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ネフェリア、学園編
図書室での思い出
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僕は本の匂いが好きだ。
テストが近づくにあたり、放課後を利用して図書室に入り浸る。
あまり僕が1人になるのを良しとされないが、アリウスはクラスの日直、サリファンは家からの連絡が入ったとの事で、僕は1人の時間を楽しんだ。
そして、テスト前と言うことで生徒会もお休み、僕は内心ホッとしていた。
ここ最近、ヴィヴァリアンとの行為が頭を過ぎる。その度に意味の分からない鼓動を感じる。
ハアアと深く溜息を吐き、目当ての本を棚から取り出す。
図書室は数人勉強している程度で静かで心地よかった。
「プロント様」
鳥の囀りのような可愛らしい声に、僕は本から視線を移した。
柔らかそうなストレートのチョコレート色の髪のスレンダーな女の子が頬を染めて立っていた。
確かAクラスにいた…
「急にお声を掛けてしまい申し訳ございません。…私、シンディア・タイラーと申します。」
「タイラー伯爵の…」
知っていた事が嬉しいのか、可愛らしい口元に笑みが浮かんだ。
「僕になにか?」
髪と一緒のチョコレート色の瞳を見つめると、シンディアは真っ赤になり、指先をもじもじと動かしていた。
「あ、あの、ま、まだ婚約者がいらっしゃらないとお聞きしましたが……!!」
彼女の言葉が途中で途切れ、僕に向けていた瞳が、僕の上に視線を向けた。
婚約者?
僕は首を傾げるが、彼女と視線が合わない。
「タイラー嬢、ネフェリアに何か?」
僕の頭の上からのハスキーボイスに、驚き、一瞬身体が跳ねる。
すると、彼女は瞳を潤ませて、去って行ってしまった。
僕は彼女の背中を見送り、大きく息を吐き、後ろを振り向いた。
「キリウス様、話に割り込むのは如何なものかと…。」
ジロッと睨むが、効果は無いようだ。
「敵は排除すべきだからな。」
「敵って…可愛らしい女性の何処が貴方の敵ですか…。」
そんなガタイして何言っているんだか。
すると、キリウスは本棚にネフェリアを囲うように手をつく。
追い詰められ、間近に迫るスカイブルーの瞳に、俺の身体に緊張が走る。
「どんな奴でも関係ない。お前に近づく奴は全員俺の敵だ。」
「キリウス様…!」
低いが甘い声で俺の耳に囁く。
心臓に直撃しそうな声に、顔が熱くなる。
「ネフェリア…ヴィヴァリアンにどこまで許した?」
ヴィヴァリアンって!!これプライベートモードか!?
「どこまでってどういう意味ですか?」
するとキリウスはより距離を詰めて、鼻先すれすれに顔を近づけてきた。
「ヴィヴァリアンが夜部屋を出た事を護衛の俺が気付かないとでも?」
キリウスの凛々しく整った顔と、射抜かれるような瞳に、ネフェリアは動揺を隠せない。
「キスはされたか?」
先程の甘さが消え、ピリついた声が降りかかる。
僕は目を見開き顔を真っ赤に染めてしまった。
キリウスは眉を動かし、目を細くし、俺を見つめた。
「ネフェリア…。」
真っ赤になりながらも、呼ばれ、キリウスの瞳を見つめた。
その瞬間、キリウスの唇に僕の唇は奪われた。
貪るように、唇を含まれ、何度も啄まれた。
キリウスの舌先が何度も唇を優しく舐め、歯をノックする。
僕は必死に、唇を閉じるが、苦しさに負け、息をしようと口を開いた瞬間、熱い舌が口内に差し込まれた。
「ンン!!」
長い舌に口内を侵され、僕はキリウスの腕を掴み、その感触に耐えた。
舌は僕の舌を絡め取ったり、上顎を撫でる。
くすぐったさと愛撫の気持ち良さにキリウスの腕を掴む手により力が入る。
味わうようなキスに翻弄され、膝から崩れそうになり、キリウスに支えられた。
そんな僕をキリウスは優しく微笑み、抱き寄せた。
「これでキスの上書きだ。ヴィヴァリアンより俺を思い出すだろう?」
尋ねられても答えられない…
ムッと唇を尖らすと、また、チュッと
キスをされる。
「そこはすぐ頷いとけよ。男心がわからねえ奴だな。…でも、唇が可愛いから許す。」
チュッ
また、されて、僕は顔が熱すぎて横を向く。
「今度は可愛い耳にして欲しいのか?」
「アッ!!」
ハッと思った時には耳たぶを甘噛みされて、声が漏れる。
「愛してる。俺にしとけ。甘くとろける毎日にしてやる。」
耳をなぶりながら甘く囁く声に、ゾクゾクと身体が身悶える。
完全に力が入らなくなった俺をキリウスは抱き抱え、椅子に座らせた。
「どうしますか?お姫様?勉強しますか?」
ニヤニヤと揶揄うキリウスを睨みつけるがやはり効果がない。
「…お姫様じゃない。…これじゃ勉強にならない。寮に帰る。」
敬語なんか使ってやるか!
