素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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決意

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「俺が何したって」

「こんな人を好きだったなんて、ましてこんな人にフラれたなんて…あたしのプライドが許しません!!」


鈴原は胸を張ってそう言い切った。

なんて勝手な言い分なんだ。

「そーだそーだぁ!
明ちゃんかっこいー!」

大倉。お前は黙れ。


「怖いのはわかります。
ずっと想ってきたのも知ってます。
でも、ずっと目隠しをしたままなんて、それじゃ前には進めませんよ?」


「それでも、生きる意味を失くしてしまうよりはずっといい」


そういい残して俺はまた背を向けようとした。


「バカ!!!!」

鈴原の小さな体からは想像できないほどの大きな声が出て、俺は思わず足を止めてしまった。


「先輩の生きる意味は真由さんだけなんですか!?」

そう言った鈴原の瞳には今にも溢れそうなほど涙が溜まっていた。


「あたし達は…?
あたし達じゃ、生きる意味にはなりませんか?
先輩にとってはその他大勢と同じ、そんなに軽い存在ですか?
嬉しいことも悲しいことも分け合える友達じゃ、ないんですか…」


言い終わる頃には大粒の涙がポロポロと地面を濡らしていた。


「鈴原」

そんなことないって言おうとした。
でも確かに、俺が言っているのはそういうことだ。
逆の立場だったとしたら俺もそう思うだろう。

そして、それはなんて失礼な話だろう。


「有原」

さっきまでおちゃらけていた大倉が低いトーンで口を開いた。

「お前、明ちゃんを泣かせたな?」


え、そこですか?


「もうお前なんて絶交だ!!」


大倉はまっすぐに俺を指差してそう宣言した。
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