本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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なぜ?うまく行かないんだ。

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僕は今、馬車に揺られている。
何故かって?王宮に向かってますょ!
ただ、僕が駄々を捏ねて、兄様が一緒なのが、唯一の救いだ。
兄様も金髪にブルーの瞳のイケメンだ。僕より男らしい顔付き、羨ましい。
前回は兄様と距離を取っていたから、少しでも未来が変わるようについて来て貰った。
だから、兄様と一緒にお父様のいる王宮へ向かっている途中。

でも、もしかしたら僕嫌われてるかも…。
僕からは何回か兄様に話しかけたりしたが、毎回、一言二言で終わる。

前回、家庭教師事件の前までは剣術を一緒にやったり、話しかけて貰えてた。
でも、僕が立川の意識になってからは、距離を僕が取り、芳子さんの提案で悪役に徹してからは、蔑むような眼差しで見られることとなった。

しかし、今回は…立川でもないし。確かに思い出すまでは、男性が怖かったけど…笑わなくなったけど…。

俺は窓の外を見つめる兄様をジッと観察した。
芳子さん曰く、兄様も攻略対象とか言う、学園で出会うゲームの主人公と仲良くなる人物らしい。
ゲームでは、悪役令息となった弟に怒りを覚え、断罪に協力するとなっていたらしいが、前回のゲームとの断罪の差のせいか、毒薬を盛ったプロント家として兄も罰を受けていたはず…
先に僕が死んでしまったからわからないけど、牢に入れられていた事は確かだ。

僕の視線に気付いたのか、兄がこっちを向いた。
「なんだ。」
小さな窓からの日差しに金髪がキラキラ輝いている。

「兄様、綺麗だな。って思いまして。」
僕の一言に眉を上げ、目を見開く。

「お前、変わったな。いや、前に戻ったか。」

兄様は僕を観察する様に視線を送ってきた。

「もう、怖くないのか?」

兄様は少し視線を下にずらして、聞きにくそうに言った。

兄様…心配してくれていたのか。

「まだ、少し怖いです。ですが、兄様がいるので大丈夫です。」

確かに僕を見る他者の視線は気持ち悪いものも、混ざっている。だが、兄様が一緒にいるだけで心強いのは確かだ。

「…俺は、お前に嫌われていたと思っていた。」

兄様の言葉に僕は驚いた。僕の方が嫌われていると思っていたからだ。

僕が驚いた顔をしたので、兄様は誤解したのか大きく息を吐いた。

「やはりか…確かに、あの時、雨に濡れたお前を家庭教師と2人にした俺が悪い。お前がどう言う風に見られているか分かっていたのに。兄である俺のせいだ。嫌われても仕方ない。」

兄の言葉に僕は慌てた。

「な!兄様のせいではありません!あれは僕の不注意です!!そ、それに、今驚いたのは、僕が兄様に嫌われていると思っていたからです!僕は兄様を嫌ってなどいません!」

僕は兄様の手を握り締めた。
兄様は最初驚いた顔をして、その後手を握られ赤くした。

「なっ!俺が何故嫌う?嫌うわけないだろ!」

その兄様の言葉に、僕は嬉しくて満面の
笑みを浮かべた。

「では、お互いの勘違いですね!ふふっ!僕のワガママで一緒についてきて頂きありがとうございます。兄様と一緒にいられて嬉しいです。頑張ってお父様のサポートしましょうね!」

「ああ。」
兄様も笑ってくれた。


そして王宮に着くと、お父様が迎えにきてくれた。お父様は忙しいので、泊まり込みや早朝に経つことが多いので、今回も先に出て行った為、心配してくれたみたい。

「無事着いたか。よかった。」
僕はお父様に抱かれ、お兄様と国王に挨拶に行くようだ。

うー!!以前はたまたま会っただけだが、今回は王命な為、挨拶しなきゃいけない。
これ、素直にお父様に着いて行き、隠れていた方が会わなかったのでは?なんか悪い方に向かうな。

お父様に抱かれて国王の元へ向かうのに、騎士の方も一緒に行くみたいで、僕はお父様の肩越しに、騎士の方をチラチラ見た。
僕と視線が合った騎士に僕はにっこりと微笑む。
騎士になろうかな?騎士を目指せば、多分未来の僕ほど華奢じゃなく、男らしくなるはず。それも未来を変えるのに繋がるのでは?

そんな事を考えながら、筋肉質で若い、騎士に微笑んでいた。

若い騎士は頬を赤らめ、僕をチラチラ見てくる。
あれ、見過ぎたかな?
そんな事を考えていると兄に足をひっぱられた。

「あんまり見るな。また痛い目に会いたいのか?気をつけなさい。」

あっ、そっか。僕の容姿は気をつけなきゃいけないんだ。
前回の意識が立川な分、僕の危機管理能力はまだダメだな。気をつけよう。

後ろを向いて進んでいたせいで、部屋に入った事に気づかなかった。
父と兄がしゃがんだ事で慌てて、僕は振り向く。

パチッと王座に座る国王と目が合ってしまい、慌てて、下を見た。

「バロン宰相、その子達がお前の子か。」

「はい、陛下。挨拶しなさい。」
「プロント筆頭公爵家長子、エスティリオ・プロントと申します。御尊顔を拝し、恐悦至極に存じ奉ります。」

兄様かっこいい!

僕も真似して、お父様の腕の中から降り、膝をつく。

「プロント筆頭公爵家次男、ネフェリア・プロントと申します。御尊顔を拝し、恐悦至極に存じ奉ります。」

言えたぜ。

「うむ。2人とも見目麗しいな。顔をよく見せなさい。」

兄様と僕は顔を上げた。

「エスティリオは凛々しい顔をしておる。バロンの昔のようだ。…ネフェリア…美しいな。コレは確かに危うい魅力だ。バロンの息子でなかったら、私も危ないな…。」

「陛下、万が一でもそのようなこと仰らないようお願い致します。心配し過ぎて陛下に何をするか…私も自分が怖いです。」
 
「ははは!お前は毒殺とかしそうだな。」

陛下笑えません。
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