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第1章 Never Can Say Goodbye.
第1話 プロローグ、ついに!敵、苫小牧市上陸。
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西暦2038年 6月25日早朝 AM4:17。
朝日が昇る直前の北海道、苫小牧市。
ビルの陸屋根の上で、単眼鏡を覗いて手足をバタつかせている初老の男性が居た。
「あっ、あっ!向かいの!貨物船の、貨物室の天井が開きました。なんだぁ?オーニング、って天幕じゃないのか?あれ~。ん~っ……ん?オーニングのシワの形までつけた金属の天井です。今、それが開きました!」
苫小牧港湾組合・組合長の八雲が、単眼鏡で興奮しながら覗いていた。
先程、射殺された身内の形見である、単眼鏡を覗いて左腕のスマハンドで、誰かに報告していた。
自分の直轄の苫小牧港を、組合ビルの陸屋根から望遠鏡で覗いていたのだ。
避難勧告をしても、移動しない外国籍の貨物船や、その周囲を見て報告していたのだ。
八雲組合長の報告先は、小樽市にある第1管区、海上保安庁本部だった。
その最上階にある小規模の会議室。
5名ほどの男女若手の職員が会議室で八雲の報告を聞いていた。
リーダー格の女性海上保安監を囲んで、真剣にスピーカーから流れる組合長の報告を聞いていたのだった。
1人の精悍な若い男性保安監が立ち上がった。
その男性と、目が合うリーダー格の女性保安監。
男性保安監がリーダー格の女性に告げた。
「東(あずま)課長!敵は貨物船に有り。」
うなずく女性保安監。
その場から、急いで去ろうとする男性の制服の袖を、女性が立ち上がって引っ張った。
「田中っ!苫小牧海上署の巡視船、下がらせて。苫小牧の海上署の合同庁舎も緊急避難指示。苫小牧フェリーターミナルに急行中の救急車、警察に死傷者保護後は直ちに避難を!急げ。」
「了解!」
「私は上に報告。間に合うか!」
会議室から女性保安監以外、全員が飛び出した。
それを確認してから、女性保安監は廊下の左右を慎重に見てから会議室の戸を閉めた。
◇ ◇
屋上で、再び泣きながら体育座りをする八雲組合長。
「うっ。うっ。シクシク……。」
背中を丸めて、何度も涙を拭きながら独り言を言っていた。
八雲の目の前で、拳銃で自分の苫小牧港湾組合の部下や、義理の息子を殺害されたのだ。
その殺害現場を直接、単眼鏡で見てしまったのだ。物凄いショックだったに違いない。
静かだった苫小牧市内に、次第に様々な音が響き始めた。
乗り物のような、人の叫び声の様な音だった。急に騒がしくなる苫小牧市内だった。
そんな港へ響く音に気が付いた八雲。
「こんな、朝っぱらから。何が、なんだか。」
また立ち上がり、自分の涙でズグズグになった袖でまた、顔を拭き直した。自分の義理の息子が倒れている姿を、もう一度見ようと思ったのだ。
ところが、突然。
( キュイーン、ドゴゴゴゴゴー。 )
立ち上がった八雲の背後から、かなり規模の大きなジェット音がしたのだ。
地鳴りのような台風の暴風のような、とにかく聞いた事もない爆音がしたのだ。
( ズゴゴゴゴゴーッ! )
振り向くと浜厚真の内陸で、薄い朝日の光を反射して見たこともない大型の航空機がゆっくり降下して来た。
( シュキィィーン、ズババババーッ! )
その大型の航空機は、ジェットを下に噴射して、地面へ垂直に着陸しようとしていたのだ。
驚き、慌てて単眼鏡を覗く八雲。
「えー!なんだー?日の丸と、旭日旗ってかぁ?自衛隊?海上自衛隊?日本国軍?どこの所属のデカブツなんだ。英語で旗の間になんか書いてあるな。あんなのが日本にあるのか?えー?どこに降りるんだ。あそこは~、」
単眼鏡をはずして浜厚真の海岸から目測し、着陸地点を考えた。
「ん~?石油備蓄コンビナートか?コンビナート。あそこには最近、いっぱい軍隊がいるはずだな。回覧版が回って来たな。会館の前、兵隊を乗せたトラックと、戦車がいっぱい通って行った、その先か。ん~っ?」
