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ネフェリア、学園編
ペリドットの瞳
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音楽の移動教室中、偶然なのかフィフィルと会う。
フィフィルはカウディリアンににこやかに話しかけるが、カウディリアンは無言。アリウスが対応すると、それでも嬉しそうだった。
やはり攻略対象とは仲良くなっていくのだろうか?
ふと、何か視線を感じ、ネフェリアは辺りを見回すと、窓から反対側の校舎が見えた。
そしてそこには、あのペリドットの瞳。
その瞬間、ネフェリアは思い出した。
前回、このような瞬間があった。
何か視線を感じ、振り向くと、窓越しの煌めくペリドットの瞳。
僕は前回もダーウィングに見られていた。
そう思ったと同時に背中をゾワゾワとした何かが走る。
落ち着かない、この嫌な感じ……。
彼の視線が絡みつく…。
立川の気持ちも確かそうだった。このなんとも言えない不安が襲い、ペリドットの瞳を覚えていたんだ。
ダーウィング・アピア…
僕がもう一度窓を見ると、彼はいなかった。
「ネフェリア?」
サリファンが心配そうに声をかけてくれた。
「…なんでもない。」
そう、ただ見ていただけだ。
なんでもない。
音楽室へ僕達は急いだ。
その日のランチはダーウィングも一緒な為、天気もいいので中庭で食べる事にした。
先程のこともあるので、なんとなく気まずい。
サリファンとアリウスが適当に食べ物を買ってきてくれて、ベンチに広げる。
ヴィヴァリアンに手招きされ、僕は隣に座った。
「ヴィヴァリアントネフェリアハ、ナカヨシ?」
ジッと見られて居心地悪くしていると、ヴィヴァリアンが肩を抱き、微笑んだ。
「ああ。仲良しだ。俺の大切な子だよ。」
「ネフェリアは俺達とも仲良しだよな!」
ナヴィルリアンは唇を突き出しながらダーウィングに伝える。
「ソウデスカ。ミナサンナカヨシナンデスネ。ワタシハ、マダソッキンイマセン。ウラヤマシイ。」
寂しそうに笑うダーウィングに僕の胸はツキンと傷んだ。
「側近候補もいないのですか?」
エスティリオが尋ねると、ダーウィングは頷く。
「ワタシハ第四皇子、兄タチニサキニツクヨテイ。ワタシハイチバンサイゴ。」
「確かに、俺もまだいないしな。ネフェリア、俺の側近になろうよ!」
急に話を振られてゴフッと飲み物が変なところに入った。
「ネフェリアハ、ヴィヴァリアンノソッキンデハナイ?」
キョトンとした表情で聞かれて、僕は何かヴィヴァリアンの表情から答えにくかったが、頷いた。
「僕は、騎士になりたくて。」
「キシ?スゴイネ。ホソイノニ。」
細いと言われてムッとすると、ダーウィングは慌てて謝った。
「ダーウィング、ネフェリアに身体の事は禁句だぞ?前はもっと小柄で華奢だったんだ。よくここまで頑張ったよ。」
ヴィヴァリアンの言葉が嬉しくて、ヘヘッと笑うと、カウディリアンが反対側の隣から、手を握ってきた。
「本当に…。1番側で見たからわかるよ。だから、そんな頑張り屋の君が私の側近としていてくれたら嬉しいけどね。」
ハハハハ……。
なんとなく僕を挟んでヴィヴァリアンとカウディリアンがバチバチしている気がする……。
ダーウィング…そんな悪い人じゃなかったな。
視線も気にしすぎてたのかも。
ダーウィングからしたら僕らが羨ましかっただけなんだろうな。
「ヴィヴァリアン皇子様…。」
うっ!!この声は…
「何でしょうか?ヤード公爵御令嬢、今ヴィヴァリアン皇子はお食事中です。しかも会話中に話しかけるのは失礼ですよ?」
エスティリオがイザベラの前に立ちはだかる。
「エスティリオ様…もし、よろしければ、公爵家としてアピア国からの留学生様にご挨拶したいのですが?」
イザベラは赤紫の瞳を潤ませて首を傾げる。
うわっ!性格知らなかったら、僕ほれちゃうかも!!
だが、エスティリオは冷たい眼差しでイザベラを見下ろす。
「公爵家としての挨拶なら次期当主のマリックが先では?日を改めて、マリックにお伝え下さい。」
ワナワナと震えながらイザベラは去って行った。
そんなイザベラをダーウィングはジッと見つめながら、口元を笑わせた。
******
僕は今、芳子さんに、必死にダーウィングの容姿を拙い表情で手紙に記入している。
「髪は黒です。肩まであります。えっと、カリウスより肌が黒いです。ペリドットの瞳です。なんか、ミステリアス。」
こんなもんか?
後、何があったか、細かく?だっけ。
「今日は音楽して、中庭で皆でランチしました。ヴィヴァリアンとカウディリアンの間に座りました。また、エリザベスが来ましたよ。兄様が追い払いました。」
よし!!これでいいかな?
ンーっ!と伸びをして、窓から夜空を見つめた。
ダーウィング・アピア……。
僕はどうして、あんなに気にしたのかな?
話してみたら普通だったし、立川の気持ちのせいかな?
