「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第14章 ビックドクと椎葉京子先生。

第2話 医療オービター「ビッグドク」

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 そもそも、スミスという名前だから綺麗な金髪の外人さんなんだろう。

 絶~対!美人に違いないと、勝手に思う愛子だった。
 

 それも、愛子。大正解!

          ◇        ◇
 
 時を同じくして、第4番予備役訓練部隊のHARMOR整備倉庫内。
 
 整備中の機動モービルHARMOR(第90アグレッサー教導小隊・スミス副隊長機・新型ファイティング・スーの「メティス」機)の前で、汚れた作業着を来た大柄な金髪の中年整備兵と、制服姿の女性教官が打ち合わせをしていた。
 
 制帽に制服スカート姿、上品なヒールを履いた、スラっと背の高い女性上級佐官だった。
 
 横に黄技術部長が歩いてきて、女性教官に敬礼をした。

 笑顔で上品に返礼する女性。
 そのまま歩いて行く黄部長。
 
 大柄な整備兵がクリスタル端末を女性教官に見せると、制帽を脱いで片手で持ち、手の甲を腰に当てながらHARMOR検査書の説明を聞き始めたのだった。
 
 説明を聞いている最中、手の平を整備兵に向けて、一時ストップして横を向いた。
 
「部長、ちょっとごめんなさい。クシュン!」
 
「あれま、訓練副長。風邪ですか?来週末から小林訓練小隊とアグレッサーのマズル(ローマン)教導部隊で島嶼・奪回訓練始まるんですから。まぁ、きよしって。椎葉少尉の骨折の回復次第ですけど。大丈夫ですか。」
 
「いえいえ、違います違います。オブライエン部長大丈……。ちょっとまっクション!ックシュン!ふふっ。御免なさい。大丈夫、風邪じゃないわ。ふふっ。誰か、私のうわさをしてる?まぁ、いいわぁ~クシュン。」
 
 と、再び上品にクシャミをしてから、その美しい瞳で周りを見合わすジェシカ・スミス少佐。

 そして、何事も無く整備部長の説明を聞き始めた。

          ◇        ◇
 
 布村が何気に、斜めにアゴを上げてを窓見ると、窓には青い空とゆっくり流れる雲が見えた。

 そして、時折に護衛をしているF-39Bのシルエットが見える。
 
「え~!なに~!どういう事っ~!えっ!何、何、私、空飛んでるの?えっ!うそ~!病院に居るって思ってた。え~っ!」
 
 飛び起きて窓を覗く布村。
 
 窓の左右を顔をピタッとくっ付けてのぞき見ると、多数の美しい流線型の飛行機の編隊だった。
 
 頬をガラスにひっつけて、ブサイク顔で窓の左側をのぞくと、めちゃめちゃ大きな翼が見える。

 愛子はまだ対馬市の病院にいると思っていたのだ。
 
 それもそのハズ。

 慣性制御で人工重力がある為、「ビッグドク」の機内は全く揺れていないのだった。

 病院か軍隊の建物に収容されていたと思っていた愛子だった。
 
「へ~すんごい!凄い、凄い~っ!えっ旅客機?ちゃう、これ宇宙に行くスペース・シャトル?スンゴイ大きな羽。ず~っと後ろまで翼じゃん。へぇ~!」
 
 右手前から左奥へ続くシャトルの羽を、なめるように見る布村愛子。
 
「この間、乗った飛行機や台湾へ行く時に乗った飛行機の翼と全然違う。これ、大きな三角形の翼じゃないの。凄いデカいのに、わたし乗ってるんだぁ~。へ~凄い、凄い!飛行機の何倍あるのさ。でもなんで揺れてないの?外の景色はウソの画像?映像?まさかぁー、まさかまさかぁ。軍隊挙げて私の為に、ワザワザ、ウソなんかつかないっしょ……。」
 
 と少し疑問に思ったが、特別な思いがして少し嬉しくもなる愛子だった。

 そんな時、廊下を歩く足音と女性の声がした。

( カッカッカッ。カッカッカッ。 )
 
「あっ!」
 
 慌ててベットに戻り、壁側に体を向けて、寝たフリをする布村。

( プシュッ! )
 
 そしてドアが開いた。
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