今度は倍率を上げて、その上からゆっくり降りて来る飛行機の側面に書かれた文字を見た。
「JDSF・Spaciy・Fleet?って、なんだべ。」
単眼鏡から一旦、目を外して少し考えてから、再び単眼鏡をのぞく八雲組合長。
「JDSFでJDは自衛隊か?SFってスペースフォースか何かの略だべか。宇宙軍かぁ、自衛隊。自衛隊宇宙軍って書いてあるんじゃないか。Spaciy・Fleet?スペーシィ・フリートは宇宙の艦隊。艦隊って、自衛隊の宇宙艦隊って。いつそんなのができたんだぁ?でも、あれは自衛隊のスペースシャトルか?デカッ!スンゴイ、デカッ!旅客機の何倍あるんだぁ。ありゃ。デカッ。」
その内、手前の林で見えなくなった。しかし、物凄い着陸のジェット音だけがする。
( キィィィーン……。 )
次第にジェット音が止んだ。着陸したのかもしれない。
八雲は今、見ている自分が信じられなくなった。
思いっきり目をつむって両目の目頭を指で押した。
その時、自分の正面の港湾から爆発音と共に、物凄いジェット機のエンジンのような音が、再び聞こえて来た。
( ドンッ! )
驚き、飛び上がる八雲。
「うわっ!」
(( キィーン! ))
それも、正面の港に広がる、大音響だった。
(( ゴゴゴゴゴーッ! ))
遠目で見ると、どうやら先程の天井の天幕を開いた貨物船からジェット音がするようだった。
その手前では装甲車から降りた兵隊たちが、少女を丸く囲んでいるのも、同時に確認できた。
単眼鏡で詳しく見ようとすると、その貨物船が突然、爆発した。
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
貨物船の真ん中から打ち上がるような爆煙だった。
素人の八雲には、係留している貨物船が爆発するように見えたのだ。
「うわーっ!なんだっ、テロか!貨物船が爆発した!」
思わず陸屋根で、体ごと伏せる組合長。
連続した爆発音。
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
「うわっ!また続けて爆発した。ひー。」
正面の他の2隻の貨物船から順番に、2発の爆発音。さらにずっと奥から4発の爆発音が続く。
( ドカ、ドカ、ドカ、ドカッ! )
ゆっくり頭を上げる組合長。立ち上がろうとしたら、今度は浜厚真に投錨している貨物船3隻が爆発したのだ。
( ドカ、ドカ、ドカッ! )
「あわわわわ。なんだ、なんだ、何なんだ。俺は何を目撃しているんだ。貨物船が全部爆発するって。」
組合長には次々に貨物船が爆発したように見えたのだ。
その時。
( ブブブーッ、ブブーッ! )
八雲が休む間も無く、(ブブーッ!)(ブブーッ!)と連続して機械音とも、何かの叫び声とも言えない不気味な機械音が、今度は空から聞こえて来た。
( ブブブーッ、ブブーッ! )
実は上空で発射された、チェーンガン(ガトリング・ガン)の発射音だった。
立ち上がった八雲は口をあけながら、音のする空を見あげた。
どうやら、地面に向けて、何かが発射されているようだった。
上空の黒い大きな物体から無数の黄色いレーザー光線の様な細い線が、地面を叩いていた。
( ブブブーッ、ブブーッブッ! )
( ズザザーッ!ズザザザーッ! )
( ブブブーッ、ブブブーッ! )
( ズザザーッ!ズザザザーッ! )
ワケが、わからなくなり、尻もちを着く八雲。
恐る恐る単眼鏡で少女を覗くと、チェーンガンの着弾の土煙が、風で流れている。
「う、煙で見えない……。あ、あー!なんだ、なんだ!」
煙が晴れるとともに、
……やがて、わかり始める惨状。
少女の周りには手足や内臓がバラバラに飛び散った先程の兵隊が作る、鮮血の円が描かれていた。
「ひえーっ!うわー!、うわ、うわー!」
手足が恐怖で震え始める八雲組合長。慌てて単眼鏡を目から外した。
「うわーっ!なんで俺は、ここに居るんだ。何を見てしまってる。どうしたらいいんだ。」
何気に上を見ると3つの黒い大きな人型の何かが空から降って来たのだ。
「うわ!また、次はなんだぁ。うわーっ!」
(( キィイーン……、ドバババババー!))
