心の棲処

葵生りん

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 だれも、わかってくれない。
 おにいちゃんにも、きっとわからない。

 わたしがどんなに苦しいのか。

 だれも
 だれも。
 わかるはずがないって、思っていたの。

 だけどね、もしかしたらって思ったの。

 会ってみたい。
 とっても。


 焦がれて見つめた扉の窓に、人影が写る。
 ノックに返事をしたら、かちゃりと音を立てて鍵が解かれる。

 ゆっくりと、扉が開く。
 いつもと同じように、看護師とおにいちゃんが入ってくる。
 でもいつもと同じじゃないのは、その後ろでもじもじしている知らない女の子。

 キラキラした虹のかけらを連れて、いつもとは違う消毒液の匂いを含んだ新しい風を連れて、入ってきた女の子を一目見て、ざわざわって血が踊るみたいに騒いだ。


 はじめまして。
 きてくれてありがとう。
 うれしい。
 うれしい!


 心が、そう、叫んでいた。

 


           ―完―

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みんなの感想(1件)

楠乃小玉
2018.04.01 楠乃小玉

読んでいて、ポロポロと涙が止まりませんでした。
なぜなら、今回、ライト小説大賞に応募した
作品を書く切っ掛けが、仲良しにしていた男の子が
発達障害で精神病院に通っている事をカミングアウトしたために、
差別されて小説を書くのをやめてしまった事だったからです。
こういう作品は絶対ないといけないです。
ぜひ、続けて書いてください。続きが読みたいです!

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