「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち

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第2章 強者どもの夢の跡。

第5話 敵、瞬殺!その名は「ヘル・ルージュ」

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 全速で後退していた8輪の「エイジャックス」の大部隊。後退予定地に止まり、次なる戦いの為の砲弾やミサイルの自動装填などの準備をしている。
 
 そのかなり前方から走ってくるシルフ小隊の数々。
 
 更にその前方で殿(しんがり)を務め援護射撃をしながら後ずさりする他のシルフ部隊もいよいよ後ろを向き、全力で退避を始めた。
 
 どのシーラスの部隊も射撃を止めて爆心予定地から、本格退避を始めたのだ。しかし、まだ前線には1小隊3機のHARMORが残されていた。
 
 ポツンと1機だけ、片足を上げてしゃがんだままのコマンダーHARMORのシルフZERO。
 
 両手を地面に付けて止まっている。
 
 すでに砲弾を切らした50ミリ速射砲が足元に転がっていた。
 
 美しいシルキーホワイト色の機体も、硝煙跡や被弾跡でススだらけになってる。
 
 海岸線の全面に広がるチャイニーズアクシスの泉州モービル師団の大群。
 
 たった1機のHARMORを相手にしないのか、このシルフへの攻撃も止んでいた。
 
 シルフのショルダーアーマーに大きく描かれたポーランド特別軍・JWフォルモザの錨のマーク。

 着弾でえぐれたり、着弾孔が開いている。
 硝煙で茶色に汚れていた。
 
 コクピット内のポーランド海軍、HARMORの女性コマンダー・パイロット。
 
 エメラルドグリーンの瞳に合わせて、モニターがシルフの真後ろを映した。

 背後では30ミリガトリングの射撃も止めて全力後退する「エイジャックス」軍団の姿。

 地煙を上げながら遠ざかって行く。
 
 その手前では後退をあきらめて止まった僚機が映った。
 自動的に拡大される2機の僚機。
 
 エアスパーク・マーク2の衝撃波対策で寝転んで、テントの様に広げたカスケード硬化布を準備する2機の僚機が見えた。

 心配だった頭部を破壊されたスナイパー・HARMORの僚機は、頭部がないだけで何事も無かったように準備を始めていた。
 
 可愛らしいホクロのある口元。
 ニコッと笑顔になる女性パイロットだった。
 
 また目線を正面に映すと、300メートルの距離で先ほどまで自分を攻撃した5機の敵モービルが射撃を止め、こちらに向かって歩いて来ている。
 
 AIの解析が終わったのか1機づつ所属やパイロット名、目撃先戦場の解析サブウインドーが順番に表示された。

 4機共、歴戦錬磨の敵小隊HARMORだった。
 
 1機のモービルは修理した30ミリガトリング砲を向けたまま歩いて来ている。
 他の4機は、両手に火花を飛ばしてヒートするナイフを持ってのっそり歩いて来ていた。
 
 どれもが旧型のホワイトタイガー、ロシアのOEM人民解放軍陸軍突撃人型装甲機「壊撃-3型」ベースモデルだった。
 
 再びニッコリする女性パイロット。
 その時、シルフのコクピットに警報とAIの警戒音声が鳴った。


( ビビー!接近警報。ビビー!接近警報。2機のホワイトタイガー2が3時の方向より接近。 )


(( ガシャンガシャンガシャンガシャンッ! ))

(( ガシャンガシャンガシャンガシャンッ! ))

 しゃがむんでいる美しいJWフォルモザ・シルフZEROに襲い掛かる、2機の敵HARMORだった。

 距離50メートル地点で、バーニアを吹かして襲い掛かるアタッカーの敵HARMOR。


(( ジーン……ドババババッー! ))

 
 しかし、全く動かないシルフZERO。
 
 チェーンヒートナイフがまじかに迫った時、シルフがクルっと背中を地面に当てて転がり、両足を横から伸ばした。

 伸ばした両足を、飛び掛かる敵HARMORの腹部と胸部に当てたのだ。
 

(( ドシンッ!))

 
 空中で一気に、止まる敵モービル。
 
 物凄い制動Gが敵パイロットを襲った。
 パイロットのシートベルトが切れる位締め上がった。
 エアバッグが敵パイロットの頭部を守ったが、許容範囲外の制動Gで破損するヘッドギア。
 

(( ドカッ! ))
 
 
( ウグワッ! )
 

 ヘッドギア内がバッと血で染まった。
 敵パイロットがコクピットの中で絶命したのだ。

 瞬殺だった。
 
 シルフZEROはそのまま真横に回転し、またしゃがんだ姿勢に戻った。
 
 もう1機の敵HARMOR、シェン三級軍士長のモニターには、シルフZEROのその奥で、頭部から地面に激突する崔3級軍士長の乗ったHARMORが映った。
 
「あーっ!崔3級軍士長っ!コイツッ!うわーっ!この野郎ーっ!」
 
 叫びながら飛び上がる敵モービル。


( ドババババッー! )

 
 その時、空が真っ白に光った。
 

  (( ピカーッ! ))
 
 
 真っ赤な口紅が塗られた唇に、ニヤっと清潔な白い歯が見えた。
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