物凄いバーニアの噴射音がこれでもかと八雲の耳を直撃した。
(( キィイーン……、ドバババババー!))
「うがー、スンゴイ音っ!なんだ、なんだぁー。うわー。」
両耳をふさいで、陸屋根にしゃがみ込む八雲組合長。
組合長の身体や、立っているビルにバーニアの物凄い噴射の音の振動が、ビリビリ伝わって来た。
ところが地面まで噴射しきらずに、その巨大な物体は途中の空間で噴射を止めて、血で描く円の端に立つ少女の後ろに、そのまま着陸した。
( ドシンッ! )
( ドシンッ! )
( ドシンッ! )
と、着陸する3機の巨大なHARMOR。
そのHARMORの振動波が、八雲の居る、港湾組合ビルにまで響いて来た。
振動波に波打つビルの陸屋根。
100トン近い巨体が着地すると、周辺に物凄い衝撃波が伝わるのだ。
( グワン、グアン、グワン。 )
「うわ、うわ、うわー!地震かぁー。」
大きな振動波に驚いて再び、尻もちを着く八雲組合長。
驚き過ぎて、声にならなかった。
「う、う……。な、なんてデカい……。」
少女の後ろ、片腕を着いてひざまつく3機のHARMOR。
少女が何か言うと、ひざまついたHARMORがゆっくり立ち上がり始めた。
HARMORの足元の少女が、銃を持ったまま振り向き、今度は正面に腕を伸ばしたようだった。
組合長がまた立ち上がり、恐る恐る単眼鏡で少女を見ると、手前にヘルメットが転がっていた。
どうやら、そのヘルメットを狙っている様だった。
( バンッパンッ! )
( アハハハハッ! )
( パンッパンッ! )
笑いながら楽しそうにヘルメットを撃つ少女。
前に転がっていた、ヘルメットが吹き飛んだ。
それも、何か液体の内容物を散らかして吹き飛んだ様に見えたのだ。
咄嗟に人の頭が、ヘルメットにあったと分かった組合長だった。
ヘルメットから両目が真っ黒に潰れ、血だらけの頭部が出て来た。
「うがぁ、オエッ、オエー!……オエーッ!」
陸屋根の上で嘔吐する組合長だった。
その内、組合長の吐く音を消す様に、港湾や市街地の至る所から爆発音や発射音がしてきた。
敵の進撃が始まったのだ。
それも、威力偵察のAXISのHARMORが陽動を仕掛けて、無差別に苫小牧市街地へ40ミリカノンで無差別に砲撃を開始したのだ。
彼らは、この混乱の隙にオルカ(海底移動型特殊砲撃部隊)や、特殊潜航艇に潜んでいる、AXISの特殊部隊や工作兵などの、地上兵を潜入させるつもりなのだ。
( ドン、ドン、ドンッ! )
( タタタタッ、タタタタッ、タタッ )
( ドカーン、ドカーン、バシーン。 )
服の袖で口を拭いてから立ち上がる八雲。
立ち上がると同時に海に向かって正面右、港湾の西側からジェット機の爆音がしてきた。
息つく暇もない八雲組合長だった。
( ヒューン、ゴゴーッ……。)
それも複数だった。
八雲が、音の方を手の平を額にかざして見た。
すると、こちらに向かって3機の大型機が向かって来るのを確認できた。
大型機の正面から見ると、ズングリむっくりして、幅のかなり広い白黒ツートンの航空機だった。
先程の浜厚真で見た巨大なスペースシャトルと同じものだと、解った組合長だった。
それも3機が矢の様に、八雲に向かって突っ込んでくる。
吹き上がる炎や爆発煙を、ジェット噴射で巻いてから、後ろに噴き散らして、一直線に向かって来たのだ。
瞬時に味方と解る組合長の八雲だった。
「おぉー!」
その3機のスペースシャトルから、朝日を浴びて、光を照り返しながら味方の多数の機動モービルのHARMORが降下してきたのだ。
どのように降下しているのかわからないが、忍者の様に機体の左右に側転、機体中央から軽やかに回転して着陸する味方のHARMOR。
敵の悪魔のAXISのHARMORみたく、派手な大きな音も着陸の地震のような振動波も全くしなかった。
