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第壱章 サファイアシュラン編

初めての死

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大きな爪の手足、恐ろしい尾と角と翼のある獣のような雷の鎧を纏っている。

数分前とは比べ物にならないほどの速さで襲いかかる。

「どうだ?痛いだろう?噛み締めやがれ」

まともに喰らってしまった。かなり深い。

「同じ土俵になったところで調子に乗るな。」
こっちが先手を取ったが避けられた。近接戦闘に入ったがほぼ互角だ。
 

「ミスイトウ、あなたは負けます。とっとと諦めてください。」

たしかにこのままじゃ分が悪いわ。
こっちは対天獣戦には強いけど対人戦はほとんど経験がない。。
現にこっちの攻撃はほとんど当たっていないじゃない。

灼熱地獄アルダンラーヴァ!」

彼が両手で触れた地面がみるみるうちに溶岩に変わっている。草木も燃えて灰も残らない。。

近くにいるだけで肺が焼けるようだわ。
どうすれば…。

そうこうしているうちに足元まで溶岩が迫ってきている。

「一か八かやってみるしか…」

伊藤は地面に音撃を放ち空中に逃げた。

「良いだろう。じゃあ空中戦といこう」

そういうと彼は下半身を溶岩に変え空を飛んだ。
ますますこちらに不利な状況になるわ…

「さあ始めようじゃないか!叫喚地獄ルムンバラーヴァ!」

空から無数の大きな溶岩が降ってくる。
さすがに避けるので精一杯だわ。。

「まさに絶体絶命とやつですねぇ!」
モーガン(奴の姿が…!溶岩が落ちる隙に消えたか)

「後ろよ。」
「なに?!いつのまに…」

「さっきあなたが溶岩を無数に落としてくれたおかげで機動力を付ける良い練習になったわ」
モーガン(こいつ、どんな成長力だよ。。)

「だが無駄な努力だぞ。私の体は放つ溶岩よりも硬いからな。」
「それはどうかしら。」

さっき地面を音撃した時気付いたわ。
音は密度が高ければ高いほど伝わりやすいから溶岩は空気や水より密度が高くて音が伝わりやすい。

「このゼロ距離なら致命傷よ。喰らいなさい小夜セレナーデ!」
「グアァァァ」
彼はかなり致命傷のようで全く立てなくなっていた。

「はいはーい!4人ともストップストップ!」
仮面をつけたスーツ姿の男が2人立っていた

「てめえ誰だ!どこから来やがったッ!!」
「そう喧嘩腰になるなよw」
軽い口調でそう言うととてつもないアークを放ち辺りの戦場は静まり返った。

「んだ?コラ。敵なら容赦はしねえぞ!
雷絶ボルテージストライク!!」

「あーあーあー。それ見たって。」
奴は三門の攻撃を片手で軽く振り払ってしまった。

「俺の雷霆の獣ティタノマキア状態の攻撃が…」

「今度はこっちから行くよ!雷絶ボルテージストライク。」

三門の攻撃と全くおなじ攻撃を出してきた。しかも威力もそのままだ。さすがの三門もこれじゃ…。

「くそっ…。な、なに!?」
三門の前にモーガンが立っていた。

「美しい友情だねぇw。でも君土手っ腹に穴空いてるよw」
「こいつは悪いけどやらせねえんだよッ!
喰らえ!出力最大ッ!!阿鼻地獄ユルティムラーヴァァァ!!」

「土煙と時間の無駄無駄。」
またも軽くいなしてしまった。

「ほら!お返しだよ!!阿鼻地獄ユルティムラーヴァ!」

モーガンは喰らってしまった。さすがに倒れ、今にも息絶えそうだ。アーク反応もほとんどない。

「おい!モーガン!死んでんじゃねえぞ!」
「いいんだよ、三門。これであなたのせいで死んだんじゃないから。」
彼は息絶えた…。。

「くそっ…。。この野郎ォ!!!」
これほど三門が怒っているのは初めて見た。
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