Princess of Floria

萌乃頭巾

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感情の神登場

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昼下がりの神殿。
今日はカグツチの知り合いの神が来ていた。
その神は、感情という目には見えないものを具現化させることが出来るらしい。
そしてその感情を神様に渡すと持ち主から綺麗になくなり、逆に神様から貰ったものは永遠になくならない。
そんな夢のようなことをしてくれる神様だった。
「まあそんなところだ。貰う感情は言われて傷ついた事が多いな。だが君みたいな美人は、そんな経験なんてないだろう。おい、もっとブスはいないのか」
と、感情の神はなんともまあ心の無いセリフを言ったが、
「うん、それもそうだね。気が利かなくてすまない」
とヤマトタケルがいい、続けてカグツチが
「営業妨害するつもりじゃーなかったんだが、わりーな。じゃあ使用人達でも呼ぶか」
と、残りの2人からもこの言われようである。
「ちょっと、皆さん…そんな言い方は…」
フローリアはバツが悪そうに言うと
「悪かったですねぇ、ブッサイクな顔してて」
ドリゼラはドンと大きな音で持ってきたティーセットを置き、いつも以上にアレな顔でお茶を注いだ。
「まあまあー、フローリア様と比べれば大体の人はそうなりますからー」
とアナスタシアがお茶菓子を並べた。
「おお!これはこれは…いやー、見事だ」
感情の神はドリゼラの顔を見ると、どこか納得したように嬉しそうに頷いた。
再びドリゼラの怒号とアナスタシアの宥める声が神殿に響いた。

深夜。
周りが寝静まった頃、フローリアは自室で日課の日記を書いていた。
ふと感情の神に言われた事を思い出し、日記を書く手を止めた。
「そんな経験なんてないだろう…ね…」
もちろん今まで生きてきて陰口を言われたことは何回もあった。
しかしそんなのは全く気にならなかった。
それ以上に褒められたりする事が多かったものあるが1番は
「こんなにも完璧で、美しいんですもの。全てが妬みや負け惜しみにしか聞こえなくなるものよ」
フローリアは手鏡で自分の顔を見ながら、つまらなそうに言い捨てた。
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