本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

安堵の温もり

「お前ら何をしている!!」

怒りに満ちたいつもより低い声…

だけど、安心するハスキーボイス。


トビーとフレディーは顔を蒼くしてネフェリアの上から立ち上がる。

「なっ!ネロは!?裏切ったのか!?」

トビーは険しい表情で拳を握りしめた。


「…ネロ?ああ、あのチビか…。案内するとか言っていたが、どうも様子がおかしいからな。少し、痛い目にあってもらったよ。…俺の大事なモノに手を出した覚悟は出来ているだろうな?」


キリウスは腰に下げた剣をゆっくりと抜いた。


「なっ!生徒同士の抜刀は許されないはず!!」

フレディー光にあたり、生々しくも光る剣に動揺する。


「お前ら…俺は第一皇子の護衛でもある。皇子が危機的状況か…又は、生徒ではなく、皇子としての御命令と有れば、剣を抜く許しを得ている。…ネフェリアは俺達の大切な者だ。変な噂が回った時点で、第一皇子が直々に国王からの許可を頂いたのさ…。ネフェリアに危害を加える者には…ね。」


ギラリと剣を構えるキリウスの瞳は鋭く、2人を射抜いた。


「ヒィィ!!」

バタバタと逃げようとする2人を、剣の鞘で殴り、怯んだところを回し蹴りを浴びせた。


そして、転がった2人に剣を突きつける。


「お前らの顔は覚えた…生徒会が処分を受け持つが、エスティリオがそれだけで許すかな?…プロント家からの制裁…または、ネフェリアに焦がれ狂った男達の怒り…覚悟しとけ。」

スカイブルーの青い瞳が冷たく、殺さんばかりの眼差しに、2人は怯えつつ、頷くと、教室から出て行った。


僕は、恐怖で震えた指先で口の中のハンカチを取り出し、身体をゆっくり起こす。

露わになった下半身を目にすると、羞恥と嫌悪感でいっぱいになり、隠す様に、身体を縮めた。


「ネフェリア!」

キリウスはブレザーを脱ぐとネフェリアの下半身に掛ける。

そして力一杯抱きしめた。

ネフェリアはキリウスの温もりに包まれ、安心からか、涙が止まらずこぼれ落ちた。

微かにキリウスも震えている。

じっとりと感じる汗から、たくさん探してくれた事がわかる。


「ネフェリア…すまない!すまない、遅れた…!!」

悲痛の様な囁きに、ネフェリアも震える手で、キリウスを抱きしめた。


「大丈夫です。…ありがとうございます。僕が悪いんです。隙を突かれました。それに…間に合いましたよ。」

ガバッとキリウスはネフェリアを覗き込む。

先程とは変わり、スカイブルーが暖かい空の色をして、心配そうに潤ませながら、ネフェリアを見つめる。


「その…ま、間に合った、のか?」

聞きにくそうに、瞳を揺らしながら確認するキリウスにネフェリアは頷いた。

すると、もう一度力強くネフェリアを抱きしめる。


「…よかった…よかった!!」

ああ…本当によかった…



ネフェリアはキリウスの香りと心地よい鼓動に包まれ、緊張の糸が切れた様に意識を手放した。



*****


うっ…ふぅ…


誰かが…泣いている?


重たい瞼をゆっくりと持ち上げると、薄暗い室内と、天井は見知ったものだった。

「ネフェリア!!」

ふと、手に温もりを感じた。

ギュッと手を握り締め、ハラハラと涙を流していたのは、サリファンだった。


僕は気付いたら自分のベッドの上で、サイドの椅子に座り、僕の手を握り締め、泣いているサリファンがいた。


「サリファン…どうしたの?」

僕は寝起きで、掠れた声になってしまった。

「ネフェリア…ごめんよ…。僕が弱いから…。こんな目に…。」


目を赤く腫らしているサリファン…

いつから泣いていたのだろう。

「サリファンのせいじゃないよ。僕の判断が悪かった…。僕が隙を見せたせい…。泣かないで…。」

僕はサリファンに向けて手を広げると、サリファンは戸惑いながらも、腕の中に身体を預けてくれた。


僕は、サリファンの背中をゆっくり撫でて、擦り寄る。


ほら…全然嫌じゃない。

優しい温もり…。

アイツらとは違う…


ごめんね…サリファン…。


「サリファン…泣かないで…。これは君のせいじゃない…。」


ごめん…サリファン…


なんだが、眠くて…


起きたら…また話そうね。


キリウスにもお礼を……




「ネフェリア?」


背中を撫でる手が止まり、寝息が聞こえ、サリファンはゆっくりと身体を起こす。


手にはあちこち擦り傷がある。


ネフェリアの顔は青白かった。


怖かっただろう…

辛かっただろう…


あの時、もしも僕がネフェリアより強かったら、ネフェリアはどうしただろうか…


僕が強ければ…

必ず強くなるよ…。



だが、まずは今が重要だ。

ネフェリアに危害を加えようとは…


地獄を見せてやる。


ここからは、僕の得意分野で戦わせてもらう。

体術だけが武器ではない…。


薄暗い闇よに光る赤い眼は、ギラギラと炎を燃やしていた…。




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