まるでロボットの着ぐるみを着た人間のような、まるで、映画の忍者のような軽やかな動きだった。
そんな光景を見ていると、あっと言う間に接近し、爆音と共に八雲組合長の目の前を低空で通過する3機の超大型スペースシャトル・オービターだった。
( ヒューキィイーン、ゴゴゴゴゴーッ! )
( ゴゴゴゴゴーッ! )
燃える貨物船より、倍以上の大きなスペースシャトルが爆音を轟かせて、組合長が居るビルの正面を飛んでいく。
( ゴゴゴゴゴーッ、キィイーン! )
ジェット音が轟く苫小牧港湾。
やっと味方が来たのだ。
やはり、機体や羽根にも日の丸と旭日旗が描かれている。
3機は、先に上陸した敵HARMORが撃ち込む20ミリガトリングガンなどの対空砲火や対空ミサイルの中、各々が3方向へ、軽々とエンジンを吹かして急上昇した。
急上昇と共に、花火の様に機体の左右に対ミサイル防衛のフレアーを射出して急上昇した3機だった。
( パラパラパラパラッ! )
( パラパラパラパラッ! )
( シュキィーン、ゴゴゴゴゴーッ!ヒュィーン……。)
「ありがとー!やっつけてくれー!うおーっ!」
つい、先程の恐怖や悲しみを忘れて歓喜に沸く組合長だった。
「うわー!よっしゃ!よしゃー!たのむぞー!自衛隊っー!」
正気に戻り、気持ちも強気になった。
「よし!……よし。」
自分の目の前で、少女に射殺された部下と息子の2人。
せめて山本検査官と、娘婿の斎藤貴明の遺体だけでも収容しようと思い、ビル廊下に垂れ下がった非常階段を降り始めたのだ。
※ この第1話は、最終第13章の抜粋です。
朝日が昇る直前の北海道、苫小牧市。
ビルの陸屋根の上で、単眼鏡を覗いて手足をバタつかせている初老の男性が居た。
「あっ、あっ!向かいの!貨物船の、貨物室の天井が開きました。なんだぁ?オーニング、って天幕じゃないのか?あれ~。ん~っ……ん?オーニングのシワの形までつけた金属の天井です。今、それが開きました!」
苫小牧港湾組合・組合長の八雲が、単眼鏡で興奮しながら覗いていた。
先程、射殺された身内の形見である、単眼鏡を覗いて左腕のスマハンドで、誰かに報告していた。
自分の直轄の苫小牧港を、組合ビルの陸屋根から望遠鏡で覗いていたのだ。
避難勧告をしても、移動しない外国籍の貨物船や、その周囲を見て報告していたのだ。
八雲組合長の報告先は、小樽市にある第1管区、海上保安庁本部だった。
その最上階にある小規模の会議室。
5名ほどの男女若手の職員が会議室で八雲の報告を聞いていた。
リーダー格の女性海上保安監を囲んで、真剣にスピーカーから流れる組合長の報告を聞いていたのだった。
1人の精悍な若い男性保安監が立ち上がった。
その男性と、目が合うリーダー格の女性保安監。
男性保安監がリーダー格の女性に告げた。
「東(あずま)課長!敵は貨物船に有り。」
うなずく女性保安監。
その場から、急いで去ろうとする男性の制服の袖を、女性が立ち上がって引っ張った。
「田中っ!苫小牧海上署の巡視船、下がらせて。苫小牧の海上署の合同庁舎も緊急避難指示。苫小牧フェリーターミナルに急行中の救急車、警察に死傷者保護後は直ちに避難を!急げ。」
「了解!」
「私は上に報告。間に合うか!」
会議室から女性保安監以外、全員が飛び出した。
それを確認してから、女性保安監は廊下の左右を慎重に見てから会議室の戸を閉めた。
◇ ◇
屋上で、再び泣きながら体育座りをする八雲組合長。
「うっ。うっ。シクシク……。」
背中を丸めて、何度も涙を拭きながら独り言を言っていた。
八雲の目の前で、拳銃で自分の苫小牧港湾組合の部下や、義理の息子を殺害されたのだ。
その殺害現場を直接、単眼鏡で見てしまったのだ。物凄いショックだったに違いない。
静かだった苫小牧市内に、次第に様々な音が響き始めた。
