素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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番外編-1

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よしや…

ありはら、よしや―!!




「よしやくん。じゃあ、やくそくね」


嬉しそうに笑う、幼い私。



私はバッと吉哉さんの腕から外れて、正面に向きなおす。


「よしや…くん?」


「思い出した?」

「だって、え?本当に…?」

私は恐る恐る傘を手に取り、持ち手に視線を向ける。


やちだ まゆ


ウサギのマークのついた可愛い名前シールが貼られていた。

本当に、私のだ…。


「ひどいよ、真由。
ゆびきりしたのに忘れるなんて」

責めるような言葉とは裏腹に、優しいキスがまぶたに落ちてきた。


そのキスがあんまり優しいから、目頭がジンと熱くなる。


よしやくん。
あのときの男の子が、今目の前にいる。
私の初恋のひと。


「約束、まもってくれたんだ…」

私は消えそうな声で呟く。

「え?」

吉哉さんは聞こえなかったようで聞き返してきた。

「ねぇ、じゃあ今度こそ教えて?」

「なにを?」

「私のこと、いつから好きだったの?」

「そんなの」

吉哉さんは私の耳元に口をやると、小さな声で囁いた。
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