「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち

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第11章 再会!パンダ隊長🐼

第4話 プレジデンシャルスィート・ルーム

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最上階の特別迎賓室に着いた千歳シーラスワン・訓練大隊の御一行様。

( オーマイガッ!オマーガッ!うわ~最高!パパ!パパっ! )
 
( オーマガッ!凄い部屋。いいのかぁ俺たち~!スンゴイ広い~! )

 双子ちゃんを抱いたままの抱擁するバルトッシュ・カミンスキー夫妻。
 その横を何事も無いようにニッコリしたまま荷物を運ぶ女将の恵子ママと着物スタッフたち。
 そして隣の部屋。

( ヒエェ~ッ!オーマイガッ、ア~!オーマイガッ!どうゆう事!ねぇルオっ! )

 ルオに飛びついてキスをするリリアナ。
 はた目には新婚旅行へ来たカップルに見える。ニコニコと荷物を運ぶ温泉スタッフ。
 ルオたちに続いて入るジュリアと小林。

( オーマーガッ!オーマガ~オーマガッ~! )

 感激するジュリア。
 胸にぶら下がる娘の形見のペンダントにキスをした。
 そのジュリアを見ていてニッコリする小林。
 お次はきよしカップルと妹のオディア。
 
「うわー、スッゴイ豪華絢爛。オディア凄いわ。なんだべ。違う世界みたいだべさ。」
 
 きよしから降りたオディアが部屋を走って豪華なシングル椅子に飛び乗った。
 部屋を見渡すオディア。
 
「オーマガッ!日本のホテルのスィートルームって。オーマガッ!素敵~っ!オリエンタル。」
 
「布村さん、有難う。こんな部屋にしてもらって!」
 
 後ろにいる布村愛子にお辞儀をするきよし。
 
「パンダ隊長にお辞儀してもらうなんて。もう止めて下さい。隊長ぉ~。アッ!そうだ、今日は勝手なんですが、私たちもお部屋に泊めてもらっていいですか?」
 
 えっ?と、反応するジェシカ。
 きよしが愛子の後ろをのぞいて見る。
 
「私たち?私たちって、布村さん、他に誰かが来るんですか?女将さん?えっ誰っ?」
 
「お2人……、お2人の邪魔じゃなければぁ、なんですけどぉ。」
 
「2人の邪魔って?」
 
 目を合わせるジェシカときよし。
 そのジェシカへ、椅子から走ってきて、ジェシカに抱き着くオディア。
 抱きかかえてニコニコするジェシカ。
 その幸せそうな3人を見た瞬間、色んな考えや妄想が、物凄いスピードで布村愛子の脳みそを回った。
 
(えっ3人家族?オディアちゃんはパンダ隊長の子供だったのか。)

(やっぱり、ジェシカさん、パンダ隊長の奥様だったのか。うそ~。そうなら悲しい~。)

(えっでもパンダ隊長19歳。たしかオディアちゃん4歳。えっ中学2年生で子供作ったのか?隊長、体がデカい分早熟だったか?中学生でやったのか?マジッー!いや、あり得るあり得る。)

(スミス中佐は美人で金髪の外人さん。オディアちゃんは黒髪だけど白人。)

(子供モデルの様に整ったスタイル。お目めパッチリで上品な鼻頭。絶対美人確定。超絶美人が保証された白人の子供。絶対日本人離れしてる。でもサラサラ黒髪はパンダ隊長と同じ。体は白人の体。スミス中佐も透き通る真っ白素肌。スミス中佐がお母さん。あり得るあり得る。)

(スミス中佐って幾つなの?落ち着いてるし。でもオッパイ、私よりデカい。さっきハグされた時、首が、もげるかもと。経産婦か?あの大きさ子供産んだに違いない。でもスンゴイ、クビレ。妊娠線出てれば確実に経産婦。温泉で確かめてやる。)

(ネットの宿泊帳では、椎葉きよし、椎葉オディア、ジェシカ・スミスだったはず。椎葉ジェシカじゃない!結婚してないの?軍人だから、欧米人だから籍入れていないのか?部屋割りでパンダ隊長、スミス中佐と一緒で、スミス中佐が彼女なんだと諦めが入って、4歳の子供がいてパンダ隊長の奥様がスミス中佐だったんだ!と、結衣たちとガッカリした気持ちが蘇って来るじゃないの~!)

(いや、現実を見ろ愛子っ!ネット予約が入った時、ママから部屋割り聞いて結衣たちもスミス中佐は絶対彼女じゃないのか?とか、みんなでガッカリしたのはやはり現実なのだ。残酷な現実!でもあきらめない。何気に関係をハッキリさせてやる。)
 
 3人を見ながらボーっとしたように見える布村。
 そんな布村をしゃがんで見る、きよしとジェシカ。
 
「ちょっと、ちょっと、愛ちゃん、どうかしたの?」
 
 布村をのぞき込みながら、心配するジェシカ。
 ハッと気が付く布村愛子だった。
 
「えっ?あっ!あはははっ。」
 
 ひたいに汗をかいて愛想笑いをする布村愛子だった。
 と、その時。奥の和室から音がしたのだ。

 
(( ドサッ!ドンッ。 ))


( うっ!ギャ!痛っ。誰かの肘っ、痛った~! )
 
( うるさい~。サッチーも絵里!静かに。麗子、うごかないで。シッ!静かに。 )
 
