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第三章 魯坊丸の日記は母上の楽しみ
13.熱田の人斬り包丁
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天文二十一年四月十九日。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、俺は千秋邸の俺専用の客部屋でゴロゴロしていた。
横で俺を見下ろしている楓が聞いてきた。
「若様。床をゴロゴロして楽しいですか」
「全然楽しくない」
「では、どうしてゴロゴロしているのですか」
「ゴロゴロとは、何もすることがなく、手持ち無沙汰でゆったりとしていることだ」
「はぁ~、ゆったりしているように見せませんが」
「俺は忙しい。休日すらない。黒だ。真っ黒な職場だ。せめて、床をゴロゴロして、下らないことをしないと気が済まない」
「意味が判りません」
「俺も分からん。下らんことを考えようと思っていても、つい先のことを考えてしまう。休日が欲しい。猛烈に欲しい。無理だ。どう考えても無理なんだ」
「千代女様がかなり仕事を減らしましたよ。そのお陰で里様と遊ぶ時間ができました」
「里だけならよいが、お市とお栄が付くと体力が尽きる。特に広場で遊ぶとなると、マジでキツい。朝の特訓より限界まで絞り出される。兄としての面目は守りたい」
「お市様は体力を付けましたからね」
「まったく敵わん。手加減されているのに弱音が吐けるか」
「若様も大変ですね。相手をしなければいいのに」
「里やお市やお栄が落ち込むだろう。三人が落ち込むのは見るに耐えない」
「若様は母上様と妹御に弱いですね」
「自覚している」
「対して養父の中根様や義理兄の忠貞殿には大量の仕事を割り振っていますね」
「もう二人がいないと駄目だ。しかし、あれだけ仕事を押し付け過ぎて恨まれていないのか」
「それは大丈夫です。中根家の幹部は非番があると、俺は若様に頼りにされていないのかと不安がりますから」
「仕事を押し付けられて喜ぶのは馬鹿だ。もう仕事中毒患者だ。まずい、実はまずい」
「いいじゃありませんか」
「暇そうな楓にも回そうか」
「やめて下さい。非番と言っても午前は特訓、昼から武器の手入れとか忙しいんですよ。昼寝する時間なんて少しです。非番を倍に増やして下さい」
「楓は仕事したくない派か」
「若様と一緒です」
「要領良くさぼって昼寝しているところをさくらが目撃しているぞ」
「勘違いです。要領よく仕事が片付けて空いた時間を作っただけです。大宮司様が来るまで、暇な若様と一緒です。心からのんびりと昼寝を楽しんでいるわけじゃありませんよ」
「そうなのか」
「そうなのです。最近、山口が謀反を起こしてから寝る間もないくらい働いていますよ」
「そうだったな」
俺は楓と下らない話をしている間に千秋季忠がやってきたと声が掛かった。
俺は上座に移動してあぐらをかいて座った。
季忠が部屋に入ってくると、下座に腰掛けて頭を下げた。
「お待たせして申し訳ございません」
「急に来て済まない。少し頼み事があった。至急、この刀の奉納式をやって欲しい」
「刀の奉納ですか」
「この冬に熱田で造った鉄で造られた“人斬り包丁”だ。剣豪にも見て貰った。中々の出来だそうだ」
「拝見して宜しいでしょうか」
俺は“うむ”と頷いて、二振りの刀を季忠の前に置かせた。
波紋がなく、境目がまっすぐに延びた刀である。
切れ味のみで、雅さを備えていない。
「金山衆の鍛冶師が叩いた。切れ味は名刀と変わらん。何年かすれば、名刀が生まれると思う」
「ならば、名刀が完成してからでも……とお考えにならないのですか。承知致しました」
「季忠様は話が早くて助かる」
「して、何に使われるのでしょうか」
「林-秀貞殿に名匠と称されるであろう刀鍛冶が打った二振りの名刀の一つを贈りたい。もう一つは熱田神宮に奉納していると手紙に書きたい」
