素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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結婚生活

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「気持ちなんて後からついてくるって思ってた。
でも、上手くいかないんだ。何もかも。
真由を目の前にすると、自分でもワケがわからなくって、嫌な顔ばかりさせてしまうんだ」


アルコールの力も手伝って、次から次へと口をついて出てくる弱音。


しかも、今日は美佳さんの退院祝いで集まっているっていうのに、情けない。



結婚式が終わり、正式に同居を始めた俺達。

新居に足を踏み入れ、ソファに腰を下ろす。

ボスッというソファの音に真由がピクッと反応する。


わかってる、怖いんだ。

仮にも今日は結婚初夜。


「フーッ」

自分を落ち着かせるために、大きく息をついた。


大丈夫、手は出さない。

気持ちがないのに、真由にそんなことはさせられない。


でもそんなこと口で伝えられるはずもなく、俺は風呂場へ向かった。

せめて、離れたほうがいいと思ったから。



風呂から上がりミネラルウォーターを取りに戻ると、部屋にいた真由と視線が合い、真由はまた肩を震わせた。


「わ、私もお風呂いただきますね!」

その声は上擦っていた。


真由に怖い思いをさせてる。

そのことが、『嬉しい気持ち』より『申し訳ないという気持ち』を増幅させる。


帰ってきたら俺がいないほうがいいだろう。


俺はひとり先に寝床についた。


少しすると、お風呂から上がった真由が様子を見に来たけど寝たふりをした。

開けられた扉から入るお風呂上りの真由の香りにやられてしまいそうだったけど、必死に我慢した。


本当は泣かれてでも強引に真由を抱いて、何も考えられないくらいめちゃくちゃにしてしまいたかった。


俺の中は矛盾だらけだ。
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