教会から安く仕入れられます」
「すると、芋酒や麦酒を使って漬けてみましょう。別の味が楽しめるかもしれません」
「そうですね! 試してみましょう」
カロリナに嬉しそうに微笑んだ。
その天使の笑顔とは言われるほど美しい笑顔であった。
その魅了で誰がもうっとりとする。
皆、この笑顔を見る為にがんばっているような気分になるくらいだ。
思わず、屋台のおやじがガッツポーズを取った。
「カロリナ様、手押しポンプの視察はもういいのですか?」
「あっ、そうでした。変わった井戸が作られたのですわ」
エリザベート商会が新たに設置した井戸は随分変わった形の井戸だそうだ。
町の上流に位置する公衆浴場は水が噴水のように吹き出しているので、使い勝手がよく、毎日のように利用されていた。
しかし、下流に当たる下町(悪路)になると、井戸水を汲まないと風呂が沸かせない。
広い風呂だ。
水汲みは重労働であり、3日の1度の実働という欠点があった。
それを解決したらしい。
カロリナは屋台を回っている内にすっかり忘れていた。
「今から行きましょう」
カロリナは細かいことは気にしない。
「カロリナ様!」
遠くの方でカロリナを呼ぶ声が聞こえる。
「カロリナ様! 大変でございます。王宮にすぐ出頭するようにとのお達しであります」
えっ、どういうこと!?
何故か、カロリナは王宮から呼び出された。
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