9 / 9
初めての夜
しおりを挟む
初めての夜。
今日からセシーリアとジャックは同じベッドで寝ることになる。
先に寝室に来ていたセシーリアはあっちへ行ったり、こっちへ行ったりとそわそわしていた。
と、ドアがノックされた。
同時にセシーリアの動きが止まる。
「は、は、はい!」
セシーリアは何度も吃りながらなんとか返事をする。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
ジャックが微笑みながら寝室に入ってきた。
「はい…」
「…」
「…」
「フワァ~、では寝るとしますか」
ジャックは欠伸をしながらベッドへと向かう。
(え、もう!?)
セシーリアもジャックに続けてベッドへと向かった。
真っ白な寝具に、レースの天蓋がついたベッド。
ジャックは天蓋を捲り、布団の中へ入る。
セシーリアはジャックに背を向けて恐る恐る入った。
「どうしてこっち向いてくれないんですか?」
そんなの恥ずかしいからに決まっている。
「私は…異性とこうして寝るのは…初めてで…」
「僕も初めてですよ」
嘘だ。
そんなはずは無い。
「では、どうしてそんなに落ち着いているのですか?」
「落ち着いている?そんなことはありませんよ」
「ほら」とセシーリアの手を握ると、自分の心臓辺りに持ってきた。
ドクンドクンとものすごい速さで動いているのがわかる。
「緊張…されているのですね」
セシーリアはほっとしたような顔をする。
「そりゃあこんなに可愛い方と寝るのですから」
「可愛いだなんて…」
それは姉へのセリフでは?と問いたくなる。
「ですからこちらへ向いて可愛い顔を見せてください」
「…」
セシーリアはジャックの方へと向き直った。
「よく出来ました」
ジャックはセシーリアの頬にキスをする。
「っ…」
一気に体温が上がったのがわかる。
「あんまりからかわないでください…」
「からかってなんかいませんよ。全て本心です」
「本心…」
「さて、と」
「きゃっ、なにを…」
ジャックはセシーリアを抱きしめる。
「こうした方が温かいですよ」
「そ、そりゃあ確かにそうかもしれませんけど…」
「それともこうされるの、嫌ですか?」
ジャックは抱きしめていた手を緩める。
「そういうわけじゃ…」
セシーリアは弱々しく答える。
「ならこのままでいいですね」
とても優しげな声音だった。
と、更に強く抱きしめられる。
(これじゃ寝れないわ…)
セシーリアの鼓動は早くなる一方だった。
今日からセシーリアとジャックは同じベッドで寝ることになる。
先に寝室に来ていたセシーリアはあっちへ行ったり、こっちへ行ったりとそわそわしていた。
と、ドアがノックされた。
同時にセシーリアの動きが止まる。
「は、は、はい!」
セシーリアは何度も吃りながらなんとか返事をする。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
ジャックが微笑みながら寝室に入ってきた。
「はい…」
「…」
「…」
「フワァ~、では寝るとしますか」
ジャックは欠伸をしながらベッドへと向かう。
(え、もう!?)
セシーリアもジャックに続けてベッドへと向かった。
真っ白な寝具に、レースの天蓋がついたベッド。
ジャックは天蓋を捲り、布団の中へ入る。
セシーリアはジャックに背を向けて恐る恐る入った。
「どうしてこっち向いてくれないんですか?」
そんなの恥ずかしいからに決まっている。
「私は…異性とこうして寝るのは…初めてで…」
「僕も初めてですよ」
嘘だ。
そんなはずは無い。
「では、どうしてそんなに落ち着いているのですか?」
「落ち着いている?そんなことはありませんよ」
「ほら」とセシーリアの手を握ると、自分の心臓辺りに持ってきた。
ドクンドクンとものすごい速さで動いているのがわかる。
「緊張…されているのですね」
セシーリアはほっとしたような顔をする。
「そりゃあこんなに可愛い方と寝るのですから」
「可愛いだなんて…」
それは姉へのセリフでは?と問いたくなる。
「ですからこちらへ向いて可愛い顔を見せてください」
「…」
セシーリアはジャックの方へと向き直った。
「よく出来ました」
ジャックはセシーリアの頬にキスをする。
「っ…」
一気に体温が上がったのがわかる。
「あんまりからかわないでください…」
「からかってなんかいませんよ。全て本心です」
「本心…」
「さて、と」
「きゃっ、なにを…」
ジャックはセシーリアを抱きしめる。
「こうした方が温かいですよ」
「そ、そりゃあ確かにそうかもしれませんけど…」
「それともこうされるの、嫌ですか?」
ジャックは抱きしめていた手を緩める。
「そういうわけじゃ…」
セシーリアは弱々しく答える。
「ならこのままでいいですね」
とても優しげな声音だった。
と、更に強く抱きしめられる。
(これじゃ寝れないわ…)
セシーリアの鼓動は早くなる一方だった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる