本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

文字の大きさ
44 / 107
ネフェリア、学園編

図書室での思い出

しおりを挟む
僕は本の匂いが好きだ。

テストが近づくにあたり、放課後を利用して図書室に入り浸る。

あまり僕が1人になるのを良しとされないが、アリウスはクラスの日直、サリファンは家からの連絡が入ったとの事で、僕は1人の時間を楽しんだ。


そして、テスト前と言うことで生徒会もお休み、僕は内心ホッとしていた。

ここ最近、ヴィヴァリアンとの行為が頭を過ぎる。その度に意味の分からない鼓動を感じる。

ハアアと深く溜息を吐き、目当ての本を棚から取り出す。

図書室は数人勉強している程度で静かで心地よかった。

「プロント様」

鳥の囀りのような可愛らしい声に、僕は本から視線を移した。

柔らかそうなストレートのチョコレート色の髪のスレンダーな女の子が頬を染めて立っていた。

確かAクラスにいた…

「急にお声を掛けてしまい申し訳ございません。…私、シンディア・タイラーと申します。」


「タイラー伯爵の…」

知っていた事が嬉しいのか、可愛らしい口元に笑みが浮かんだ。

「僕になにか?」

髪と一緒のチョコレート色の瞳を見つめると、シンディアは真っ赤になり、指先をもじもじと動かしていた。

「あ、あの、ま、まだ婚約者がいらっしゃらないとお聞きしましたが……!!」

彼女の言葉が途中で途切れ、僕に向けていた瞳が、僕の上に視線を向けた。

婚約者?


僕は首を傾げるが、彼女と視線が合わない。

「タイラー嬢、ネフェリアに何か?」

僕の頭の上からのハスキーボイスに、驚き、一瞬身体が跳ねる。

すると、彼女は瞳を潤ませて、去って行ってしまった。

僕は彼女の背中を見送り、大きく息を吐き、後ろを振り向いた。

「キリウス様、話に割り込むのは如何なものかと…。」


ジロッと睨むが、効果は無いようだ。

「敵は排除すべきだからな。」

「敵って…可愛らしい女性の何処が貴方の敵ですか…。」


そんなガタイして何言っているんだか。

すると、キリウスは本棚にネフェリアを囲うように手をつく。

追い詰められ、間近に迫るスカイブルーの瞳に、俺の身体に緊張が走る。

「どんな奴でも関係ない。お前に近づく奴は全員俺の敵だ。」

「キリウス様…!」

低いが甘い声で俺の耳に囁く。

心臓に直撃しそうな声に、顔が熱くなる。


「ネフェリア…ヴィヴァリアンにどこまで許した?」

ヴィヴァリアンって!!これプライベートモードか!?

「どこまでってどういう意味ですか?」


するとキリウスはより距離を詰めて、鼻先すれすれに顔を近づけてきた。

「ヴィヴァリアンが夜部屋を出た事を護衛の俺が気付かないとでも?」

キリウスの凛々しく整った顔と、射抜かれるような瞳に、ネフェリアは動揺を隠せない。

「キスはされたか?」

先程の甘さが消え、ピリついた声が降りかかる。

僕は目を見開き顔を真っ赤に染めてしまった。

キリウスは眉を動かし、目を細くし、俺を見つめた。


「ネフェリア…。」

真っ赤になりながらも、呼ばれ、キリウスの瞳を見つめた。

その瞬間、キリウスの唇に僕の唇は奪われた。

貪るように、唇を含まれ、何度も啄まれた。

キリウスの舌先が何度も唇を優しく舐め、歯をノックする。

僕は必死に、唇を閉じるが、苦しさに負け、息をしようと口を開いた瞬間、熱い舌が口内に差し込まれた。

「ンン!!」

長い舌に口内を侵され、僕はキリウスの腕を掴み、その感触に耐えた。

舌は僕の舌を絡め取ったり、上顎を撫でる。
くすぐったさと愛撫の気持ち良さにキリウスの腕を掴む手により力が入る。

味わうようなキスに翻弄され、膝から崩れそうになり、キリウスに支えられた。

そんな僕をキリウスは優しく微笑み、抱き寄せた。

「これでキスの上書きだ。ヴィヴァリアンより俺を思い出すだろう?」

尋ねられても答えられない…

ムッと唇を尖らすと、また、チュッと
キスをされる。


「そこはすぐ頷いとけよ。男心がわからねえ奴だな。…でも、唇が可愛いから許す。」

チュッ

また、されて、僕は顔が熱すぎて横を向く。

「今度は可愛い耳にして欲しいのか?」

「アッ!!」

ハッと思った時には耳たぶを甘噛みされて、声が漏れる。

「愛してる。俺にしとけ。甘くとろける毎日にしてやる。」

耳をなぶりながら甘く囁く声に、ゾクゾクと身体が身悶える。

完全に力が入らなくなった俺をキリウスは抱き抱え、椅子に座らせた。

「どうしますか?お姫様?勉強しますか?」

ニヤニヤと揶揄うキリウスを睨みつけるがやはり効果がない。

「…お姫様じゃない。…これじゃ勉強にならない。寮に帰る。」

敬語なんか使ってやるか!

そんな僕を愛おしいそうな瞳で見ると、腰を下りお辞儀をした。

「かしこまりました。寮までお送り致します。」

手を添え、立たせられると、腰を抱き、優雅にエスコートされた。


ずるい、かっこいいじゃないか…


2歳も違うとこんなかっこよく、大人っぽくなるのかなぁ。


寮までのキリウスのエスコート姿はまだ残っていた生徒の瞳を釘付けにした。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

処理中です...