( 痛たたた、誰の足~。臭いし~。 )
 
( ググッ……息が出来ない~っ。うぅ死ぬ、絶対死ぬ。 )
 
( うるさいっ静かに、バレるっしょ。 )
 
( う~腕がプルプル。しびれて来た。去年のツシマ思い出す~。限界近し~。 )
 
( 麗~、我慢~我慢~。布村からGOが出るまでの辛抱、辛抱! )

( 絵里、足こちょばしい。止めて~。オナラ出そう。 )

( 結衣~オナラは、この密室で危険危険危険。携帯鳴ったら火花で爆発するでしょ! )
 
( う~結衣かっ!これ、オエー、靴下臭い~。オエ~! )
 
( 絵里っ!うるさい。 )

 部屋の奥の和室から複数の声が聞こえて来た。
 目を合わせ咄嗟に、臨戦態勢になる兵士2人と新格闘3年目のベテランちびっ子。
 
「あっ!ちょちょっ!」
 
 静止して話をしようとする布村を後に、3人は即座に和室へ飛び込んだ。
 
 既にふすまが開かれた和室。
 
 誰も居ない。二間続きの広い和室を見渡す3人。後ろから愛子が困った顔をして事情を説明しようとした時、部屋奥の押し入れから音がする。
 
( ガサガサッ、ヒソヒソヒソッ、ドン。痛い痛いっ。ちょっとぉ~。 )
 
「ハハハッ。パンダ隊長、実は……あの~、あの~。」

 3人は格闘の戦闘ポーズを取りながら押し入れに近づく。布村が、あのー、あのーと静止しようと手を伸ばした時、押し入れの襖が外れて4人の制服を着た女子高生が押し入れの布団と共に、外に飛び出した。


(( ガシャーン! ))

(( キャーーッ! ))
 
(( うわ~っ! ))

 
 布団と共に、畳に放り出た少女達4人。


(( ドサドサッ!イッタ~! ))

 
「ん~もう、サッチー動かないでよ!痛たたた。あんたデカいんだから、もぅ。」
 
「だって、結衣のオッパイ、デカ柔らかすぎ!息が出来なかったんだもん。もぅ死ぬかと思った。はかない18年だった!と思ったでしょ~。もう結衣っ!」
 
「最低~。アゴ打った。イタタタタ。畳に肘、擦ったし。めっちゃ痛った~。」
 
「ちょっと、早くっどいて!イタタタッ!尾てい骨打った。イタタタタ~。」

 押し入れの中板の上から落ちた4人の少女。
 人の気配に振り向くと、正面で戦闘ポーズをとるきよし、オディア、ジェシカが居た。
 その迫力にビビる少女達。


(( ヒェェェ~!。 ))
 
(( わわわわっ。 ))
 

 皆、髪型とか、雰囲気がオシャレになっていたが、4人の顔を見て、すぐ気が付いたきよし。
 
「あ~っ!ゆ、結衣ちゃん?絵里ちゃん、麗子ちゃん、サッチー?どしたのっ?」
 
 戦闘ポーズを止めて立ち上がり、照れて頭を掻くきよし。
 そのきよしを見るジェシカとオディア。きよしは、オディアをヒョイと抱っこして、4人に手を伸ばした。
 
「あ~ビックリこいた!皆、ご無沙汰っ。大丈夫ですか?」
 
 きよしの手をすかさず持つ結衣。3人の少女が佐藤結衣をにらんだ。
 きよし大好き佐藤結衣が、いつもみんなを抜け駆けしてきよしとスキンシップを図るのだった。
 
「きゃー!暫くぶりで~す。私のパンダ隊長っ!みんなで驚かそうと思って!ごめんなさい。ビックリしましたか?お会いしたかったです。わたしの~っ、」
 
 抱き着こうとする佐藤結衣の顔を、なにげなく腕を伸ばして、手の甲で佐藤結衣の顔をなぶって静止する布村。その流れで佐藤結衣をいなして正座する愛子。
 
「パンダ隊長!この4人も一緒に今日、お泊りしていいですか?」
 
 横でにらむ結衣を無視して、正座したままの布村。
 他の4人も正座をした。

(( よろしくお願い致します! ))

 きよしがジェシカを見る。オディアを見る。
 ニッコリうなずく2人。

「こちらこそお願い致します。」

(( やったー! ))

 5人の少女は立上がり、きよしへ、おのおのが抱き着いた。
 そして1人、また1人と、順番に泣き始めた。
 少女全員が泣き始めた……。
 
 その光景に困り果てるきよし。
 ジェシカを見た。
 
 そのジェシカもホロっときて、天井を見て一粒の涙を流した。
 なんとなく5人の少女たちの気持ちがわかるジェシカだった。
 きよしが抱くオディアを、ジェシカが自分に抱き直した。
 さらに、きよしに抱き着く少女たち。


(( パンダ隊長~!ワァ~ン、ワァ~ン! ))

(( 隊長~!わぁ~ん! ))

(( きゃーっ!やっと、やっと会えました~!え~ん、え~ん! ))

 
 きよしに会えて、号泣する彼女たち。
 
 彼女たちが流した涙の訳……。
 
 ジェシカを含む、きよしと5人の少女たち。
 それぞれ共通の辛くて悲しい出来事があったのだ。
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