「メジャー・インフラトン」序章3/7（僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. ）

第４章 鹵獲、敵の機動モービル。

第１話 湯上がりのフリードリンクサービス。

　大浴場から自室に戻ってきたきよしたち。
　皆、ポカポカ温まって幸せな顔をしている。
　そして誰もが皆、浴衣が似合い始めた。
　そんな仲間たちがエレベーターホールから廊下を歩いて来た。
　
「きゃー気持ち良かったー！リリィもう最高っ！」
　
「もう、お肌チュルッチュル。な～に、日本の温泉！ルオっ！もう最高、Chu! 」
　
　肩を並べてラブラブ、イチャイチャしながら先にエレベーターから降りて、廊下の先頭を歩くスナイパーカップル。
　アシャとゴーシャを抱っこした結衣と幸子がその後ろを歩いている。
　すぐ後ろからカミンスキー夫婦がまたラブラブ、イチャイチャしながら幸せそうに歩いて来た。
　
　オディアを片手で抱きかかえて、お子ちゃまリュックを３つ片手で持ってくるきよし。
　コマンダー・ガンナー同士の小林とジュリアは何か訓練のバカ話をして大笑いしている。
　ジェシカと愛子、絵里の３人は、衛星通信時の話で盛り上がっていた。
　
　その廊下の先には各部屋前に一人づつ、湯上りのドリンクを作るドリンク・カーゴの脚立を脇に置き、コンシェルジュの女性が３人立っていた。
　一斉にお礼をした。
　
（　さぁ、皆さま。お好きなドリンクをその場でお作りします。ひと息ついてくださいませ。その後、ご宴会場へご案内したします。では皆様、お部屋で。）
　
　一番手前に立つ女性コンシェルジュが腕を室内の方に伸ばして案内をした。
　
「愛子が言っていたサービス。お風呂で水分ガマンして良かったぁ。」
　
「あ～喉乾いたぁ。」
　
「ワ～ォ!そんなサービスがあるの！素敵～っ！嬉しい～っ！だから、あんまり水分取らないでって愛ちゃん言ってたのね！もうパパ最高っ！」
　
　エレナはなんだか、ハイソサエティになった様な気分。
　
　主人のバルトッシュが出世して、中佐になった時、本国の軍パーティなどでお金持ちになった気分を感じたが、もっと豊かなハイソになった気分で、日本のおもてなしの居心地が良かった。
　改めて感激するエレナ。
　主人のバルトッシュの肩に飛び付きまたキスをした。いつもなら、マメなルオや小林も今回ばかりはホテルのサービスを、されるがままに喜んだ。
　
「ゴーシャも、アシャもな～に飲もうかね～？ねぇっ。うふふ。」
　
　双子ちゃんのほっぺにチュッチュする中村・スーザン・幸子と佐藤結衣。
　
「愛子～。スンゴイね～第１雅みやびホテル！スィートルーム！」
　
「あったり前よ！特別迎賓室なんだから！さぁみんな、お部屋に入りましょう！」
　
　キャッキャ喜びながら各自の部屋に入る面々だった。
　各部屋ではコンシェルジュが作るお風呂上がりのカクテルやジュースを堪能するのだった。
　きよしがオディア専用のお子ちゃま両手持ちストロー付カップをコンシェルジュに渡す。
　
「きよし～。オディアのジュッスゥ。ジュッスゥ～。ジュッスゥ！」
　
　細かく砕いた氷にカルゲンを入れて、ニッコリきよしに渡すコンシェルジュ。
　
「お代わりございますわ。でもすぐご飯ですわよ。さぁ次の方は？」
　
「了～了～！お～さすがだわ。ご飯食べられるように砕いた氷でジュースの量おさえてるわ。」
　
　父親の様な、きよし兄ちゃんだった。
　
「私はジンジャーエール。」
　
「私も！」
　
「あたしはオディアちゃんと同じカルゲンだなぁ。」
　
「そういえば、絵里、布村タンデムモービルの中で叫んでたね！温泉入って、カルゲンかスズランのガラナ、飲みたいって！」
　
「結衣っ、もう、よくつまんない事覚えてるわね。ガラナはご飯の後に飲むし。」

（　はははっ。　）

　そんな友達や、胡坐の上にオディアを乗せてジュースを飲ませているジェシカや、きよしを見ながら、頬杖をついた布村がコップのストローを回しながら戦場を思い出していた。

　その愛子のストローとグラスを何気に見る佐藤結衣だった。