素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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回り出す歯車

10

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「いらっしゃいませ」

窓際の大きな観葉植物にレトロな木造のテーブルやイス。
可愛らしい外観にピッタリの内装。

その真ん中のショーケースに並べられた小さくて可愛いケーキ達。

その種類の多さにまず驚いた。

一体、どのケーキを買えばいいんだろう?


一通り目を通してみたが、分かるはずもない。

とりあえず適当に選ぼうかともう一度ケーキに目をやる。


チーズケーキとか、なんか真由のイメージかも。


そう思ってすぐに、美佳さんのお見舞いだっていうのに何考えてるんだ、とその考えを打ち消した。



そして…
ついにこの時が来た。


俺は今病室の前にいる。

目の前の扉を開けば、そこには逢いたくて逢いたくてたまらなかった人の姿があるはず。


静かに扉に手をかけた。

あとは、それを引くだけ…。



緊張で倒れそうだ。

でもヘタレの自分と葛藤しているヒマはない。

すればその分、真由と逢える時間が減るだけだ。


いくぞ!
意志を決め、勢いよく扉を引いた。


ガラッ
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