乗り物のような、人の叫び声の様な音だった。急に騒がしくなる苫小牧市内だった。
そんな港へ響く音に気が付いた八雲。
「こんな、朝っぱらから。何が、なんだか。」
また立ち上がり、自分の涙でズグズグになった袖でまた、顔を拭き直した。自分の義理の息子が倒れている姿を、もう一度見ようと思ったのだ。
ところが、突然。
( キュイーン、ドゴゴゴゴゴー。 )
立ち上がった八雲の背後から、かなり規模の大きなジェット音がしたのだ。
地鳴りのような台風の暴風のような、とにかく聞いた事もない爆音がしたのだ。
( ズゴゴゴゴゴーッ! )
振り向くと浜厚真の内陸で、薄い朝日の光を反射して見たこともない大型の航空機がゆっくり降下して来た。
( シュキィィーン、ズババババーッ! )
その大型の航空機は、ジェットを下に噴射して、地面へ垂直に着陸しようとしていたのだ。
驚き、慌てて単眼鏡を覗く八雲。
「えー!なんだー?日の丸と、旭日旗ってかぁ?自衛隊?海上自衛隊?日本国軍?どこの所属のデカブツなんだ。英語で旗の間になんか書いてあるな。あんなのが日本にあるのか?えー?どこに降りるんだ。あそこは~、」
単眼鏡をはずして浜厚真の海岸から目測し、着陸地点を考えた。
「ん~?石油備蓄コンビナートか?コンビナート。あそこには最近、いっぱい軍隊がいるはずだな。回覧版が回って来たな。会館の前、兵隊を乗せたトラックと、戦車がいっぱい通って行った、その先か。ん~っ?」
今度は倍率を上げて、その上からゆっくり降りて来る飛行機の側面に書かれた文字を見た。
「JDSF・Spaciy・Fleet?って、なんだべ。」
単眼鏡から一旦、目を外して少し考えてから、再び単眼鏡をのぞく八雲組合長。
「JDSFでJDは自衛隊か?SFってスペースフォースか何かの略だべか。宇宙軍かぁ、自衛隊。自衛隊宇宙軍って書いてあるんじゃないか。Spaciy・Fleet?スペーシィ・フリートは宇宙の艦隊。艦隊って、自衛隊の宇宙艦隊って。いつそんなのができたんだぁ?でも、あれは自衛隊のスペースシャトルか?デカッ!スンゴイ、デカッ!旅客機の何倍あるんだぁ。ありゃ。デカッ。」
その内、手前の林で見えなくなった。しかし、物凄い着陸のジェット音だけがする。
( キィィィーン……。 )
次第にジェット音が止んだ。着陸したのかもしれない。
八雲は今、見ている自分が信じられなくなった。
思いっきり目をつむって両目の目頭を指で押した。
その時、自分の正面の港湾から爆発音と共に、物凄いジェット機のエンジンのような音が、再び聞こえて来た。
( ドンッ! )
驚き、飛び上がる八雲。
「うわっ!」
(( キィーン! ))
それも、正面の港に広がる、大音響だった。
(( ゴゴゴゴゴーッ! ))
遠目で見ると、どうやら先程の天井の天幕を開いた貨物船からジェット音がするようだった。
その手前では装甲車から降りた兵隊たちが、少女を丸く囲んでいるのも、同時に確認できた。
単眼鏡で詳しく見ようとすると、その貨物船が突然、爆発した。
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
貨物船の真ん中から打ち上がるような爆煙だった。
素人の八雲には、係留している貨物船が爆発するように見えたのだ。
「うわーっ!なんだっ、テロか!貨物船が爆発した!」
思わず陸屋根で、体ごと伏せる組合長。
連続した爆発音。
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
(( ドンッ!ゴゴーッ! ))
「うわっ!また続けて爆発した。ひー。」
正面の他の2隻の貨物船から順番に、2発の爆発音。さらにずっと奥から4発の爆発音が続く。
( ドカ、ドカ、ドカ、ドカッ! )
