本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

文字の大きさ
52 / 107
ネフェリア、学園編

悪役令息?

しおりを挟む
「あっ!僕次の授業受けないと…失礼します!」

「あっ待てよ!俺も行く!」

バタバタと書類を片して生徒会室を後にする。ネフェリアとアリウス。


笑顔で2人を見送った一同は一旦手元の作業をやめ、ソファへと集まった。

サリファンはネフェリアに代わり、紅茶を準備する。

「例の件はどうだ?」

「かなり回っているようだな。今日、多分ネフェリアも気づいた。」

ヴィヴァリアンの問いに、キリウスは紅茶を一口含み、大きく息を吐きながら答えた。


「キリウス…犯人の調べはついたのか?」

エスティリオは苛立ち、怒りを露わに拳を握りしめる。

「ああ、最初はイザベラ・ヤードと思ったが、流しているのはフィフィル・カトローザだ。」

キリウスはヴィヴァリアンから指示を受け、ネフェリア入学から、近辺の警護を影で行っていた。

婚約騒動のイザベラの件や、ネフェリアに対して良からぬ事を考える輩もいる為、隠密に対処する必要があった。

アリウスらもネフェリアを守る事は出来るが、ネフェリアに気付かれず対処するスキル、学園での権力がまだ足りない為、キリウスが動いているのだ。まあ本人の望みでもあるが。


そこで一つの情報が上がった。

一部生徒から広がった噂。

『ネフェリア・プロントは男を誑かし、影で権力を思い通りに私利私欲に使う魔性の男、悪魔令息だ。』

と、いう内容だ。


なんでも身体を使い、裏で男達を操り、一部生徒を貶め、虐めていると…

そして、生徒会メンバーは彼に騙されている、ネフェリアはインキュバスの生まれ変わりで、生徒会メンバーに魅了をかけているなど…くだらない、幼稚なものだが、ネフェリアの容姿から、それを信じる者もいる様だ。


「私達が騙されていると思うとは…私達もまだまだだな。」

ヴィヴァリアンは顔を顰めてテーブルを指で叩く。

ヴィヴァリアンのイライラしている時の癖だ。

「まあ、確かにネフェリアが身体を許してくれたら…俺、なんでもしちゃうかも…。」

ニヤッと想像したのか、少しいやらしく笑うキリウスをエスティリオは睨みつける。


「ネフェリアに魅了されているのは間違いでは無いがな。…しかし、インキュバスとは…容姿が良すぎるのも問題か?…純真無垢のネフェリアをよく、そんな淫魔に例えられるな。…正直、噂のようにネフェリアが、少しでも性に目覚めてくれればこちらも楽だと言うのに、なかなか難しい…。」

「ヴィヴァリアン様…後半、ご自身の願望ですよ。ネフェリアは天使なのです。変な事を言うのはやめて頂きたい。」

エスティリオはヴィヴァリアン、キリウスを絶対零度の眼差しで射抜く。


「…しかし、ネフェリアが気付く程噂が回り始めたのなら、危険では?カトローザを退学にさせますか?」

カウディリアンの言葉にヴィヴァリアンは首を振る。

「この噂の中、カトローザを退学にしたら、ネフェリアに対しての噂がより真実に近くなる。何かしら、噂を覆す証拠が必要だが、噂だけだと、証拠は難しい。とにかく、ネフェリアの周辺警護と証拠を集めていく。…アリウスにも指示を出したが、暫くはネフェリアを1人にさせるな。今まで以上にな。キリウス、任せたぞ。」

「畏まりました。」

「それと…カトローザはお前に惚れていると思ったが、サリファンにも接触をしてきたらしいな。」

「はい…勉学に対しての質問でしたが…彼は、僕の腕に身体を密着させ、誘うような行動でした。…思い出しても気持ち悪い…」


サリファンは思い出すだけで、不快そうに顔を歪め、触られたであろう腕を摩る。

「ふむ…カトローザは私達の爵位が目的か?…目的が分かるまで、証拠が重要だ。あまり刺激するな。」

「畏まりました。」

サリファンとカウディリアンは頷く。


「さて、私のネフェリアに攻撃するとは…覚悟は出来ているのかな…」

ギラリと光る黄金の瞳にゾッ身体を震わせた。


カトローザ…この国の1番敵にまわしちゃいけない奴を怒らすとは、終わったな…。


キリウスは残りの紅茶を飲み干した。



****


授業を終え、席を立つと、マリックが近付いてきた。


「…ネフェリア、大丈夫か?」

マリックの急な問いに、ネフェリアは首を傾げる。

「えっ?何が?」

マリックは口を開こうとしたが、ネフェリアの背後でアリウスが首を振るのを確認し、全てを理解した。


「…いや、数式…この授業苦手だろ?生徒会の仕事もあるし…。」

「うん、復習しないと…だけどなるべく受けるようにするし、やりがいはあるよ!心配してくれてありがとう!」

にっこり手を振り、クラスを後にした。



Sクラスでは感じないが、廊下を出ると、纏わりつく嫌な視線。やはり、僕を見ているな。

さっきのマリックの様子もおかしかったし、何かあるのだろう。


心臓がバクバクするが、キリウスに言われた通り、前を向いて堂々と歩く。

そして、授業が始まる数分前になり廊下は誰一人居なくなり、ネフェリアは息を吐いた。


緊張のせいか、いつの間にか息を止めていたのだろう。


「お前…かっこいいな。堂々として…さすが筆頭公爵家!」


アリウスがネフェリアの肩を叩く。

ネフェリアはクスッと笑い、首を振る。

「違うよ。前を向き、堂々としろって、キリウス様に言われたんだ。…流石はアゼルド家だよ!」

ネフェリアの言葉に、アリウスは唇を軽く噛んで、拳を握りしめた。


「ネフェリアは…兄上が好きか?」

階段を上る途中、アリウスの言葉にネフェリアは振り向く、一段下にいるアリウスと視線の高さが一緒だ。

一瞬、アリウスの身長の高さに意識が向いてしまい、問いに答えるのが遅れた。

口を開こうとした瞬間、塞がれた。

気付くと、アリウスの唇がネフェリアのと重なっている。

授業開始のチャイムが鳴り響く中、数秒間の優しいキス。

いつものガサツさが嘘のような触れるキスに、ネフェリアの瞳が大きく見開く。

「兄上より…皇子様方、サリファンより…俺を見ろよ…。好きだ。誰にも負けねー…。」

いつものまだ幼さが残る表情とは違い、男を感じさせる真摯な表情に、ネフェリアは息を飲む。

固まるネフェリアにまた優しいキスを落とし、抱きしめた。

「返事はまだいいから、俺のことも考えろよ…ちゃんと。わかったか?」

首を傾げ、顔を覗き込んでくるアリウスに、ネフェリアは言われるがまま、頷いた。

すると、満足気にアリウスは笑い、ネフェリアの手を握りしめて、階段を上る。

アリウスの大きい手に引っ張られながら、ネフェリアね顔は徐々に赤みがかる。


急にあんな顔…ズルい…身長だって…

いつも隣にいた友人の違う一面…

ネフェリアは戸惑いながらも、胸が熱くなるのを感じた。



しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

処理中です...