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無題
しおりを挟む言の葉を編む。
息を吸い、吐く。
俺にはどちらも同じこと。
窓の内側から空を見上げる。
晴れた空の下にある山脈を眺める。
見える景色とは無関係な情景が巡る。
散りばめた砂粒のような文字たち。
気ままなそれを小さな画面に打ち込み、また外に思いを馳せる。
「仕方ねぇよなぁ」
ぽつりともらす。
外で子どもたちが笑う。
車が流れ、人が過ぎていく。
営みは冷ややかで、陽射しだけがやけに暖かい。
小さな機械を卓上に置いた。
通知は公開し始めた当初から、全て切ってある。
気が向いたら読む。
気になったら、読まれる。
それでいい。
それがよかった。
目を竦め、煙草を咥える。
深く吸い込み、肺を満たす。
そして静かに、吐いた。
いっそのこと、滲む言葉も、すべて失くなってしまえば良いのに。
あんなにも。
あんなにも、色鮮やかだったのに。
いつの間にこの世界は、色を失っていたのだろう。
「さて、どうしたもんかな……」
伸びたままの髪を掻く。
脳はまた、勝手に物語を紡ぐ。
時代の流れは残酷だ。
俺はただ、俺を置き去りにし、流れていく外を眺める。
そしてまた、沁み出す物語を刻むのだ。
誰に向けるわけでも、あるまいに。
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