「後の名匠が最初に造った二振りですか。それは貴重な品ですな。山城の名匠、信国に負けぬ名匠になるであろうと褒めておきましょう」
「その噂を行商が林家の領地に広げ、広がった頃合いを見て届けるつもりだ」
「それはちょうどよい。流石、魯坊丸様。天運が巡りますな」
「何が丁度よいのだ」
「明日、松林寺の住職が熱田明神の札を購入にやってきます。魯坊丸様が奉納した刀を褒めちぎっておきましょう」
「頼む」
俺がそう答えると、楓がお茶を置いた。そして、楓が耳元で「光明山松林寺は九之坪と沖村を結ぶ高田街道にある寺です。林家の菩提寺です」と呟いた。林家の菩提寺の住職ならば、林-秀貞とは昵懇である。
何と都合のよい日にやってくる。
明日にでも秀貞にもう一本の刀を贈れば、寺の戻った住職が勝手に喧伝してくれる。
「で、魯坊丸様は何と言って渡されたと申しておきましょうか」
「そうだな。これからの困難を乗り越える為に熱田の神々にひとふりを奉納し、もう一振りを織田弾正忠家の守り神に持って頂きたいとしようか」
「それはよろしゅうございます。秀貞殿は戦場で計略を得意とされますが、根は単純ですから『守り神』と称されれば、ぞっこんに惚れ込むことでしょう」
「それは助かる。信長兄ぃの尻を叩いて織田家の舵取りをすることになりそうだ。那古野に味方がいるのは頼もしい」
「そうなるでしょう」
そのあと、松巨島と鳴海の領民受け入れの話をした。
土岐川(庄内川)の護岸工事でできた新田の新村を提供する。
新田が稼働するまでは作業員として仕事を与える。
話が終わると、季忠はひとふりの刀を持って部屋を出て行った。
忙しいのは季忠も同じだった。
俺が帰り支度を始めると、さらりと楓が言った。
「若様。住職等が熱田神宮に札を買いにくるのは偶然じゃありません」
「そうなのか」
「昨日、大宮司様は那古野から解放されました。熱田神宮に戻ったと知った住職らは、山口の件を聞きたいので札の購入といってやってくるだけです」
「なるほど、情報収集か」
「沢山の住職らの前で大宮司様が喧伝してくれるでしょう」
少し過剰だが、まぁいいか。
城に戻ったら、刀を林-秀貞に贈っておこう。
俺の顔に免じて信長兄ぃと会ってくれと。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ、俺は千秋邸の俺専用の客部屋でゴロゴロしていた。
横で俺を見下ろしている楓が聞いてきた。
「若様。床をゴロゴロして楽しいですか」
「全然楽しくない」
「では、どうしてゴロゴロしているのですか」
「ゴロゴロとは、何もすることがなく、手持ち無沙汰でゆったりとしていることだ」
「はぁ~、ゆったりしているように見せませんが」
「俺は忙しい。休日すらない。黒だ。真っ黒な職場だ。せめて、床をゴロゴロして、下らないことをしないと気が済まない」
「意味が判りません」
「俺も分からん。下らんことを考えようと思っていても、つい先のことを考えてしまう。休日が欲しい。猛烈に欲しい。無理だ。どう考えても無理なんだ」
「千代女様がかなり仕事を減らしましたよ。そのお陰で里様と遊ぶ時間ができました」
「里だけならよいが、お市とお栄が付くと体力が尽きる。特に広場で遊ぶとなると、マジでキツい。朝の特訓より限界まで絞り出される。兄としての面目は守りたい」
「お市様は体力を付けましたからね」
「まったく敵わん。手加減されているのに弱音が吐けるか」
「若様も大変ですね。相手をしなければいいのに」
「里やお市やお栄が落ち込むだろう。三人が落ち込むのは見るに耐えない」
「若様は母上様と妹御に弱いですね」
「自覚している」
「対して養父の中根様や義理兄の忠貞殿には大量の仕事を割り振っていますね」
「もう二人がいないと駄目だ。しかし、あれだけ仕事を押し付け過ぎて恨まれていないのか」
「それは大丈夫です。中根家の幹部は非番があると、俺は若様に頼りにされていないのかと不安がりますから」
