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ネフェリア、学園編

焦り

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"シークレットキャラ"

この言葉をダーウィングに発するのは…フィフィルが転生者という可能性が高い……。

そうなると、彼はどんな手を使っても、このゲームをクリアしようとするだろう…現に、どんなに冷たくされても、彼は諦めない……。

ただ、ハッピーエンドになるならいい、だけど彼が悪役に僕をしたがったら？

先程の発言からもそれが感じられる。

……芳子さん、芳子さんに会いたいよ。

「ネフェリア…どうした？」

エスティリオは今にも泣きそうなネフェリアをギュッと抱きしめた。

兄様…兄様…
そうだ！どんな事があってもプロント家は守らないと…弱音を吐くな！！

抱きしめ返すように、ネフェリアはエスティリオの背中に腕を回した。

ヴィヴァリアン、キリウス達はそんなネフェリアを見つめ、実の兄に嫉妬しそうな感情を押さえ込むかのように、また、窓の外に視線を移した。

「シークレット？ナンデスカ？

キョトンとしながら、ダーウィングはフィフィルを見た。

フィフィルは固まったまま動かず、ダーウィングはカウディリアンと目を合わせ、肩を窄めた。

「オカシナコダナ。デハマタネ！カウディリアン皇子、アリウス。」

片手をヒラヒラさせながら、その場を去るダーウィングにホッと胸を撫で下ろし、フィフィルを冷たい視線で睨みつける。

「2度と近寄るな。」

フィフィルを残して、2人は生徒会室へと急いだ。

2人が戻ると、窓の側に固まるメンバー達から一斉に見られ、中庭での出来事が見られていた事を理解した。

「カウディリアン…あんなのを排除出来ないのか？」

ヴィヴァリアンの冷たい一瞥にカウディリアンは眉を寄せる。

「まあまあ、あの子しつこそうだし、意外と難しいと思うぜ？皇子の私的権限は学園で使うのは難しいだろう？」

キリウスはヴィヴァリアンの肩を叩く。

「…だがな…ネフェリアを侮辱させるのは頂けないな…。」

続けて話すキリウスの切り裂くような視線にカウディリアンは皇子というプライドで何とか後退りしたい自分を押さえた。

「キリウス様、僕は大丈夫です。少し驚いたけど…。」

ネフェリアはエスティリオに肩を抱かれ、少し落ち着きを戻した。

「ネフェリア……すまない…傷ついただろう。」

カウディリアンはネフェリアの手を取り、顔色が少し悪いネフェリアの頬を撫でた。

「いえ、僕の事、庇ってくれてありがとうございます。」

にっこりと笑うとカウディリアンはキュンと胸を締め付けられ、抱きしめた。

「ひゃあ！」

急な行動に驚き、声を上げると、ベリッとヴィヴァリアンに剥がされる。

「お前は……。」

ギロッと殺さんばかりの視線をカウディリアンに送り、ヴィヴァリアンの背にネフェリアを隠す。

「兄上…最近、冷静な兄上が感情を露わにイラついてますね。焦りですか？」

カウディリアンはチラッと兄上を伺うように視線を向けると、ヴィヴァリアンの顔が徐々に鋭く変化する。

ヴィヴァリアンはエスティリオに、ネフェリアを部屋に戻すよう指示した。

心配そうに2人に視線を送り、エスティリオと生徒会室を出た。

「大丈夫だ。まだネフェリアが耳に為るべきでは無い内容を話すから、部屋に戻れって事だよ。心配はいらない。」

エスティリオの優しい笑顔に頷き、部屋へと戻っていく。

生徒会室では、ピリついた空気の中、睨み合う2人の皇子。

「もうすぐ兄上は18歳…王太子として任命されるでしょう…。そしたらもう、婚約者がいない事が問題になる。政略か、他国からか、必ず婚約させられます。国王はネフェリアが頷がなければ、ネフェリアとの婚約はさせてくれないはずです。だから、兄上にとっては後１年しか無い。」

ギリギリと拳を握り締めるヴィヴァリアンにカウディリアンは、ふと笑みを浮かべる。

「兄上は僕が優し過ぎると、よく言いますが、僕もそこは認めて、気にしています。……ですが、ネフェリアの事は別です。…誰かに奪われるくらいなら、鬼にでも魔王にでもなりますよ。…キリウス、アリウス、サリファン。それは貴方達にもです。」

終始傍観していた3人にも視線を送る。

「……それを言うなら、俺もですよ。例え、皇子だとしても負ける気はありません。権力では難しいですが、ネフェリアの心次第というなら話は別。諦める気はありません。」

腕を組み、カウディリアンをニヤッと笑みを浮かべながらキリウスは宣言する。

アリウス、サリファンもグッと拳を握りしめた。

「カウディリアン…そのような言葉を発したところで、まだネフェリアは誰のモノでもない。私の焦りをお前が感じる事になるぞ？覚悟しときなさい。」

ヴィヴァリアンの冷気を含んだ威圧感に、カウディリアンの顔は歪む。

………絶対、負けたくない

必ず、我が手に。

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