ゆっくり頭を上げる組合長。立ち上がろうとしたら、今度は浜厚真に投錨している貨物船3隻が爆発したのだ。
( ドカ、ドカ、ドカッ! )
「あわわわわ。なんだ、なんだ、何なんだ。俺は何を目撃しているんだ。貨物船が全部爆発するって。」
組合長には次々に貨物船が爆発したように見えたのだ。
その時。
( ブブブーッ、ブブーッ! )
八雲が休む間も無く、(ブブーッ!)(ブブーッ!)と連続して機械音とも、何かの叫び声とも言えない不気味な機械音が、今度は空から聞こえて来た。
( ブブブーッ、ブブーッ! )
実は上空で発射された、チェーンガン(ガトリング・ガン)の発射音だった。
立ち上がった八雲は口をあけながら、音のする空を見あげた。
どうやら、地面に向けて、何かが発射されているようだった。
上空の黒い大きな物体から無数の黄色いレーザー光線の様な細い線が、地面を叩いていた。
( ブブブーッ、ブブーッブッ! )
( ズザザーッ!ズザザザーッ! )
( ブブブーッ、ブブブーッ! )
( ズザザーッ!ズザザザーッ! )
ワケが、わからなくなり、尻もちを着く八雲。
恐る恐る単眼鏡で少女を覗くと、チェーンガンの着弾の土煙が、風で流れている。
「う、煙で見えない……。あ、あー!なんだ、なんだ!」
煙が晴れるとともに、
……やがて、わかり始める惨状。
少女の周りには手足や内臓がバラバラに飛び散った先程の兵隊が作る、鮮血の円が描かれていた。
「ひえーっ!うわー!、うわ、うわー!」
手足が恐怖で震え始める八雲組合長。慌てて単眼鏡を目から外した。
「うわーっ!なんで俺は、ここに居るんだ。何を見てしまってる。どうしたらいいんだ。」
何気に上を見ると3つの黒い大きな人型の何かが空から降って来たのだ。
「うわ!また、次はなんだぁ。うわーっ!」
(( キィイーン……、ドバババババー!))
物凄いバーニアの噴射音がこれでもかと八雲の耳を直撃した。
(( キィイーン……、ドバババババー!))
「うがー、スンゴイ音っ!なんだ、なんだぁー。うわー。」
両耳をふさいで、陸屋根にしゃがみ込む八雲組合長。
組合長の身体や、立っているビルにバーニアの物凄い噴射の音の振動が、ビリビリ伝わって来た。
ところが地面まで噴射しきらずに、その巨大な物体は途中の空間で噴射を止めて、血で描く円の端に立つ少女の後ろに、そのまま着陸した。
( ドシンッ! )
( ドシンッ! )
( ドシンッ! )
と、着陸する3機の巨大なHARMOR。
そのHARMORの振動波が、八雲の居る、港湾組合ビルにまで響いて来た。
振動波に波打つビルの陸屋根。
100トン近い巨体が着地すると、周辺に物凄い衝撃波が伝わるのだ。
( グワン、グアン、グワン。 )
「うわ、うわ、うわー!地震かぁー。」
大きな振動波に驚いて再び、尻もちを着く八雲組合長。
驚き過ぎて、声にならなかった。
「う、う……。な、なんてデカい……。」
少女の後ろ、片腕を着いてひざまつく3機のHARMOR。
少女が何か言うと、ひざまついたHARMORがゆっくり立ち上がり始めた。
HARMORの足元の少女が、銃を持ったまま振り向き、今度は正面に腕を伸ばしたようだった。
組合長がまた立ち上がり、恐る恐る単眼鏡で少女を見ると、手前にヘルメットが転がっていた。
どうやら、そのヘルメットを狙っている様だった。
( バンッパンッ! )
( アハハハハッ! )
( パンッパンッ! )
笑いながら楽しそうにヘルメットを撃つ少女。
前に転がっていた、ヘルメットが吹き飛んだ。
それも、何か液体の内容物を散らかして吹き飛んだ様に見えたのだ。
咄嗟に人の頭が、ヘルメットにあったと分かった組合長だった。
ヘルメットから両目が真っ黒に潰れ、血だらけの頭部が出て来た。
「うがぁ、オエッ、オエー!……オエーッ!」
陸屋根の上で嘔吐する組合長だった。
