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着信
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ビクッ
しんとした室内にケータイの着信音が鳴り響く。
静まり返った空間で、その音は必要以上に大きく感じられた。
…俺のケータイだ。
タイミング的に、このアメが絡んでいることは間違いないだろう。
誰からだ?
俺は恐る恐るケータイのディスプレイを確認した。
着信:坂上 幸
…幸?
なんだよ、びっくりさせやがって。
俺はホッと胸を撫で下ろし、通話ボタンを乱暴に押す。
「もしもし!?なんだよ、この忙しいときに!」
俺は苛立ちを隠すことなく不機嫌な声を出す。
「さっきはごめんね、譲ちゃん」
そう聞こえてくると思っていた電話の向こうからは、幸とは似ても似つかない中年の男の声が聞こえてきた。
「君、ジュリアちゃんの知り合い!?」
は?誰だよそれ。
相手は相当焦っているらしく、俺の返事を待つことなく言葉を続けた。
「大変なんだ。彼女、お店でいきなり倒れたんだ。
とにかく、急いで○△病院へ来てくれないか?危険な状態なんだ!」
相手は極度の興奮状態で、こっちの耳が痛くなるほど大きな声で叫ぶように言葉を吐き出す。
「あの、悪いですけどそんな人知らな」
「今彼女のケータイから連絡しているんだ!!」
なんなんだよ、一体。
彼女の…?ジュリアなんて女は知らない。
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