そんな僕を愛おしいそうな瞳で見ると、腰を下りお辞儀をした。
「かしこまりました。寮までお送り致します。」
手を添え、立たせられると、腰を抱き、優雅にエスコートされた。
ずるい、かっこいいじゃないか…
2歳も違うとこんなかっこよく、大人っぽくなるのかなぁ。
寮までのキリウスのエスコート姿はまだ残っていた生徒の瞳を釘付けにした。
テストが近づくにあたり、放課後を利用して図書室に入り浸る。
あまり僕が1人になるのを良しとされないが、アリウスはクラスの日直、サリファンは家からの連絡が入ったとの事で、僕は1人の時間を楽しんだ。
そして、テスト前と言うことで生徒会もお休み、僕は内心ホッとしていた。
ここ最近、ヴィヴァリアンとの行為が頭を過ぎる。その度に意味の分からない鼓動を感じる。
ハアアと深く溜息を吐き、目当ての本を棚から取り出す。
図書室は数人勉強している程度で静かで心地よかった。
「プロント様」
鳥の囀りのような可愛らしい声に、僕は本から視線を移した。
柔らかそうなストレートのチョコレート色の髪のスレンダーな女の子が頬を染めて立っていた。
確かAクラスにいた…
「急にお声を掛けてしまい申し訳ございません。…私、シンディア・タイラーと申します。」
「タイラー伯爵の…」
知っていた事が嬉しいのか、可愛らしい口元に笑みが浮かんだ。
「僕になにか?」
髪と一緒のチョコレート色の瞳を見つめると、シンディアは真っ赤になり、指先をもじもじと動かしていた。
「あ、あの、ま、まだ婚約者がいらっしゃらないとお聞きしましたが……!!」
彼女の言葉が途中で途切れ、僕に向けていた瞳が、僕の上に視線を向けた。
婚約者?
僕は首を傾げるが、彼女と視線が合わない。
「タイラー嬢、ネフェリアに何か?」
僕の頭の上からのハスキーボイスに、驚き、一瞬身体が跳ねる。
すると、彼女は瞳を潤ませて、去って行ってしまった。
僕は彼女の背中を見送り、大きく息を吐き、後ろを振り向いた。
「キリウス様、話に割り込むのは如何なものかと…。」
ジロッと睨むが、効果は無いようだ。
「敵は排除すべきだからな。」
「敵って…可愛らしい女性の何処が貴方の敵ですか…。」
そんなガタイして何言っているんだか。
すると、キリウスは本棚にネフェリアを囲うように手をつく。
追い詰められ、間近に迫るスカイブルーの瞳に、俺の身体に緊張が走る。
「どんな奴でも関係ない。お前に近づく奴は全員俺の敵だ。」
「キリウス様…!」
低いが甘い声で俺の耳に囁く。
心臓に直撃しそうな声に、顔が熱くなる。
「ネフェリア…ヴィヴァリアンにどこまで許した?」
ヴィヴァリアンって!!これプライベートモードか!?
「どこまでってどういう意味ですか?」
するとキリウスはより距離を詰めて、鼻先すれすれに顔を近づけてきた。
「ヴィヴァリアンが夜部屋を出た事を護衛の俺が気付かないとでも?」
キリウスの凛々しく整った顔と、射抜かれるような瞳に、ネフェリアは動揺を隠せない。
「キスはされたか?」
先程の甘さが消え、ピリついた声が降りかかる。
僕は目を見開き顔を真っ赤に染めてしまった。
キリウスは眉を動かし、目を細くし、俺を見つめた。
「ネフェリア…。」
真っ赤になりながらも、呼ばれ、キリウスの瞳を見つめた。
その瞬間、キリウスの唇に僕の唇は奪われた。
貪るように、唇を含まれ、何度も啄まれた。
キリウスの舌先が何度も唇を優しく舐め、歯をノックする。
僕は必死に、唇を閉じるが、苦しさに負け、息をしようと口を開いた瞬間、熱い舌が口内に差し込まれた。
「ンン!!」
長い舌に口内を侵され、僕はキリウスの腕を掴み、その感触に耐えた。
舌は僕の舌を絡め取ったり、上顎を撫でる。
くすぐったさと愛撫の気持ち良さにキリウスの腕を掴む手により力が入る。
味わうようなキスに翻弄され、膝から崩れそうになり、キリウスに支えられた。
そんな僕をキリウスは優しく微笑み、抱き寄せた。
「これでキスの上書きだ。ヴィヴァリアンより俺を思い出すだろう?」
尋ねられても答えられない…
ムッと唇を尖らすと、また、チュッと
キスをされる。
「そこはすぐ頷いとけよ。男心がわからねえ奴だな。…でも、唇が可愛いから許す。」
チュッ
また、されて、僕は顔が熱すぎて横を向く。
「今度は可愛い耳にして欲しいのか?」
「アッ!!」
ハッと思った時には耳たぶを甘噛みされて、声が漏れる。
「愛してる。俺にしとけ。甘くとろける毎日にしてやる。」
耳をなぶりながら甘く囁く声に、ゾクゾクと身体が身悶える。
完全に力が入らなくなった俺をキリウスは抱き抱え、椅子に座らせた。
「どうしますか?お姫様?勉強しますか?」
ニヤニヤと揶揄うキリウスを睨みつけるがやはり効果がない。
「…お姫様じゃない。…これじゃ勉強にならない。寮に帰る。」
敬語なんか使ってやるか!
そんな僕を愛おしいそうな瞳で見ると、腰を下りお辞儀をした。
「かしこまりました。寮までお送り致します。」
手を添え、立たせられると、腰を抱き、優雅にエスコートされた。
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