本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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ネフェリア、学園編

紙切れ

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ドファスと生徒会室で合流すると、ドファスは指に折り畳まれた紙を挟み、フリフリと振っていた。


「おお!!あったか!!」

アリウスは興奮を隠さず、拳を握りしめた。

小さい折られた紙を開くと、小さく書かれた文字。

「現状そのまま」


と書かれていた。

「…この字は女性か?」

ドファスは眉を寄せて、筆圧と線の細さから女性と判断。

サリファンも同意見らしい。

「…確かに女性のようだ。このぐらいのやりとりで有れば代わりに置いた紙にも気づかないでしょう。」


「代わりの紙には何と記入したんだ?」

「何も。定期的連絡のようだから、白紙でも、問題無いと踏んだ。勝手に向こうが解釈するだろう。おかしいと気付き、近寄った場合も相手がわかるしな。」


「さすが、サリファン!頭いい!!」


「…サリファン様は敵に回したくないですね。つくづく取引して良かったと思う。」

ドファスは苦笑しながら肩をすくめた。


「とにかく、この文字を女性限定…男爵、子爵以上の位で調べよう。」


「どうやって調べる?」

サリファンの言葉にアリウスは首を傾げる。


「……それなら、私が何とかしましょう。詳しくは言えないが、ある教師のネタがありましてね。協力してもらいます。」

「僕も貴方を味方に付けて良かったと思います。全てはネフェリアのお陰ですね。」

赤い瞳が愛しい人を思い出したかのように優しく輝く。


「まったくです。」

ドファスはサリファンの優しい瞳に口元を緩ませ、笑みを浮かべた。


ネフェリア様は罪深いな。


ドファスは大きく息を吐き、生徒会室を後にした。




サリファンとアリウスはソファに座り、ポットから紅茶を注いだ。


「もうすぐネフェリアも返ってくるだろう。」


「そうだな。早く癒されたい。」

アリウスは背もたれに身体を預けて、瞳を閉じた。

瞳を閉じると、すぐにネフェリアの笑顔が浮かぶ。

たった少し離れただけなのに、こんなにも切なく思うとは思わなかった。


「なぁ、サリファン。…どうすれば、皇子達に勝てるかな…。」


アリウスの言葉にサリファンは瞳を細めた。


「…それはネフェリアの気持ち次第だ。…僕は、ネフェリアと添い遂げたいし、諦めるつもりは無いが…ネフェリアが幸せなら、それでいいとも、思える。」


アリウスは閉じていた若草色の瞳をサリファンに向ける。

「俺も、ネフェリアが幸せなのが1番いい。だが、ネフェリアを幸せにする役目は俺だと思っている。」

アリウスの真剣な瞳にサリファンは口角を上げた。


「…そういう顔すると、カリウスに似ているね。」


「えー!!父上に!?」

嫌そうに眉を寄せるアリウスにサリファンは苦笑する。


「そんな顔していいの?…多分だけど、ネフェリアの理想は男らしい人だと思うからカリウスだと思うよ?」


「え!?だから、ネフェリア、兄上に懐いてんの?!…でも、俺だって男らしい顔だと思うけど?」

キリッと引き締めた表情でサリファンを見る。

「確かに僕やカウディリアンより、凛々しいと思うけど、何だろう?頼もしさ?威圧感?隙のなさ?が足りないんじゃない?性格も違うしね。」  


「父上も兄上も、クールって言われてるけど、周りに全く興味ないだけだし、ぶっちゃけムッツリだし!ネフェリアに対してだけ!!あんな、冷徹感より、俺のが明るくていいじゃん!!」

ムスッと顔を顰めるアリウスにサリファンはクスクスと楽しそうに笑う。


「顔は似てるけど、性格が顔に出るって本当なんだね。…まぁ、ネフェリアは自分が男らしくなりたい願望で憧れてるだけだから気にしなくていいんじゃない?僕だって筋肉質になりたいけど難しいしさ。」

納得出来ないアリウスは自分の顔をペタペタと触りながら難しい顔をしている。


「…だけどよく分かったな。ネフェリアが父上に憧れているって。」

アリウスの質問にサリファンは少し切なげに紅茶を口にした。


「…ずっと見ていたらわかるさ。…僕の腕じゃカリウスに勝てないから、だから勉学を選んだ訳だしね。」


「……サリファン…お前、10歳でそんな事考えてたの?」


「お前より頭がいいから、無駄な争いはしないんだよ。」

ニッと悪戯に笑う顔にアリウスはまたムッと唇を突き出す。


「あー!!俺も勉学にしときゃー良かった!!」

頭をぐしゃぐしゃと掻き乱すアリウスに、お前じゃ無理だろとサリファンは内心思ったが、そこは口に出さなかった。



窓から少し沈みかけた空を見つめるサリファン。


「ネフェリア…早く、会いたい。」

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