「仕事を押し付けられて喜ぶのは馬鹿だ。もう仕事中毒患者だ。まずい、実はまずい」
「いいじゃありませんか」
「暇そうな楓にも回そうか」
「やめて下さい。非番と言っても午前は特訓、昼から武器の手入れとか忙しいんですよ。昼寝する時間なんて少しです。非番を倍に増やして下さい」
「楓は仕事したくない派か」
「若様と一緒です」
「要領良くさぼって昼寝しているところをさくらが目撃しているぞ」
「勘違いです。要領よく仕事が片付けて空いた時間を作っただけです。大宮司様が来るまで、暇な若様と一緒です。心からのんびりと昼寝を楽しんでいるわけじゃありませんよ」
「そうなのか」
「そうなのです。最近、山口が謀反を起こしてから寝る間もないくらい働いていますよ」
「そうだったな」
俺は楓と下らない話をしている間に千秋季忠がやってきたと声が掛かった。
俺は上座に移動してあぐらをかいて座った。
季忠が部屋に入ってくると、下座に腰掛けて頭を下げた。
「お待たせして申し訳ございません」
「急に来て済まない。少し頼み事があった。至急、この刀の奉納式をやって欲しい」
「刀の奉納ですか」
「この冬に熱田で造った鉄で造られた“人斬り包丁”だ。剣豪にも見て貰った。中々の出来だそうだ」
「拝見して宜しいでしょうか」
俺は“うむ”と頷いて、二振りの刀を季忠の前に置かせた。
波紋がなく、境目がまっすぐに延びた刀である。
切れ味のみで、雅さを備えていない。
「金山衆の鍛冶師が叩いた。切れ味は名刀と変わらん。何年かすれば、名刀が生まれると思う」
「ならば、名刀が完成してからでも……とお考えにならないのですか。承知致しました」
「季忠様は話が早くて助かる」
「して、何に使われるのでしょうか」
「林-秀貞殿に名匠と称されるであろう刀鍛冶が打った二振りの名刀の一つを贈りたい。もう一つは熱田神宮に奉納していると手紙に書きたい」
「後の名匠が最初に造った二振りですか。それは貴重な品ですな。山城の名匠、信国に負けぬ名匠になるであろうと褒めておきましょう」
「その噂を行商が林家の領地に広げ、広がった頃合いを見て届けるつもりだ」
「それはちょうどよい。流石、魯坊丸様。天運が巡りますな」
「何が丁度よいのだ」
「明日、松林寺の住職が熱田明神の札を購入にやってきます。魯坊丸様が奉納した刀を褒めちぎっておきましょう」
「頼む」
俺がそう答えると、楓がお茶を置いた。そして、楓が耳元で「光明山松林寺は九之坪と沖村を結ぶ高田街道にある寺です。林家の菩提寺です」と呟いた。林家の菩提寺の住職ならば、林-秀貞とは昵懇である。
何と都合のよい日にやってくる。
明日にでも秀貞にもう一本の刀を贈れば、寺の戻った住職が勝手に喧伝してくれる。
「で、魯坊丸様は何と言って渡されたと申しておきましょうか」
「そうだな。これからの困難を乗り越える為に熱田の神々にひとふりを奉納し、もう一振りを織田弾正忠家の守り神に持って頂きたいとしようか」
「それはよろしゅうございます。秀貞殿は戦場で計略を得意とされますが、根は単純ですから『守り神』と称されれば、ぞっこんに惚れ込むことでしょう」
「それは助かる。信長兄ぃの尻を叩いて織田家の舵取りをすることになりそうだ。那古野に味方がいるのは頼もしい」
「そうなるでしょう」
そのあと、松巨島と鳴海の領民受け入れの話をした。
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話が終わると、季忠はひとふりの刀を持って部屋を出て行った。
忙しいのは季忠も同じだった。
俺が帰り支度を始めると、さらりと楓が言った。
「若様。住職等が熱田神宮に札を買いにくるのは偶然じゃありません」
「そうなのか」
「昨日、大宮司様は那古野から解放されました。熱田神宮に戻ったと知った住職らは、山口の件を聞きたいので札の購入といってやってくるだけです」
「なるほど、情報収集か」
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