その内、組合長の吐く音を消す様に、港湾や市街地の至る所から爆発音や発射音がしてきた。
敵の進撃が始まったのだ。
それも、威力偵察のAXISのHARMORが陽動を仕掛けて、無差別に苫小牧市街地へ40ミリカノンで無差別に砲撃を開始したのだ。
彼らは、この混乱の隙にオルカ(海底移動型特殊砲撃部隊)や、特殊潜航艇に潜んでいる、AXISの特殊部隊や工作兵などの、地上兵を潜入させるつもりなのだ。
( ドン、ドン、ドンッ! )
( タタタタッ、タタタタッ、タタッ )
( ドカーン、ドカーン、バシーン。 )
服の袖で口を拭いてから立ち上がる八雲。
立ち上がると同時に海に向かって正面右、港湾の西側からジェット機の爆音がしてきた。
息つく暇もない八雲組合長だった。
( ヒューン、ゴゴーッ……。)
それも複数だった。
八雲が、音の方を手の平を額にかざして見た。
すると、こちらに向かって3機の大型機が向かって来るのを確認できた。
大型機の正面から見ると、ズングリむっくりして、幅のかなり広い白黒ツートンの航空機だった。
先程の浜厚真で見た巨大なスペースシャトルと同じものだと、解った組合長だった。
それも3機が矢の様に、八雲に向かって突っ込んでくる。
吹き上がる炎や爆発煙を、ジェット噴射で巻いてから、後ろに噴き散らして、一直線に向かって来たのだ。
瞬時に味方と解る組合長の八雲だった。
「おぉー!」
その3機のスペースシャトルから、朝日を浴びて、光を照り返しながら味方の多数の機動モービルのHARMORが降下してきたのだ。
どのように降下しているのかわからないが、忍者の様に機体の左右に側転、機体中央から軽やかに回転して着陸する味方のHARMOR。
敵の悪魔のAXISのHARMORみたく、派手な大きな音も着陸の地震のような振動波も全くしなかった。
まるでロボットの着ぐるみを着た人間のような、まるで、映画の忍者のような軽やかな動きだった。
そんな光景を見ていると、あっと言う間に接近し、爆音と共に八雲組合長の目の前を低空で通過する3機の超大型スペースシャトル・オービターだった。
( ヒューキィイーン、ゴゴゴゴゴーッ! )
( ゴゴゴゴゴーッ! )
燃える貨物船より、倍以上の大きなスペースシャトルが爆音を轟かせて、組合長が居るビルの正面を飛んでいく。
( ゴゴゴゴゴーッ、キィイーン! )
ジェット音が轟く苫小牧港湾。
やっと味方が来たのだ。
やはり、機体や羽根にも日の丸と旭日旗が描かれている。
3機は、先に上陸した敵HARMORが撃ち込む20ミリガトリングガンなどの対空砲火や対空ミサイルの中、各々が3方向へ、軽々とエンジンを吹かして急上昇した。
急上昇と共に、花火の様に機体の左右に対ミサイル防衛のフレアーを射出して急上昇した3機だった。
( パラパラパラパラッ! )
( パラパラパラパラッ! )
( シュキィーン、ゴゴゴゴゴーッ!ヒュィーン……。)
「ありがとー!やっつけてくれー!うおーっ!」
つい、先程の恐怖や悲しみを忘れて歓喜に沸く組合長だった。
「うわー!よっしゃ!よしゃー!たのむぞー!自衛隊っー!」
正気に戻り、気持ちも強気になった。
「よし!……よし。」
自分の目の前で、少女に射殺された部下と息子の2人。
せめて山本検査官と、娘婿の斎藤貴明の遺体だけでも収容しようと思い、ビル廊下に垂れ下がった非常階段を降り始めたのだ。
※ この第1話は、最終第13章の抜粋です。
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新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
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