「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

文字の大きさ
31 / 85
第5章 海上保安庁ヘリ。

第2話 海南島沖のツナミ。

しおりを挟む
 朝日が昇り始め、明るくなったハイナン島(海南島)沖合の海上。
 
 穏やかな海に浮かぶ数隻の中国漁船団。
 
 政府船の主導の元、中国漁船団は集団で定置網漁をしていたのだ。
 
 その漁師たちが、定置網を仕掛けている時に、海の異変に気が付いたのだ。
 
 甲板の端で作業している年配の漁師が目を細めて海上を見た。
 
「ん?ん?えー、なんだぁ?」
 
 こちらに向かって盛り上がる海面を見て、ビックリして叫んだ。
 
「オイオイッ!オイッー!あ、あれ見ろっあれ!あれっ!」
 
 作業する手を止めて、監視している政府役人に訴える、海の異変に気が付いた漁師。

 面倒くさそうにその年配の漁師に近寄る役人。
 
「あ~なんだ、サボるなよ忙しい。こっちの仕事しろ。仕事に集中しろ!ケガするぞ!サボるなっ!」
 
 近寄った役人の袖を引っ張って、海の方へ指をさす漁師。その持った袖を無理矢理はがす役人。
 

「引っ張るな、失礼な!逮捕するぞっ!」

 
 再び袖をひっぱって、指で、沖の方を指さして訴える漁師だった。
 
「バカっ!オイ見ろ!あれ、あれだ!」
 
 他の同僚の漁師たちも、網を送る手を止めて、首を伸ばして沖合を見始めたのだ。
 
「なんだ、お前たちも手を、休める……、ん?」
 
 1人のリーダー格の漁師が、盛り上がる海面を見て、両手を上げた。

 
「はぁい?なんじゃー!う、うわーっ!」

 
 リーダー格の漁師の目線に合わせて、首を伸ばして沖を見る役人。
 

「お、お、おわー、海が盛り上がって。何、何。」

 
 ようやく気が付いた役人。

 逃げるように指示を始める。

 
「何、何、うわー船室に逃げろー、津波、津波、津波!」
 

 パニックになる甲板だった。 

 
「うわわ~、逃げろ~。」
 
「船内に、逃げろーっ!」
 
「たすけてくれーっ!」

 
 甲板の網はそのままに、大急ぎで船内に飛び込んで行った。
 
 その定置網漁の船団の中で、最も大きい政府の漁船が、船団の1番北部にいた。
 
 その艦橋の正面に立ち、双眼鏡でハイナン島方面を覗く船長。
 
「なんだ!この海域で地震が起きたのか。オイ、航海士。確認っ!」
 
 後方で海図の書き込み作業していた航海士の若い船員が双眼鏡を覗く船長に呼ばれて振り向いた。
 
「船長、何でしょう。」
 
「いいから、これ、早く!見ろ。」
 
 その船団の水深80メートルでワタツミが加速途中の時速90キロで通過していく。
 
 突然、甲板では定置網を固定しているロープが次々音を立てて切れていき、船が大きく傾いた。
 
「うわー!網が引っ張られるー。」
 
 ぐるっと船が回り初めて後方へ、引っ張られていく。
 そして、網のロープが次々に切れた。


( ギギギー、バシッバシッバシッ! )

 
 何が起きたのか解らない船員達だった。訳も解らず甲板ではパニックになっている。


( うわー! )
 
( 助けてー!うわー! )

 
 大きく揺れる艦橋の中でも何かに掴まる船長や航海士、通信士達。
 
「えっ!部分的に海が盛り上がって、って。警戒警報!お願いします。」
 
 引きずられて、大きく傾く船室。
 
 船長や、航海長が周りを落ち着いて見た。
 
 左右の凪いだ海上と、正面の盛り上がる海面を見て恐怖を感じる航海長。
 
 波が来る前に、船が意味も無く、先に海底へ引きずられるおかしな状況だった。
 
「うわー、やはり海底火山の爆発か?いや、地震による局地的な津波なのか!なぜ、先に船が引きづられるのだ!とにかく、航海長っー警報ー!警報ーっ!」
 
 艦内に響き始める警鐘。


( ジリリリリリー!ジリリリリー! )


 船外では大型船が警報を鳴らす。


( ク、ク、クオーン!ク、ク、クオーン! )


 海の異変に気が付いた小型漁船は定置網を捨て、盛り上がる海の方に船首を大急ぎで向け始めた。
 
 揺れる艦内で船長が船内放送のマイクを持ってアナウンスを大急ぎでした。
 
「津波が発生、乗組員は作業中止!ドア付近にいる者はドアを閉めろ!何かに掴まれ!甲板や外に居る者は何かに掴まれー!急げー!津波が来るぞー!来たー!」
 
 上空から見ると、先に進む黒い巨大な長方形の物体がどんどん進んで行く。
 
 その物体が進む後方500メートル位には、大きな波を大海原に立てて進んで行った。
 
 波の高さが、約20メートルの津波が中国の漁船団を襲った。
 
 大きく上下に揺すられる漁船団。
 
 時速120キロに達しても、さらに更に加速するワタツミ。通過した後の海上では大きな波が立つのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

処理中です...