ただ、あのペリドットの瞳は吸い込まれそうになる時がある。
やはり、苦手なのかもしれない。
1人で留学して不安だろうに、申し訳ない…。
ちゃんと接しよう。
今度目が合ったら手を振ってみようかな。
フィフィルはカウディリアンににこやかに話しかけるが、カウディリアンは無言。アリウスが対応すると、それでも嬉しそうだった。
やはり攻略対象とは仲良くなっていくのだろうか?
ふと、何か視線を感じ、ネフェリアは辺りを見回すと、窓から反対側の校舎が見えた。
そしてそこには、あのペリドットの瞳。
その瞬間、ネフェリアは思い出した。
前回、このような瞬間があった。
何か視線を感じ、振り向くと、窓越しの煌めくペリドットの瞳。
僕は前回もダーウィングに見られていた。
そう思ったと同時に背中をゾワゾワとした何かが走る。
落ち着かない、この嫌な感じ……。
彼の視線が絡みつく…。
立川の気持ちも確かそうだった。このなんとも言えない不安が襲い、ペリドットの瞳を覚えていたんだ。
ダーウィング・アピア…
僕がもう一度窓を見ると、彼はいなかった。
「ネフェリア?」
サリファンが心配そうに声をかけてくれた。
「…なんでもない。」
そう、ただ見ていただけだ。
なんでもない。
音楽室へ僕達は急いだ。
その日のランチはダーウィングも一緒な為、天気もいいので中庭で食べる事にした。
先程のこともあるので、なんとなく気まずい。
サリファンとアリウスが適当に食べ物を買ってきてくれて、ベンチに広げる。
ヴィヴァリアンに手招きされ、僕は隣に座った。
「ヴィヴァリアントネフェリアハ、ナカヨシ?」
ジッと見られて居心地悪くしていると、ヴィヴァリアンが肩を抱き、微笑んだ。
「ああ。仲良しだ。俺の大切な子だよ。」
「ネフェリアは俺達とも仲良しだよな!」
ナヴィルリアンは唇を突き出しながらダーウィングに伝える。
「ソウデスカ。ミナサンナカヨシナンデスネ。ワタシハ、マダソッキンイマセン。ウラヤマシイ。」
寂しそうに笑うダーウィングに僕の胸はツキンと傷んだ。
「側近候補もいないのですか?」
エスティリオが尋ねると、ダーウィングは頷く。
「ワタシハ第四皇子、兄タチニサキニツクヨテイ。ワタシハイチバンサイゴ。」
「確かに、俺もまだいないしな。ネフェリア、俺の側近になろうよ!」
急に話を振られてゴフッと飲み物が変なところに入った。
「ネフェリアハ、ヴィヴァリアンノソッキンデハナイ?」
キョトンとした表情で聞かれて、僕は何かヴィヴァリアンの表情から答えにくかったが、頷いた。
「僕は、騎士になりたくて。」
「キシ?スゴイネ。ホソイノニ。」
細いと言われてムッとすると、ダーウィングは慌てて謝った。
「ダーウィング、ネフェリアに身体の事は禁句だぞ?前はもっと小柄で華奢だったんだ。よくここまで頑張ったよ。」
ヴィヴァリアンの言葉が嬉しくて、ヘヘッと笑うと、カウディリアンが反対側の隣から、手を握ってきた。
「本当に…。1番側で見たからわかるよ。だから、そんな頑張り屋の君が私の側近としていてくれたら嬉しいけどね。」
ハハハハ……。
なんとなく僕を挟んでヴィヴァリアンとカウディリアンがバチバチしている気がする……。
ダーウィング…そんな悪い人じゃなかったな。
視線も気にしすぎてたのかも。
ダーウィングからしたら僕らが羨ましかっただけなんだろうな。
「ヴィヴァリアン皇子様…。」
うっ!!この声は…
「何でしょうか?ヤード公爵御令嬢、今ヴィヴァリアン皇子はお食事中です。しかも会話中に話しかけるのは失礼ですよ?」
エスティリオがイザベラの前に立ちはだかる。
「エスティリオ様…もし、よろしければ、公爵家としてアピア国からの留学生様にご挨拶したいのですが?」
イザベラは赤紫の瞳を潤ませて首を傾げる。
うわっ!性格知らなかったら、僕ほれちゃうかも!!
だが、エスティリオは冷たい眼差しでイザベラを見下ろす。
「公爵家としての挨拶なら次期当主のマリックが先では?日を改めて、マリックにお伝え下さい。」
ワナワナと震えながらイザベラは去って行った。
そんなイザベラをダーウィングはジッと見つめながら、口元を笑わせた。
******
僕は今、芳子さんに、必死にダーウィングの容姿を拙い表情で手紙に記入している。
「髪は黒です。肩まであります。えっと、カリウスより肌が黒いです。ペリドットの瞳です。なんか、ミステリアス。」
こんなもんか?
後、何があったか、細かく?だっけ。
「今日は音楽して、中庭で皆でランチしました。ヴィヴァリアンとカウディリアンの間に座りました。また、エリザベスが来ましたよ。兄様が追い払いました。」
よし!!これでいいかな?
ンーっ!と伸びをして、窓から夜空を見つめた。
ダーウィング・アピア……。
僕はどうして、あんなに気にしたのかな?
話してみたら普通だったし、立川の気持ちのせいかな?
ただ、あのペリドットの瞳は吸い込まれそうになる時がある。
やはり、苦手なのかもしれない。
1人で留学して不安だろうに、申し訳ない…。
ちゃんと接しよう。
今度目が合ったら手を振ってみようかな。
応援ありがとうございます!
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